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#132 インスピレーション【恋日記】

【前回までのあらすじ】

2023年7月20日(木)の日記〈前編〉


マッチングアプリで一度だけ会ったフォトグラファーKと、16日ぶり2回目のデートの日。焼肉ランチデートに付き合ってくれるとのことで、前日から漢方薬などを飲んで胃腸の調子を整える。

出発までの時間

13時に待ち合わせの場所に到着するには、12時過ぎには家を出発しなくてはいけない。既に心はざわめき立っているのだが、なるべくいつも通りの日常を過ごすよう努力する。しかし、朝起きた時からすでに背中が痛い…おそらくものすごい緊張感からまた自律神経かな?
とりあえず、気持ちを落ち着かせるために半夏厚朴湯を一包飲んでおく。そして焼肉ランチがしっかり食べられるよう、朝は少なめでレトルトのお粥と梅干しのみ。

Kからは「おはよう」のLINEも来ないので、それも少し不安になりちょっとイライラ。なんだか緊張してお腹も痛くなってきたよ〜😭
私の方からKにそのことをLINEすると「ただのランチじゃん!」と返信が来た。いやそうじゃなくてさぁ〜!Kと会うのが怖いんじゃん。
そのままの気持ちを送ってみたけど、返信なし。

まぁー、男なんて、所詮女の気持ちなんかわかんないよね。
初めてエッチをするわけでもないのに、なんで会うのを怖がってんの?って感じで、きっと頭の中は?だらけだろうね。だってもしかしたら、この後会った瞬間、すごく好きになっちゃったらどうするの?その後どうなっちゃうの?私だけどっぷり恋の沼にはまったら?捨てられるのも振られるのも嫌われるのも怖いし、私が相手に冷めてこの恋を失うのも怖い。逆に2回目会って、やっぱりイメージと違ってだめじゃん!てことになって、何も始まらずに終わってしまうのも怖い。

1回目は訳がわからず一方的に押されまくり、感情が追いつかないままのいろいろな出来事だったので、その時は、この日の事は記憶から消し去りたいと思ったけど。今回は間違いなくあの時とは違う。LINEのやりとりだけだけど、Kのいろいろな部分も少し見えてきて、好きな方向に確実に気持ちが向かっている。

出発の時間が刻一刻と近づいてくると、もう心臓が爆発寸前。メイクをしてる最中も呼吸がめちゃくちゃ浅くなってるので、深呼吸をして気持ちを整える。なるべくいつも通り、平常心を保って…。

待ち合わせ

とある駅のロータリーで待ち合わせたが、おそらくもう相手は到着しているだろう。私は定刻の2〜3分前に着き、それらしき人物を探す。後ろ向きにガードレールに腰掛けている男性の腕にタトゥーを発見。
この人だ!
近づいて横に立ち、彼が気づくのを待ってみる。私に気づいたKは歯並びのいい白い歯をのぞかせて、嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
初対面の時はプロフ画像とイメージが違ってショックを受けたのだが、立ち上がった彼を見てみると、あれ?前回よりちょっと体がスリム?

「少し痩せた?」「ジョギングはしてるよ😊」
それに、前回は夜でなんとなく太って見えた気がするけど、上半身は逆三角形でラガーマンみたいなマッチョ体型(特段マッチョは好きではないけど、太ってるというのとはちょっと違っていた)。
てゆうか、気のせいか、2週間ぶりに会う彼はめっちゃかっこよくなっている!!実はさほど変わってないかもしれないけど、私の気持ちの変化によって、彼を見る目が変わったのか?
それに…白髪混じりのもみあげも伸ばしてる笑!なんかかわいい😆

やばいやばいやばい!
2回目会ってがっかりして3回目以降はなし!のコースではなく、おそらくどんどん先に進む方向でいきそうだ。既にKを見る私の目がハート型になっている。Kはと言えば、ずっと口角上がりっぱなしで満面の笑み?あくまで私の感触だけど、私に会えてすごく嬉しそうな感じがした。

手には缶ビールを持っていった。少し申し訳なさそうに「アルコール飲んじゃった💦」と、K。別に飲んじゃダメなんて一言も言ってないのだが、飲み始めると食べなくなるので、今日のランチは飲まずに食べに徹することを決めていたようだ。

手つなぎデート 達成❗️

Kが右手に持っていた缶ビールを左手に持ち替えて歩き始めた瞬間、フリーになったKの右手をぱっと握りしめる。前回は好きかどうかもわからない人から「手をつなごう」と言われて、「つなぎたかったのはこの手だっけ?」と納得できなかったのだけど、今日は絶対私から手をつなぎたいと思っていた。
なんか慣れないことをしてこの時点でテンパってしまい、口から心臓が飛び出そうなくらい緊張しまくり💦

Kからは、店の場所はわかってるの?とか、もう決まってるの?とか、行きつけの店なの?とか、そんなようなことを次々質問されたが、私はと言えば、心臓バクバクで全く言葉が出てこない。それに、そんなどうでもいい会話じゃなくて、もっと会った瞬間にお互いに伝えなきゃいけないことがあるでしょ!!
恥ずかしさを抑えながら、やっとの思いで声をふりしぼり
「・・・会いたかった」
と伝えた。もっと可愛く言いたかったのだけど、緊張のせいで抑揚のない低い声になってしまった。この後彼はなんて返事したんだったか…肝心のところの記憶が途切れてる😓
自分の気持ちを伝えるのに精一杯で、頭が真っ白状態だったから。

その後も店に着くまでの間、ロボットのようにぎこちない歩き方でカチコチに緊張したままで、どんな会話をしたかも覚えていないが、まるで恋愛経験の浅い女子高生のような気持ちだった。
おいおい、年いくつだよ〜?

焼肉デート 達成❗️

初回の食事デートで焼肉屋さんて、今考えるとちょっとハードル高かったかな?もう何年もアキヒコとのパターンに慣れていたので、なんだか調子が狂ってしまった。
注文もいつも彼がサクサク決めてたし、焼くときも自分のものは自分で的な感じで、お互いに気を使わずに食べられていたのだけど、やっぱり慣れない人だとそうはいかない。すでに注文する時点で、なんだかスムーズではなかった。
2人の間を遮る炭火とか換気扇の音とかも、多少会話の邪魔になってしまった。焼肉が食べたくてしょうがないということではなくて、このシチュエーションを再現したかったのだけど…無言で肉をガツガツ食べるアキヒコの記憶がまだ新しいので、しゃべりながらゆったりと焼肉を食べているのが何となくぴんとこない。まぁー、最初のうちはそんなもんだろうね。

会話が弾んだかといえば…特に弾まず笑。
寿司屋の時とは違って、周りの人に聞かれても特に差し障りのない話題が多くて、これも何か違和感。
そうか。前回はエッチな話が多かったから彼のテンションも上がってたし、、、それに、あの時はすごいピッチでビールを飲んでたから、酔っ払ってたんだな〜。

ちょっと嬉しかったのは、彼もTBSラジオリスナーだったこと。Rhymester宇多丸とか、ジャンクとか、荻上チキとか、森本毅郎とか、意外とマニアックな話題ができて、TBSラジオファンとしては嬉しかった。別に焼肉ランチが盛り下がったわけではなくて、なんだかお互いに目からハートを出し合って見つめ合ってる…そんなラブラブモードな感じ?
店内も薄暗く彼も色つきメガネをかけていたので、視線がどこを見てるのかも目の表情もわからなかったのだが、口元は常にほころんでいた。

600分の1

焼肉屋さんで1番記憶に残った言葉。
LINE交換をして初めて、私が送った顔写真でKは私の顔を知ったのだが、その時点で彼が好き好きコールをしてきた。
何日間かやりとりしていたわけでもなく、性格とかもよく分からない状態で、なんで「好きだ」って簡単に言えたの?と聞くと、Kはひと言「インスピレーション」と答えた。フォトグラファーの人から言われると、すごく重い言葉に聞こえた。(そういえば、あーちゃんも会った瞬間の直感で好きになるとか言ってたな。彼の言葉はちょっと軽いけど笑)

Kが私の写真を見てぴんときたのと同様に、私も数多くのプロフィール画像を見て、その「インスピレーション」を感じた唯一の人がKだ。
全員が顔写真を載せているわけではないので、実際顔を見た人は600人より少ないが、強烈に惹かれて興味を持てる人は他にはいなかった。
しかもKは自分のプロフ画像以外、特に自己紹介とか文面は何も載せていなかった。たった1枚の、その写真が決め手になったと言っていい。

「性格なんて、後からどうにでも合わせられるから」とも言っていた。やっぱりそうだよね〜!!私も一目惚れが多いので、断然そっち派で、相手のことをよく知って徐々に好きになっていったケースは過去にないなぁ。ぱっと見て、「この人と付き合いたい!」「興味がある!」という気持ちで決まる。リアルな環境での出会いでも、SNSでの出会いでも、結局最初にその人に興味が持てないと何も始まらないから。

ただ、過去の彼氏たちが全員好みのタイプだったかというと、別にそうとも限らず、タイプの統一性はない。そもそもKだって、道ですれ違っても全く見向きもしないタイプだ。リアルで一目惚れした人の中には顔がタイプの人も確かにいるが、そうでない人は、(Kを含めて)その人が醸し出す雰囲気に猛烈に惹かれる。

まち散歩デート 

焼き肉屋を出てすぐ近くの喫茶店でお茶でもしようかということになったのだが、外もさほど暑くなかったので、少し駅周辺の裏道を2人で歩いた。彼が私の生まれ育った地元にわりと長く住んでいるということで、共通の話題があるのもちょっといいな。
今度は彼の方から手をつないできて、それも嬉しい♪
2人で歩いたこの時間がこの日1番楽しかったかな〜。一緒に食べるのももちろん楽しいんだけど、手をつないで横に並んで歩く手つなぎデートは、距離がますます近くなって相手の気持ちが伝わってくる気がする。そして、エロいこともあまり言わないでくれたから、すごく気持ちも高まった。

会うまでの2週間強は、LINEがマメかというとそうでもなく、さらに通話もできないので声も聞けないし、時々LINEの文章も冷たく感じることがある。そういう時は、気持ちが分からないから不安で仕方がない。
しかも3回ブロックしたし、通話のことでちょっと気まずくなったり、紆余曲折あったから。

でもこうして直接顔を見れば、「あ、Kは私のこと好きなんだなぁ」とはっきりわかり安心する。特に私の手のひらは体温が高くて、自分でも熱いと思っているので、夏の暑い日に相手に悪いなと思って手を繋ぐのをやめると、また握ってきてくれる。お互い手汗かいてるのに。
そういえば以前のブログに、“コロナ禍になってから手を繋ぐのはちょっと抵抗あるかも…”なんて書いた気がしなくもないけど。もう好きな人ができたらそんなの関係なくなるわ。
手つなぎデート、チョ〜うれしいもん☺️

別れの時が・・・

少しお散歩したせいでカフェには寄れなくなってしまった。もうすぐ駅に到着してしまうが、次の約束がまだできていない。
「また会ってくれる?」と私からKに聞いてみる。
「もちろんだよ〜」
「じゃあ、今度はいつ会える?」
「家に帰って、スケジュール帳を調べないとわからないから…」
「日曜日とかも予定空いてる?上野の不忍池に蓮を見に行きたいんだけど」
「上野は…ちょっと遠いなぁ〜」
えっ?!上野が遠いんだ!!
まぁ、実家に住んでいた頃は、確かにあまり行かない場所だったが、ソロ活ですっかり遠距離移動に慣れてしまった私は、1時間半は全然余裕だった。場所によっていくかいかないかも決まるんだー。

「丸一日、会える日とかもあるの?」
アキヒコのような定休日がはっきりしているサラリーマンではないので、仕事の予定はその都度確認しないとわからない。撮影以外は自分で自由にスケジュール管理ができるから、1日体を開けることも可能なようだが、2日連続とかだと金銭的な意味で厳しいらしい。まぁフリーランスだからね。仕事を断ったら食べていけないだろうし。
この人とはあまり、お出かけとか旅行は期待できないな。

私は夕方からクリニック、彼はこの後仕事の用事で違う場所に移動するとのことで、わずか2時間のデートは終了。
時間は短いけれど、濃厚な2時間だった。
やっぱり昼間のデートはなんとなくいいなぁ!

ついに駅に到着してしまい、別れの時間が来てしまった。もっともっと一緒にいたかったのに…。
すると駅前の改札口でKの口から出た言葉は
「この次はエッチしたい😚」
えっ!!もう?!しかも人のたくさんいる駅前で言うなー!
「だって今日はいい子にしてたじゃーん😁」
た、たしかに前回とは別人のように普通の人だったけど、私的にはもうちょっとこんなプラトニックデートを楽しんで、少しずつ距離を近づけていきたかったのに…私の意見を尊重してくれるんじゃなかったの〜?

そしてこの後…Kはまた、いつもの変態に戻っていく。んー、、、やっぱり4回目のブロックなのか〜?
(後編に続く)




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