16 突然の賞与
5月末の金曜日、会社からメールが届いていた。
父からではない。従業員のトップからだ。社長である父からの指示で、追加の賞与が支給されるという。決算で黒字が出ていることは父から聞いて知っていたが、3月にも賞与が出たばかりである。
5月で経理担当者が産休に入り、次の給与計算から私が一人で担当する。
自宅で入念に準備をしていて、あとは出勤してタイムカードの計算をし、賃金台帳に記入して振込作業をするだけの状態にしてある。それなのに、急に賞与計算までしなければならないとは。
父の会社では、いまだに、給与計算を電卓で行い、手書きで賃金台帳に記録し、複写式の明細書に記入しているのだ。
ようやく計算式や、税額表の見方を覚えたというのに、賞与はまた計算方法が異なる。
気になったらすぐに行動しなければ気が済まない私は、家事を終えて子どもを寝かしつけた後、深夜2時までパソコンに向かっていた。
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