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わたしについて (改訂二版)


味覚と視覚の刺激への渇望値は、反比例する。不安定に平均的な、理論及び方程式は、私の中で20年ほど改革の文字をなぞらなかった。
自身がパイソン柄に魅力を感じるという事実。新訳。依然、強い塩味は好ましいままで。


幼少期に見た太陽の塔は瞬間の嫌悪と恐怖をもって毛細血管を沸き立たせた。「あれだけおぞましいものは芸術ではない」と純粋な反応の日、母はまだ、神の輪郭を私に知らしめなかった。
ジッパーを縫い付けられた毒々しく猛狂うサメは、心臓を囲うビニールをニチァと割いて、教科書越しに私の玻璃に針を放つ。

果たして、今日の偶然の流れの途中、手に取った岡本太郎の画集は私を循環させていった。原色に磨き抜かれた爪は何処へ身を潜めたか。はたまた、古傷とは自己存在を嘲笑するオブジェであるか?


友人の明瞭を全て詰め込んだように彼女の腰で発光していたビビッドピンクのボディバック。首の産毛が微かにふるえる。なにかしらの同化を求めたあの時分に、受け入れがたい個性。
昨日、同色のポーチが私の動脈を踊らせた。


笑ってしまう。しかしほんとうは何も変わっていないのだ。疲れるほどに、刻み続けて新たにつくったものすらも。


矛盾した澱みを、決死の覚悟で心に晒す。潰れた母音のように醜い、私という存在の、人間と名のつく部分について。
神であるものの絶対は、人ではないかもしれないと、唐突に知らされた雨の日の匂いは、曲線を明瞭に測量する。感動した、と不純のない彼女の言葉は、曇りなき空の太陽だった。延長線上の掠れた未来が、泥を拭って肩甲骨をのばし始める。



わたしについて(改訂二版 2021.2)



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