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蕎麦屋のカツ丼

ふと蕎麦が食べたくなって、蕎麦屋さんに入った。
メニューを見ていたら
「蕎麦屋のカツ丼はおいしい」
「蕎麦はざるに限る」
と誰かに聞いたことをふと思い出した。
「かつ丼セット。ざる、で」と思い出したままに注文。

正直言うと、丼ものは好きでないし、半熟卵は苦手だし、温そばが好き。
そんな「いつもの私」の意に反して、ふと思い出したのは、うちなる心の声かもしれない、と思い直して、ところどころに半熟状の卵がある丼ものと冷たい蕎麦、ここ数年食べていないものだけど、ちょっぴり楽しみだった。

「カツ丼なんて成長期の子どもじゃないのに......」と思いながら、パラパラと七味をかけていただいた。
脂っこくないし、卵の半熟部分も気にならない。半分ほどを、一気にいただいた。
「蕎麦が風邪をひく」ということばが、ふと頭に浮かんだ。
蕎麦が風邪をひくとは、蕎麦は茹でて時間が経つにつれて乾燥してボソボソになってしまうことを言い表している。
蕎麦は茹でたてがいちばん美味しいということを思い出し、カツ丼から蕎麦に切り替えて、せいろに盛られた蕎麦をいただいた。

久しぶりのざる蕎麦は、サッパリしていてカツ丼にちょうど良かった。
誰に言われたのかいまだに思い出せないけれど、先日も同じ店舗に行ったときも、「カツ丼セット。ざる、で」と同じものを頼んだ。

とんかつ屋さんの肉々しいとんかつも好きだけど、蕎麦屋さんのそばつゆの効いたカツ丼も美味しい。
とんかつとカツ丼は別物なので、細かくいうと比べちゃいけないけれど。

心の声に従ってみたら、お気に入りメニューがまた一つ増えた。

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