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コロナ禍に過去最高売上を更新できた3つの理由

新型コロナウイルスの影響で多くの企業・店舗が売上減、営業自粛などに苦しんでいる中、弊社は新規事業で2020年5月に過去最高売上を更新することができました。この記事では、コロナ禍だからこそ学ぶことができた大切な「商売の基本」を紹介します。

いわきユナイトとは

私が代表を務めるいわきユナイト株式会社(福島県いわき市)は創業3年の食品を中心に取り扱う地域商社です。主な取引先は地元の観光施設や高速道路のサービスエリアなどで、地元のお土産として下に挙げているようなスイーツや調味料などを卸しています。

そしてコロナがやってきた

2020年の2月に入り、新型コロナウイルスの影響で人の移動が少なくなり、観光施設や高速道路サービスエリアからの注文は少しずつ減っていき、期待していた5月のゴールデンウィークの注文はほとんどありませんでした。
ある月の商品の製造は1年前の10分の1程度まで絞り込みました。

このまま何もせずにコロナが収束するのを待つという選択肢もあったかもしれませんが、資本力のない弊社にとってそれは死を待つことと同じなので、何か打てる手は無いかを考えました。

その頃、札幌商工会議所が立ち上げた新型コロナ経済対策掲示板「緊急在庫処分SOS!」がテレビやSNSで話題になっており、このような取り組みがいわき市や福島県で出来ないかモヤモヤと考えていました。

そこで始めたのが、福島県内でうちと同様にコロナで苦しんでいる事業者を募り、22社61商品でスタートしたオンライン物産展「ふくしま!浜・中・会津の困った市」です。(現在は70社310商品にまで増えています)

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4月21日にスタートして、福島県内の新聞、テレビ、その後フジテレビの「ノンストップ」に取り上げられ、Twitterでバズり、5月には過去最高売上を更新することができました。

コロナ禍で最高売上を更新できた3つの理由

新規事業として立ち上げた「ふくしま!浜・中・会津の困った市」が順調に立ち上がった要因は、すごく基本的なことですが、以下の3つに集約できると思います。

① 「三方よし」のビジネスモデル
多くの方がご存じの近江商人の「三方よし」。商売は利己的ではうまくいかず、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の精神が大切だという教えです。
今回の「困った市」では、参加する県内事業者(売り手)になるべく負担をかけたくなかったため、登録料は無料、売上にかかる手数料は10%のみ(通常20%程度)、商品発送に使用する伝票は弊社が用意、お客様とのやり取りは弊社で一元化など、とにかく参加しやすい条件を整えました。
一方の買い手であるお客様にとっては、コロナで自宅から出られない中、通常価格よりもかなりお買い得な商品を自宅までお届けするというこれ以上ないメリットを提供できました。
さらに、コロナで困っている事業者を支援する、フードロスを削減する、という「世間よし」の大きな目的があったため、行政や公的機関もこの事業に協力してくれました。福島県出身でタレント・俳優のなすびさんも「困った市応援大使」になって様々な応援をしてくれました。
「三方よし」のビジネスモデルを組むことができれば、ヒト・モノ・カネはものすごい勢いで巡るというのを身をもって体感しました。

② 時流に乗る
急遽立ち上げた「ふくしま!浜・中・会津の困った市」は一切広告費をかけずに過去最高の売上を達成することができました。
これはまさに「時流に乗れた」からです。
前述したとおり、札幌商工会議所が立ち上げた新型コロナ経済対策掲示板「緊急在庫処分SOS!」が話題になっていた時であり、コロナで在庫を抱えてしまっている企業の救済がメディアのネタとして取り上げられていました。
外出自粛の時期であったため、「テイクアウト」、「宅配」、「通販」、「お取り寄せ」といったキーワードがよく検索されていたり、どうせ買うなら支援になる方がいいと「コロナ支援」といった検索をされる方もいました。
ちょうどメディアがこれらのネタを探しているときに「困った市」のプレスリリースを打つことができたため、多くのメディアに取り上げていただくことができました。福島放送の「ヨジデス」という番組では毎週金曜日に「困った市」の商品を紹介するコーナーまで作っていただきました。
事業を立ち上げるタイミングの大切さを痛感しました。

③ 50%でもスタートするスピード感
そして時流に乗るために大切な要素「スピード」です。
今まで自社商品を20品くらいしか扱ってなかった自社ECサイトに、急遽県内22社の商品を載せて、サイトの名前も変えて、受注から商品発送、仕入代金支払までのオペレーションを1から組み立てていったのは実質2週間くらいだったと思います。参加事業者募集を開始したのが4月14日、サイトオープンしたのが4月21日。とにかく1日でも早くスタートさせることだけを考えていました。
もちろん1人ではできることが限られるので、チームを巻き込んでいくための調整力のようなものも必要になってきます。
ECサイトのつくり、オペレーションを完全に納得できるものにしてからリリースしたのでは時流に乗り遅れていたと思います。
不完全な状態でもとにかくリリースすること、あとは走りながら改善すればいいという考えでした。
当初お客様からのご意見等をたくさんいただきました。改善できてないものもありますが、お客様の声に応え少しずつですが改善にも取り組んできました。
リリースがあと1週間遅れたら結果はまったく違ったものになっていたと考えると恐ろしいです。

これら「三方よし」「時流に乗る」「スピード」のどれかが欠けても今回のような結果は出なかったと思います。これらはコロナ禍に限らず、どんな時でも必要な新規事業の基本の「き」だと思います。頭では分かっててもなかなか実際にはできない、だからこそ強く意識しておく必要がある要素です。

最後に少し宣伝

この商品はフジテレビの「ノンストップ」で売上1位として紹介され、大量にご注文いただいた商品です。
福島県いわき市の「カネセン水産」が作っている「味付タコ3種セット」です。
とても柔らかく、噛めば噛むほど旨味が出てくる逸品でおつまみにピッタリです。

それからゴールデンウィークにバズったツイートがこちら。

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このツイートのおかげで「香の蔵」の必死さが伝わるユニークなネーミングが一気に拡散され、またしても注文殺到。
自粛期間中の家飲みのおつまみに最適な「クリームチーズのみそ漬」や「あん肝のみそ漬」など多くの方のニーズにピッタリな商品を揃えていたのも大きかったと思います。

最後に、まだまだ飲食店や観光業界ではコロナの影響が大きく、まったく回復の兆しが見えてません。「困った市」は困っている福島県内の事業者がいる限り続けていくつもりです。普段は福島に行かないと買えないもの、レストラン等の飲食店で使われているプロ向けの食材を買うことができる数少ないECサイトだと自負しています。商品の入れ替えも多いので、ぜひ定期的に覗きに来ていただけると幸いです。

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