クジラと蛇口のいちごつみvol.5
写真と短歌の「クジラと蛇口」です。
冒頭の写真は、蛇口ひろこの作品です。
お互いのブログで、短歌な交換日記で遊んでいます。
ここでは短歌だけをまとめています。
目をとめていただきありがとうございます。
◆いちごつみ:相手の短歌から一語を選び、その語を使って短歌を詠む遊び
階段を降りているとき気をつけて膝のお皿に棲むシーラカンス/藤田美香
階段を一段飛ばしで駆け上がり乗った列車が違う行き先/蛇口ひろこ
たましいをおそらく乗せていたはずの紙飛行機を追いかけてゆく/藤田美香
滞空を狙うか飛距離を狙うかで紙飛行機の折り目は変わる/蛇口ひろこ
古本の折り目を開けばこぼれ落つ還し損ねた はなびら さくら/藤田美香
集合の時間を決めて各々の宝を探す古本の市/蛇口ひろこ
朝市に潮の香を見に行くところ 無性にどこかにかえりたいので/藤田美香
釣り糸を垂らし待つこと投げ出して散歩に出れば潮目が変わる/蛇口ひろこ
釣り糸はフリーノットで結ばれてちょうど私のピアスのところ/藤田美香
※フリーノット:ルアーの動きを妨げない結び方
咲き乱れるように枝に結ばれたおみくじは春の雨に打たれて/蛇口ひろこ
布団から這い出てコーヒー飲み干して駅までの道 影が乱れる/藤田美香
駅ひとつ隔てた町に父母は高齢世帯を構えておりぬ/蛇口ひろこ
大学の構内にバラ園がある行ってみればと子がぼそり言う/藤田美香
にぎやかなナンジャモンジャの木の下でナガミヒナゲシぼそりと咲けり/蛇口ひろこ
どんたくの舞台が組まれていそいそと春の終わりのにぎやかな街/藤田美香
食べ過ぎも運動不足も正確に数値で示す体組成計/蛇口ひろこ
ダメージの数値を他人から告げられてまだまだいけると思ってしまう/藤田美香
遊ぶ子のほとんど居ない公園で夕焼け小焼けが五時を告げる/蛇口ひろこ
海沿いの公園しずかに賑わって遠くに聴こえる耳鳴りのよう/藤田美香
耳鳴りと思ったものは海鳴りでそれでも海から離れられない/蛇口ひろこ
内に向く叫びも離陸の轟音に紛れてしまえ 翼見上げる/藤田美香
白菜と葱と椎茸と白滝と豆腐に紛れるお肉をすくう/蛇口ひろこ
はつなつの朝の空気に冷やされてわたしはただの肉のかたまり/藤田美香
いまはどこで眠るのだろう愛・地球博で会った冷凍マンモスは/蛇口ひろこ
いままでにどれほど眠ってきただろう必ず目覚めるわけじゃないのに/藤田美香
地下鉄で覚王山を通るとき降りるかどうか迷って過ぎる/蛇口ひろこ
過呼吸じゃ死にませんよと言われたがあの日わたしは一回死んだ/藤田美香
梅の実が出回るたびに焦りつつ梅仕事もせず梅雨がまた来る/蛇口ひろこ
真実はいつもひとつと言うひとよ長く生きてりゃそうでもないよ/藤田美香
反抗期過ぎたと思えば身長を抜かされ労わられる日々へ/蛇口ひろこ
【121.皿→122.階段→123.乗(る)→124.紙飛行機→125.折り目→126.古本→127.市→128.潮→129.釣り糸→130.結ばれて→131.乱→132.駅→133.構→134.ぼそり→135.にぎやか→136.組→137.数値→138.告げる→139.公園→140.耳鳴り→141.離→142.紛れる→143.肉→144.冷→145.眠→146.覚→147.過→148.回→149.実→150.長】
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短歌じゃない話の方が、盛り上がっています。
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