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16 突然の賞与

これは、専業主婦である私が、突然父の会社を継ぐことになり、二代目社長になるまでの軌跡を綴ったエッセイである。



5月末の金曜日、会社からメールが届いていた。
父からではない。従業員のトップからだ。社長である父からの指示で、追加の賞与が支給されるという。決算で黒字が出ていることは父から聞いて知っていたが、3月にも賞与が出たばかりである。

5月で経理担当者が産休に入り、次の給与計算から私が一人で担当する。

自宅で入念に準備をしていて、あとは出勤してタイムカードの計算をし、賃金台帳に記入して振込作業をするだけの状態にしてある。それなのに、急に賞与計算までしなければならないとは。

 父の会社では、いまだに、給与計算を電卓で行い、手書きで賃金台帳に記録し、複写式の明細書に記入しているのだ。

ようやく計算式や、税額表の見方を覚えたというのに、賞与はまた計算方法が異なる。

気になったらすぐに行動しなければ気が済まない私は、家事を終えて子どもを寝かしつけた後、深夜2時までパソコンに向かっていた。

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田舎の中小企業の事業継承について、家庭環境を含めて赤裸々に知ることができます。マガジン開設時(2024.4.5)は、まだ社長になっておりませんので、私が社長になるまで継続して長期的に読むことが出来ます。

44歳、お気楽専業主婦が、故郷にある父の会社を継承することになりました。9歳の頃、家を出て行った父。なぜ三女の私が事業継承者なのか?全てが…

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