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猫との出会い

 わたしが幼稚園年中の頃、母が突然、友達の知り合いから猫を譲ってもらえる事になったと、ダンボールに入った生後3ヶ月のグレーの男の子のかわいい子猫を見せてくれた。とっても可愛いくて、わたしはすぐに子猫に夢中になった。それからわたしは、家の中でも寂しさを感じずに済んだような気がしている。子猫と遊んだり、お世話をしたり、抱っこしたり、たまに嫌がられて引っかかれたり、噛まれたり。一緒に布団で眠ると温かくてとても幸せだった。
 だけど、グレーの猫との別れは意外に早かった。わたしが8歳の時、同じ知り合いから白い女の子の子猫をグレーの猫のお嫁さんとしてもらったのだか、そのことがあまり気に入らなかったようで、家出してしまったのだ。
 その後は白い子猫と一緒に過ごす事になった。やはり白い子猫に夢中になって、遊んだり、抱っこしたり、お世話したり、布団で一緒に寝たりとても幸せだった。
 出かける時も帰ってくる時も必ず玄関に居てくれる。いつも側にいてくれて、たまに毒母に嫌がらせをしながら、わたしのことを守ってくれたのだ。毒母の靴のなかに毛玉を吐いて仕込んだり、お気に入りの洋服で爪研ぎしたり、猫の存在で家の中が賑やかだった。
 どんな時もわたしに寄り添って、温めてくれた白い猫は、わたしが大学4回の22歳の時に、14歳で永眠した。
 人生で1番泣いた。たぶん両親が亡くなってもここまで泣かないだろうなと感覚的に思った。それから数年間落ち込んだ。

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