#友達が泊まりに来た

カフェ&バーのあえてくすんだ壁に、商品の広告がある。暗い樹海に佇むギネスや雲の上に描かれたコロナだって、アルコール界でいうアイドルなんだろう、威風堂々、ファンタジック、けれど修正多めで。疲労で泡を噴き出しそうだ。

渋谷に集まる人々よりずっと、そんなアイドルビールがオフになったときにどこかのバーで出会って、名前も聞かずにお疲れ様~と乾杯し合いたい。ワンナイトはなしで、終電で帰宅するのだ。

どうしたって東京だから、ワンナイトラブが溢れかえって、おかげでラブホでバイトを始めた後輩は客数に困らずサービス券をもらえるそうな。だからまたスパイラル。

バーカウンターに置かれたゴムは使わないくらいならアラビアンな国々の少女にあげた方が効率的だろうけれど、そんな実情撥ねとばすくらい、私だって飢えている。

涙で濡らせば何度でもやり直せる紙粘土じゃないと知っているから、簡単に友情の壁をぶち破れない。そっと布団を整えて、トイレットペーパーを三角に折って、生理用品を捨ててから、また今度ねを繰り出す私は、いい友達でいれますか。

#詩 #エッセイ #同性愛

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