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"住まいにまつわる後悔をなくす" 強みの異なる2事業の協同で、さらなる成長拡大へ

今回は、株式会社くふう住まい(以下、「くふう住まい」)代表の長井と、この春に株式会社しずおかオンライン(以下、「しずおかオンライン」)からくふう住まいへジョインした「イエタテ」事業を牽引する管掌役員・坂本の対談です。異なるバックグラウンドを持つ事業が、これからくふう住まいの中で、どんな化学反応を起こすのか?必見です。

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株式会社くふう住まい 代表取締役
長井 健尚(ながい たけなお)
住友商事㈱、㈱ボストン・コンサルティング・グループを経て、2009年アマゾンジャパン㈱に入社。2019年1月旧㈱くふうカンパニーに入社、2020年1月㈱オウチーノ代表取締役就任。2022年10月より現職。
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株式会社くふう住まい 取締役
坂本 真吾(さかもと しんご)
2007年株式会社しずおかオンライン入社。営業部門、管理部門を担当した後、住宅情報メディア「イエタテ」及び「イエタテ相談カウンター」の事業責任者として従事。2021年4月から同社代表取締役に就任(現任)。2023年4月より現職。
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一貫してミッションは“住まいにまつわる後悔をなくす”

ーくふう住まいの前身は、住宅・不動産専門サイト「オウチーノ」を運営する株式会社オウチーノです。創業から20年間にわたり、住まいに関する事業を続けてきた背景には、どのような思いがあるのでしょうか。

長井:
私は2019年から「オウチーノ」に携わっていますが、サービスとしては20年の歴史があり、一貫して大切にされてきたものは、現在のくふう住まいのミッションである “住まいにまつわる後悔をなくす” に通じていると感じています。

多くの人にとって、住まいの購入は人生で一度か二度あるかどうかのため、経験値が積み上げられず、価格の相場もわかりにくい。そのため、大きな買い物であるにも関わらず失敗してしまったり、あるいは失敗にすら気付きづらいという課題があります。
たとえば料理をほとんどしたことがない人がスーパーでオリーブオイルを買おうと思っても、どの種類を選べばいいのか、買うものが決まったとしても適切な価格なのかを判断するのが難しいのと同じです。

ー確かに、普段から料理をしていれば、どれを買うか迷わないし「高いから別のスーパーで買おう」という判断もできますね。

長井:そうなんです。しかし、住宅の話になると、そうもいかない。“住まいにまつわる後悔をなくす” ためには、住まいの売買・リフォームなどを考える方々に必要な情報やサポートを提供することが大切だと考えています。

ー住まいのポータル事業である「オウチーノ」はまさにユーザー向けのサービスですよね。それだけでなく不動産事業者向けのSaaSツール「オウチーノ くらすマッチ」を運営しているのはなぜでしょうか?

長井:理由は同じです。住まいの売買・リフォームなどを考える全ての方が「オウチーノ」を利用するとは限りません。しかし、ほとんどの方は不動産事業者や住宅会社とはやり取りをする機会があります。私たちのSaaSツールを利用する不動産事業者が増えれば、私たちは間接的にユーザーを支援することが可能となり、結果的に“住まいにまつわる後悔をなくす”ことに近づきます。直接的か間接的かの違いだけで、根本のミッションは変わりません。

静岡で生まれ、ユーザーのニーズに寄り添い進化しつづけてきた「イエタテ」

ー「イエタテ」事業の前身となる地域住宅領域の事業は、2009年にしずおかオンラインで誕生しました。事業を始めた背景を教えてください。

坂本:しずおかオンラインは1993年に静岡の出版社としてスタートしました。設立当初は住宅事業は展開しておらず、地域情報を網羅的にユーザーが知ることができるサービスを提供していました。静岡県内のアウトドア情報や、飲食店情報など、様々な地域情報を発信する中で、家づくりの情報もまたユーザーが網羅的に知ることが難しい情報の一つであると気づき、そこから住宅事業がスタートしました。

▲しずおかオンライン最初の本は「静岡 アウトドアガイド」。静岡だけの情報が掲載された情報誌は当時珍しかった。

坂本:住まい事業がスタートした2000年代には、家を建てたい人が住宅会社を知るには住宅展示場に行くか、ポスティングされたチラシを見るというのが主流でした。一方、地域の工務店さんは、素敵な家を建てることができるものの、家を建てたい人への情報発信が上手くできていないことが多い。その2者のミスマッチを解消するために生まれたのが「イエタテ」です。

ーユーザーの家づくりの選択肢が広がったことが想像できますね。
 紙媒体から出発した「イエタテ」はWebメディア、フリーマガジンと展開を広げ、2016年には相談カウンター事業まで手掛けるようになりました。

坂本:相談カウンターは、今では店舗を構えていますが、最初はオフィス内の会議室からスタートしたんですよ。

長井:そうなんですか!

坂本:今の店舗からは想像もつかないですよね(笑)
当時、住宅専門のフリーマガジンは全国的にも珍しかったのですが、メディアだけではどうしても、多くの人が共通して求めている情報の発信に偏ってしまうため、ユーザー個人の悩みや課題に寄り添った情報提供が難しいと感じるようになったのが、相談カウンターを始めたきっかけです。我々が持っている住宅会社の情報や家づくりのノウハウを、個々のユーザーのニーズに合わせた形で提供することで、本当の意味で一人ひとりの家作りをサポートできるようになりました。

くふう住まいにジョインしてから3ヶ月で早くも変化が

ー2023年4月、「イエタテ」事業がくふう住まいにジョインしました。それぞれの目線での狙いを教えてください。
坂本:家づくりに対するユーザーニーズが多様化し、社会環境もどんどん変化していく中で、ユーザーの期待を超えるサービスを提供するためには、住まい情報を扱う私たちの専門性も高めていく必要があると感じていました。くふう住まいは住宅情報専門の会社ですから、そこにジョインすることでメンバーの専門性を高めていけると考えたのが一つです。

もう一つはWebやAIといったテクノロジーの部分。自分たちだけでサービスを提供していくよりも、インターネットサービスを事業の主軸とするくふう住まいと連携した方が飛躍できるだろう、ということも考えていました。

長井:「イエタテ」は地域情報メディアとして地域に特化した情報発信が得意、「オウチーノ」は住宅・不動産専門サイトとして全国にスケールしていくノウハウを持っています。
また、テクノロジー的な観点から見てみると、紙媒体からスタートして、Webやリアルのカウンターへ展開しユーザーとの接点が近い「イエタテ」と、Webベースのメディアやツールとして、ネットテクノロジーを強みに成長してきた「オウチーノ」。これらの出自や事業モデルが異なるサービスだからこその違いが、補完関係になると考えました。

坂本:ジョインしてまだ3か月しか経っていないですが(注:取材は2023年6月)、バシバシ変化を感じてますね。

ー早くも変わってきているのですね!

坂本:たとえばセールス部門では、自分たちでは今まで考えてもみなかったようなやり方を提案してもらいました。実際に試してみると、全然結果が変わったんですよね。

長井:地域に密着して深く掘り下げるアプローチと、全国規模で事業を展開していくのとではスタイルに差がありますからね。その違いから得られる気づきは双方にありました。

くふう住まい側の視点でいくと、「イエタテ」のカウンターチームが共有してくれる「迷うポイント」「役に立つポイント」といったリアルなユーザーの声は、SaaSツールの開発やセールス活動の場面で重要なヒントになりますね。

ークリエイティブの部分で感じる変化はありますか?

坂本:やっぱりAI爆速チームでしょう!

注)AI爆速チーム:生成系AIを活用した「イエタテ」のサービス開発を爆速でおこなっていくチーム

坂本:AIによって社会を取り巻く環境が大きく変化する中、くふうカンパニーグループでもAIを活用したサービス開発を加速させています。中でも「イエタテ」のAI爆速チームは、積極的に取り組んでいるチームの一つですね。

一方でWeb上でユーザーの行動を生み出す仕組みや見せ方は「オウチーノ」チームの知見を借りながら試行錯誤しているところです。

長井:「イエタテ」は住まいの良さや住んでいる人の温度感などを深く、正しく伝える、というのを得意としています。その知見は「オウチーノ」チームへも共有していきたいです。「そこに住んでいる人がこんな思いでこんな家を建てているんだ」という情報はユーザーが家づくりを考えるときに重要なヒントになりますからね。

▲同じグループ会社同士ということで統合の数年前にも情報共有をしていた2社だが、統合してからの方が圧倒的にお互いの影響で変化しているそう。

それぞれの強み×AI 掛け算で成長を加速させていく

ーそれぞれの強みがまさに補完関係になっているんですね。最後にお2人が思う「くふう住まいのこれから」の姿をぜひ教えてください。

長井:異なる強みを持つそれぞれのメディアやサービスに、AIを掛け合わせることで、成長スピードを加速させていきます。生成系AIを上手く活用すれば、今までと同じ人数で10倍のコンテンツが生成できる。それは、ただコンテンツの量が増えるだけでなく、ユーザーの多様化するニーズや、環境の変化に対応するスピードも上がるということなんです。
「こういうの流行っているのかな」「値上がりしてる?」といったユーザーの関心に対して、タイムリーに、かつそれぞれが持つコンテンツの強みやサービス展開のノウハウを掛け合わせて応えていきたいですね。

坂本:長井さんがおっしゃったことに付け加えるならば、単なる情報提供だけでなく、“機能を持ったサービス”を構想しています。たとえば既に山梨の相談カウンターで実施している「家づくりカルテ」。ユーザーが質問に答えていくと、家づくりの希望が可視化され、アドバイザーがそのカルテに沿って、ピッタリの住宅会社を紹介していくというサービスです。家づくりの希望が最初から明確なユーザーは少ないなか、このサービスはユーザーの希望を可視化できる“機能”を持っているというわけです。これは一例ですが、住まい選びにはさまざまな段階があるため、単に情報を発信してユーザーに選んでもらうだけでなく、個々のニーズに応じて活用してもらえるような“機能”をもったサービスにしていければと思います。

長井:“住まいにまつわる後悔をなくす”ために、まだまだできることがあるんだろうと思いますよね。

「イエタテ」がくふう住まいにジョインしたことで、サービスの提供範囲が広がり、ユーザーが情報を得る方法も選択肢が広がりました。じっくり話をしたい方はカウンター、自分のペースで情報が欲しい方はWebを利用いただけます。また、不動産事業者向けのSaaSツールを通じて情報を得る方もいます。私たちの情報発信の選択肢が広がることで、より多くの方々に価値を提供できると考えています。