![マガジンのカバー画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/136303040/f7c8a95bd2ba6ad32b83b3350c0b686c.jpeg?width=800)
44歳、お気楽専業主婦が、故郷にある父の会社を継承することになりました。9歳の頃、家を出て行った父。なぜ三女の私が事業継承者なのか?全てが実話です。月に一度以上更新します。
¥550
- 運営しているクリエイター
#鵠更紗
15 死期を感じた日
2024年5月。
いつも通り、給与計算の為に新幹線に乗って出張へ出かけた。
夫の仕事の都合がつかず、子どもを通学路の途中まで見送り、仕事モードのスイッチを押した。
本当はわざわざ東京から新幹線に乗って片道3時間もかけて出張しなくても良いのだろうが、そこは二代目社長となる身。
毎月顔を見せることで生まれる信頼関係もあると信じているので、多少の無理をしてでも事務所へと出向く。
12 名刺づくり
展示会に行くにあたって、名刺が必要となった。社員に、私用の名刺を発注してもらった。
メールアドレスも専用のものを作ってもらった。大抵はmyouji(苗字)@会社名.co.jpとなる。
私は結婚してから姓が変わっているので、父とは同じにならなくて済んだ。
2 詐欺
死ぬ死ぬ詐欺
これは、少し前に世間を賑わせた類の詐欺ではない。
私が、実際に遭遇した、親族内で起こった詐欺の話であり、それは今なお継続中である。
私が中学生の頃だった。
「お父さん、あと5年か10年しか生きられないから」
3 初出勤
2022年3月。
息子が幼稚園を卒園し、春休みに入った。
夫に子守を任せて、父の会社に出勤した。東京の自宅から片道3時間。
父の会社の最寄り駅である田舎には、タクシーさえ止まっていない。
田んぼに挟まれた農道をすり抜けて、事務所へ入ると、相変らず散らかっていた。
7 電話ふたたび
2024年1月。
スーパーで買い物をしていると父から着信があった。
毎度のことながら、父からの着信は心臓が飛び出るほど驚く。
父は滅多なことでは、私には(私以外の家族にも)連絡をしてこない。