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社内SEからのコンサル転職⑤属人化との戦い、そして敗北〜

前回までのあらすじ

情報システム部門の端末のお世話を前任者のおじいちゃん社員から継承し、ヘルパーさんの業務は一通りできるようになりました。大型の開発案件に取り組む同期や先輩たちに内心は劣等感を感じながらも、新たな業務を担当することになります。

前回のお話はこちら↓

古株さんとの新タッグ

前回記事のキッティング業務の他に、同じ部の古株社員とタッグを組んで業務端末の管理業務(人事異動や部署移転などによる人員増減に併せて、必要な業務端末の増設手配、余った業務端末の撤去手配等)を担当することになりました。
この古株社員 の方ですが、20年以上に渡って業務端末の管理業務を行なっています。非管理職ではあるものの、情シス社員の中でも年次がかなり上に位置し、課長よりも年上です。(以降「古株さん」と呼称します)
古株さんが業務ひとりでやるのが大変だから、ということで私が一緒に業務を担当することになりました。

アンタッチャブルな非効率業務

これはどこの会社でも部署でも当てはまることですが、特定の社員のみに長年も同じ業務をやらせると、高確率で業務の属人化が発生します。古株さん1人で20年以上行っていた業務端末の管理も例に漏れず属人化しており、業務内容は周囲から完全にブラックボックス化していました。
属人化のデメリットは色々とありますが、担当者の中での最適化が行われ他人の目が入らないので、非効率な業務フローになっていることに気づきにくかったり、担当者が意図的に非効率な業務フローを作るリスクがあります。業務端末の管理業務は、古株さんによって意図的に非効率な業務フローが確立されていました。
具体的にどういった業務フローなのかを見ていただくのが良いと思うので、簡単に業務フローを作成してみました。
※個人所有のPCにはPowerPointが入っていないのでGoogleスライドを使いましたが、こんな簡単なものでも非常に手間がかかりました。。。スライドで作ってしまったのでスペースギチギチですがご容赦ください。(スプレッドシートは図形作るのがめんどくさい)
スペースの関係で端折りましたが、実際はさらに無駄に複雑です。

■例1.キッティング
まずは前回の記事で書いた、情報システム部門のキッティング業務フローです。
端末を社内NWにアクセスできるようにするために、資産登録のうえ、ベンダーさんに割り当てるIPアドレスを発行してもらう必要があります。この作業をできるのは古株さんだけという謎ルールがありました。(IPアドレスの発行申請フォームは、ご丁寧に古株さんのユーザーID以外からは申請ができないように権限設定されていました)

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私がIPアドレスの発行申請ができた方が情報連携分のタイムロスがないですし、古株さんが不在の場合は端末のキッティングができません。(急遽端末が故障した場合など、急ぎで端末のキッティングが必要な状況は起こり得ます)そのことを伝えて、私にもIPアドレス発行申請の権限をもらえるように古株さんに依頼したのですが、「私以外の人にやらせると登録がめちゃくちゃになって管理できないから」「私が休みの時に緊急でキッティングが必要になった時のために、事前に予備の端末をキッティングしておけば良い(これをやると後々の管理が面倒)」と頑なに権限を渡してくれませんでした。
※ちなみに、古株さんは私が担当している作業はできないし、やる気も一切ありません。

例2.ユーザー部門増員に伴う業務端末増設
こちらが古株さんとタッグを組んで行うユーザー部門の端末増設業務フローです。(古株さんとわたしの作業を「情シス」としていますが、基本的に実作業はすべて私が行い、古株さんがチェックする役割分担です。)
振り返れば無駄な作業や改善点はいくらでもあるのですが、まず端末を増設する際の申請手順がユーザー部門に公開されていないという致命的な問題がありました。そのため、増員が発生し、端末が必要になったユーザー部門から都度問い合わせを受けて、申請手順を電話で案内する必要がありました。
端末の増設は定期人事異動などのタイミングで必ず10以上の部署で発生しますので、人事異動発表があった直後から問い合わせが殺到することになります。

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もちろん問い合わせ先の案内もないので、別業務の担当者に問い合わせが来たり、ユーザー部門からの連絡が遅れ(何をしなければならないかわからないため仕方ない)、新規増員者の着任日に端末の手配が間に合わずにトラブルになるケースもありました。
申請内容は「いつまでに何台欲しいか」程度で、類似のワークフローシステムはいくらでもありましたのでワークフロー化も可能ですが、ワークフロー化するには多少なりベンダーさん作業が必要でお金がかかりますので、「都度問い合わせを受けて説明していると負荷が高いので、せめてユーザー部門向けの申請マニュアルを作成して公開できませんか?」と打診したのですが、「マニュアルを公開すると、申請ルールの内容に対してユーザー部門からクレームがくるから公開できない」という理由で却下されました。(ルールを公開していないのに、ルールを逸脱してますと伝える方がよほどクレームに発展すると思うのですが。。。)
また、ユーザー部門から端末増設の申請を受けた場合は人事異動表と業務端末の管理DBを見比べて本当に端末増設が必要か確認しているのですが(業務フローのちょうど真ん中部分)、新入社員による増員の場合は人事異動表に載らないので、申請の正当性判断ができません。そのため社内には非公開の新入社員の配属先一覧が人事部からベテランさんにだけ連携されることになっていました。
ベテランさんはその配属先一覧の内容を私には連携してくれないため、新入社員による増設問い合わせがあった場合は、都度ベテランさんに確認が必要でした。

ベテランさんとしては、自分だけでは忙しいという口実で私に面倒な仕事は押し付けつつ、特定の業務は自分しかできないようにすることで社内の地位を守りかったのだと思います。また自分の仕事が奪われ、地位が揺らぐことのないように、自分が決めたやり方を変えることも避けたかったのだと思います。
属人化はどこでも起こり得ることですが、情シスのような専門性のある部署においてはより発生しやすいものです。私がいた会社の情シスでは、自分の業務を意図的にブラックボックス化させ、「自分はとても忙しい」とアピールすることでそれ以上の仕事を拒否するとともに地位を確立させている人が多くいました。こういった人は「忙しい」と言うクセに他の人が手伝えるようにマニュアルを作ったりは絶対せず、意地でも周囲に仕事を渡そうとしないので組織として非常に厄介です。

元々の開発案件に携われないことに劣等感を感じていた上、自分の中では非効率と思えるやり方を強制されることで私のフラストレーションは日に日に溜まっていきました。

反発・敗北・転職・病欠

私は仕事の進め方で古株さんに意見することが多くなりました。
しかしその意見は一切受け入れられなかったので、反発することが多くなり、古株さんとの関係も悪化していきました。
ことあるごとに口論になるレベルに達したころに私は課長に呼び出され、「古株さんがengnのことを怖いと言っているので、言い方には気をつけて欲しい」と注意されました。私も効率化に向けた意見がすべて拒否されていることなど伝えましたし、課長も属人化を課題とは認識していたので一方的に私が悪いとは思っていないようでしたが、古株さんは課長より社歴が長いこともあり、古株さんから私のことを相談された以上、私に注意することでことを収める判断をされたのだと思います。
課長判断を責めるつもりはないですし、当時の私にもモノの言い方など悪い部分は多々あったと思います。しかし私はもう耐えることができないと思い、初めて転職サイトに登録をしました。

とはいえ、ただ逃げたかっただけでやりたいこともなく、本気で転職をしたい気持ちもなかったんだと思います。
リ●●ビNextにだけ登録したのですが、求人の探し方も転職活動の進め方もわからず、お勧めやスカウトされる求人がエンジニアばかりで私のスキルでは不可能だと思い転職は諦めました。(実際、この時に転職活動をしても良い結果にはならなかったと思うので、結果的にはよかったと思います)

この頃からたまにやりとりすることのあるベンダーさんから「engnさんこの仕事好きじゃないでしょ?見たらわかります。転職するなら早い方がいいですよ」と言われたり、同じ部の人から「常に●すぞって顔してる」と言われたので周囲からも異常なのがわかるほどにはよろしくない状態だったようです。精神的なストレスから体に不調も出るようになり、朝起きると熱もないのに異常な倦怠感があったり、嘔吐しかけることもあり、会社も休みがちになりました。

こんな状態でたまに休みながらしばらく働き続け、課長が見かねたのか部署内の担当業務換えが命じられます。。。

属人化された環境はチャンスかも

私は結果的に属人化された業務を変えることはできませんでしたが、属人化されている環境は見方によってはチャンスかもしれません。
転職市場(特にコンサル)では自ら周囲を巻き込んで何かを成し遂げた経験が評価される傾向にありますので、業務改善のエピソードは転職市場での武器となります。日々の仕事で業務改善に携わる機会はなかなかないと思うので、属人化された環境に身を置いたら、チャンスと思って改善に向けて動くのもいいかもしれません。(私は失敗しましたが。。。)

今日はこのあたりで。次回に続きます。





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