良い子にしていれば
カチコチと時計が鳴る。
もう間もなく12時を回って、サンタがプレゼントを持ってきてくれる。
今年は最新のゲーム機をお願いした。去年は好きなキャラクターのグッズが沢山貰えたし、一昨年は後輪も変速出来る自転車を貰えた。
僕がきっと良い子にしていたからだ。
それに比べてあいつは悪いヤツだ。
服はいつも同じで汚いし臭い。話しかけてやっても全然返して来ない。勉強も出来ないし運動音痴だしとにかくどんくさい。一緒に遊んでも楽しくない。
みんなそう言うし僕もそう思う。
あんなヤツの所にはサンタなんか来ないに決まってる。
カチコチカチコチ
ミシッ
サンタだ。サンタが来たんだ。家のどこからか音がする。
僕は毛布を頭から被って息を潜めた。本当は会ってみたいけど、サンタさんに迷惑が掛かっちゃいけないから静かにしておかなくちゃ。
するとその音は僕の頭のすぐ近くで止まった。カサリと紙を手に取った様な音がする。
プレゼントを置いてくれるんだ。そう思うとドキドキが止まらない。
暫くして低い声が静かに響いた。
「今年の……」
言葉も掛けてくれるんだ! こんな幸運があるんだ! 逸る呼吸を抑えて続きを待つ。
「今年の君は悪い子だったからゲーム機はなしだよ。その代わりこのプレゼントをあげよう」
悪い子? 不思議に思った次の瞬間、眠りに落ちた。
「…………災の被害にはあいませんでしたが、被害者の子供は首の骨を折る重症。手には炭化した人の手の様な物が靴下に包まれていたとの事です。これに関し容疑者は子供にプレゼントする為にやった、いつも妬ましかったと供述しており……」
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