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たったひとつの幸せをつかむ秘訣

幸せってどこにあるの?

しあわせの青い鳥について書かれた
メーテルリンクの『青い鳥』を
初めて読んだ。

有名な『青い鳥』のあらすじは
なんとなく聞いて知っていたが、
ちゃんと読んでみたいと思った。

幸せって何なのか?
私にとって幸せなことってどんなこと?
どうすれば幸せな気持ちでいられるの?
そういうことが全然わからなくなってしまったから。

頭で考えれば考えるほど、
わからなくなる。

私はどうしたいのか。
私はどうやって生きたいのか。
私はなんのために生きているのか。

ひたすらしあわせになりたい病

クリスマスイブの夜
貧しいきこりの一家の住む小屋に
チルチルとミチルという兄妹が、
隣のお金持ちの家のケーキを
うらやましそうに見ていました。

魔女のような年とった女の人がやってきて、
病気の娘のために青い鳥を探してきてと頼みます。

「それが、原因不明の病気でね。
ひたすらしあわせになりたがっているのさ」

『青い鳥』メーテルリンク/作 江國香織/訳 講談社 青い鳥文庫 p.27

ひたすらしあわせになりたがっている?
それって私みたい。

ものごとの本質が見えるようになる帽子

チルチルとミチルは、
青い鳥を探しに行くために
特別な力のある帽子を与えられます。

「たちまち、ものごとの内側にかくれているものが見えるようになる。
もののほんとうの姿がだよ」

『青い鳥』メーテルリンク/作 江國香織/訳 講談社 青い鳥文庫 p.29

その帽子をかぶってボタンをまわすと、
ものごとの本質が見えるようになる。

つまり、しあわせの青い鳥を探すには、
ふつうは見えていない、
ものごとの本質を見る必要があるということ。

チルチルが帽子をかぶってボタンをまわすと、
目の前の部屋自体が、さっきまでとはすっかりちがって見えました。

時計や時間や石が、
輝いて動いて話しかけてきます。

そして、チルチルとミチルは
パンや水や火や水や砂糖やミルク、猫や犬や光と
青い鳥を探しに出かけます。

死んだおじいさんとおばあさんにも会います。
死んだ人は、生きている人がその人のことを思うと
目を覚ますようなのです。

幸福と不幸は隣あわせ

光に導かれて、
チルチルとミチルは
幸福の館に行きますが、
不幸たちがすぐとなりに住んでいました。

「忘れてはならないのは、不幸たちが幸福の館の、すぐとなりに住んでいるっていうことなの。彼らの住む洞窟と幸福の館の庭とは、ある種の霧っていうか、うすいまくのようなものでへだてられているだけなの、しかも、永遠の深みや正義の高みからふいてくる風で、その霧はしょっちゅうゆれうごいてしまう。だからわたしたちはしっかり心を一つにして、注意深くしていなくちゃいけないわ」

『青い鳥』メーテルリンク/作 江國香織/訳 講談社 青い鳥文庫 p.166

「たいていの場合、よろこびたちはいいものよ。でもね、いくつかのよろこびは、最悪の不幸よりももっと危険で不誠実なのよ」

『青い鳥』メーテルリンク/作 江國香織/訳 講談社 青い鳥文庫 p.166

そこで、チルチルとミチルはいろんなひとたちと出会いますが、
大混乱になったりします。

見えない“よろこび”と“幸福”たち

そして、ものの見方が変わったとき
“よろこび”たちがやってきます。

「この世には、人間たちが考えているよりも、ずっとたくさんの
“よろこび”たちが存在するの。“幸福”たちもよ。でも、多くの人たちには
それが見えないの」

『青い鳥』メーテルリンク/作 江國香織/訳 講談社 青い鳥文庫 p.185

赤ちゃん天使たちは、
この世に生まれるのを待っている。
チルチルとミチルの幸福たちと出会います。

「聞いたかい? 彼の家に幸福があるかだって! なんてこと言うんだろうね、すみからすみまで幸福でぎゅうづめじゃないか。ぼくたちは笑ったり歌ったりして、きみの家のかべも屋根もふきとぶくらいたくさんのよろこびをつくりだしてるんだぜ。なのにきみはなにも見ようとしないし、聞こうとしないってわけだ。これからは、もっと感じとってほしいな。もっとぼくたちに注目してくれるべきだよ。そうすれば、つぎに家に帰ったときにはずっとよくものが見えるはずだし、そのうちにすばらしい日がやってきて、どうすればぼくら幸福たちをはげますことができるか、きみにわかるかもしれない。きみがちょっとほほえむとか、感謝の言葉をかけるとかすれば、それだけでぼくたちははりきっちゃって、きみの生活をもっとゆたかに、もっとたのしくしようと力をつくすんだからね。

『青い鳥』メーテルリンク/作 江國香織/訳 講談社 青い鳥文庫 p.191



今まで気づかなかった家のなかのいっぱいいる幸福たち。


ただ存在するという大きなよろこび

まず最初に、彼女は“ただ存在するという大きなよろこび”だよ

『青い鳥』メーテルリンク/作 江國香織/訳 講談社 青い鳥文庫 p.196

わたしたちは生きているだけでしあわせで、
ただ存在するだけでよろこびだということを
忘れている。

そんなことに気づかされると同時に、
光と影、幸福と不幸がひとつのものだという真実についても
書かれていた。

「いずれ、そのときがくるでしょう。光と影、あなたがたと不幸たちが、
もとどおり一つになれるときが」

『青い鳥』メーテルリンク/作 江國香織/訳 講談社 青い鳥文庫 p.209

長い旅を終えて、結局青い鳥は見つからないまま
家に戻ってきたチルチルとミチルは
お父さんとお母さんを愛おしく見つめて
家のすべてが生き生きと輝いているのをみまわします。

そして、その家の中で
チルチルの飼っていた鳥が
青い鳥になっていました。

しあわせは、すでに手元にある。
私はすべてをすでに持っている。
すべて満たされている。
それに気づくことから、
世界は始まる。

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