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灰仁の生きる理由があまりにも愛だった「墜落JKと廃人教師Lesson2」

昨年、私はこんなnoteを書いた。

何を隠そう私は「墜廃ドラマ」が
大好きで、まだ一年半しか経って
いないけど何周も見ているくらい
特別なドラマになっている。

そんな私に、この5月朗報が届いた。

墜落JKと廃人教師Lesson2放送決定!

通知を見た瞬間にこの世界に感謝。
ドラマを見るために生きていると
言っても過言ではない生活を送る
私にとって、好きなドラマの続編
というのはこの上ない喜びだった。
前作と比べると全6話という短い
期間の放送ではあったけど、私は
やっぱりこのドラマが好きだと
つくづく思わされたので、その
気持ちを綴っておこうと思う。


【墜落JKと廃人教師Lesson2】

あらすじ:
扇言は屋上で自殺しようとしていた
ところを、物理教師の灰葉仁に
邪魔されことあるごとに付け
回されるようになる。クズ教師・
灰仁に惹かれていった扇言は、
少しずつ心を開くようになっていた。
そして屋上での出会いから1年。
学校での課題やお互いの誕生日を
経て、惹かれ合う2人の”原点”が
ついに明かされていく…
「好きになってはいけない人」を
好きになった2人の関係は、
嘘の中にひた隠し、そしてー
クズ教師×ネガティブJK、墜落必須
ローテンションラブコメディ!

ホームページから引用


【生きようとしている2人】

Lesson2を見始めていて思ったのは
2人から生きる意志を強く感じる
ということだった。

前作では、死を連想させる冒頭が
大半を占めていた。

例えば第1話。屋上へと続く階段を
上っていく扇言を映しながら、

「ここには私の居場所はない、多分
 この世界のどこにも私の居場所は
 ない。私はこの世界にいては
 いけない。だから…」

というナレーションが流れたり、
第2話では、川に飛び込む扇言と
助けに飛び込む灰仁の後ろで、

「衝動に駆られて身を投げ出した
 ことを少しだけ後悔しました」

というナレーションが流れたり、
体育館倉庫の掃除をする扇言が、
ロープを手にしている姿の裏で

「大小はあれど生きていると悩み
 事は尽きないもので、これが
 結構苦しいわけで。それなら
 いっそ……なんて」

というナレーションが流れたり。
後半になるにつれ、直接的に死と
関係ない比喩表現的なものに変化
していくものの、死と隣り合わせに
なっている危うさが伝わっていた。
ところが、Lesson2では

「それは、ほんの些細な不満」

「寿命が来るまでにおよそ80回は
 迎えるであろう特別とされるその
 日を特別と思わなくなったのは
 いつからでしょう」


「もしもこの距離に
 耐えられなくなったら。
 ……新学期早々の一大事件」

など日常におけるトラブルや問題を
語るナレーションから始まっていて
2年生から3年生の間で扇言の思考が
死から遠ざかっていることが分かる。
1話目でも、屋上に立つ扇言が灰仁と

「ここ、柵超えてからのbuffer
 意外とあるんで」

「去年の俺らに教えてやりたいな」

という会話をしていたり、
夏休みの1行日記の話をしながら、

「もう既に将来の分までぎっしり
 埋まってるよ」

「先生はギリギリまで宿題やらない
 派かと思ってましたけど、意外と
 優等生ですね」

と未来の話をするシーンもあった。
死と隣り合わせだった頃を自然に
振り返れるようになっていること、
2人が未来を見据えていること。
何かもうそれが知れただけで、
Lesson2を見て良かったと思えた。

【端々で溢れる想い】

Lesson2では、前作に比べて2人の
想いが端々で溢れ出ていた。
それは1話目の冒頭、灰仁を見る
扇言の表情からもだいぶ伝わった。
それまではあしらっているように
見せていた扇言の顔に、はっきり
好き!が溢れていたのだ。

「お前の方から触れてこようと
 するし、今日なんて嫉妬してる
 ような素振りまでしてくるし」

という灰仁の言葉を聞いたとき、
やっぱりそうだよね!?と思うほど
表情ひとつで気持ち全部を伝えて
くれる髙石あかりちゃんの扇言が
やっぱり大好きでたまらない。

一番食らったのは第4話。扇言の
交友関係を狭めるようなことは
したくないと言った灰仁に対して、

「ちょっとくらい束縛してくれても
 良いんですけど」

と耳元で零すシーン。

「耳も死んだし、理性も死んだ!」

と撃沈する灰仁とともに私も無事
顔を覆った。これ、周りにバレる
のも時間の問題では…?と視聴者に
思わせ、他の生徒に関係を疑われる
回をやったあとでもなお追い打ちを
かけてくるんだから本当にズルい。
だから好きなのよ、墜廃ドラマ。

【互いを救った原風景】

今回の見どころはキュンだけでなく、
グッとくるパートが多いこと。

特に最終回を見終えた後の余韻が
凄すぎた。最終回直前の第5話、
明日死ぬつもりだという灰仁が
扇言をデートに誘う。向かったのは
かつて扇言が迷子になった森だった。

屋上から飛び降りようとした時と
同じように、死に場所を探しては
失敗を繰り返していた当時高校生の
灰仁は、入り込んだ森の中で迷子に
なっている扇言と出会った。

「みこはいない方がいいの」

小さな声でつぶやいた扇言に灰仁は
自分の姿を重ねたんだと思う。少し
弱々しくこんな言葉をかけた。

「良かったら一緒についてきて
 くんねえかな。俺……一人じゃ
 寂しくてさ」

体の弱い兄を優先しがちな両親のもと
自分の存在は必要ないと思ってきた
扇言は、灰仁が頼ってくれたことで
存在を肯定してもらえた。

Lesson2の初回、美術の授業で自身の
原風景を描くという課題に、森で
迷子になった自分と、そこにいて
くれたらよかったと頼れる大人を
イメージして兄を描いていた扇言。
記憶にはなくても原風景として
ずっと残っていたのだと思う。

そして救われたのは灰仁もまた同じ。

「ここなら成功する、
 はずだったんだけどな……」

という言葉には本当は誰かに助けて
欲しかったという気持ちが滲み出て
いるようにも思えた。あのとき、
迷子の扇言に出会って助けたことで
まだ生きたい自分や寂しさと向き
合うことができた。死に場所探しは
失敗に終わったけど、灰仁自身も
救われたのだと思う。

【想うはあなたひとり】

そんな2人がお互いの誕生日に贈ろう
とした白い彼岸花の花言葉は
「想うはあなたひとり」

この花言葉は、彼岸花の葉が花を
見ることなく、花も葉を見ること
なく散ってしまうことから、互いを
想う気持ちを象徴してつけられた
花言葉らしい。孤独に苛まれて、
今にも散ってしまいそうだった
2人は、散る前にお互いのことを
見つけられたのだと思うと、
胸が詰まった。でもこのドラマは、
それだけでは解放してくれない。
さらに畳みかけてくる。

Lesson2のラストでは、灰仁視点で
過去の回想が描かれた。ここがもう
本当に凄くて、私は言葉を失った。
教師になった灰仁が務める高校の
入学式、廊下で転んだ新入生を見て
灰仁が目を見開く。結構な時間が
経っているはずなのに灰仁はすぐに
その生徒が扇言だと気が付いた。
扇言を見つけたこの瞬間、灰仁は
どんな思いだったんだろう。

教室の窓に何気なく視線を移して、
扇言が飛び降りようとしている
姿が目に入り、慌てて教室を
飛び出していく灰仁。このとき
どれだけ焦ったのだろう。

Season1の冒頭、屋上にいる扇言の
前に現れた灰仁は、まるで偶然その
場に居合わせたかのようにフラっと
現れた。でも実際はかなり焦って
屋上まで駆け上がっていた。自分を
救ってくれた子が、自ら死を選ぼう
としているのを見て、灰仁はどんな
思いだっただろう。想像しただけで
心がざわついてうるさかった。

前作の第5話、車道に飛び出していく
学生を見た時、扇言はこんなことを
思っていた。

「言い換えるとそれは、胸騒ぎ。
 先生はあのとき、こういう気持ち
 だったのでしょうか」

きっと、このときの扇言以上に、
灰仁は焦っていたはずで、色んな
感情が頭を駆け回ったはずで。
扇言に声を掛ける前の灰仁の表情は
不安とか覚悟とか、生きて欲しい
という切実な思いが詰まりすぎた
言葉には表せないような表情で、
思わず涙が溢れてしまった。

橋本涼、本当にいい表情する……
コミカルパートとの緩急の付け方が
天才的すぎる本当に。

そして、その裏で流れる灰仁の
ナレーションもまた罪なのだ。

「そうあの時から。俺はずっと
 思っていた。こいつのこれからを
 この目で見届けられるようにと。
 こいつのこれからを
 なくさないように。こいつが
 どんな大人になっていくのか、
 それを確かめるために」

私はこのナレーションを聞いた瞬間
答え合わせをされた気になった。
第3話で、他の生徒から扇言との
仲を疑われた灰仁は、彼女はどんな
人か聞かれて、こう返していた。

「俺の生きる理由」

このセリフを聞いて私は、てっきり
かつて死にたいと思っていた灰仁は
今、扇言と過ごす時間があるから
生きていられるんだと思っていた。

だけど、最終話のナレーションで
それは少し違ったのだと気付いた。
灰仁が差していた生きる理由は、
「扇言と過ごす時間」ではなくて
「扇言」そのものだったのだ。

扇言がどんな大人になっていくのか
確かめることが自分の生きる意味。
だから扇言にも生きていてほしい。
誰よりも幸せでいて欲しい。

想うのは扇言、ただひとり。

そんなのこの上ない愛じゃんか。
何か全部が繋がったような気持ちに
なって、そこに乗っかるosageの
「残り香」がズルくて、感情が押し
寄せすぎたあまり、余韻でしばらく
シナシナになってしまった。

2人が互いの幸せを願って生きる
なら2人揃っての幸せは私が願う。
どうか、この2人がこれまでの
苦しさを全部笑顔で振り返れる
くらい幸せでいられますように。
そんなことを想うくらい、私は
髙石みこちと橋本灰仁が大好きだ。
このドラマに出会えてよかった。
いつかまた2人に会えますように。
墜廃ドラマが見られる世界なら
私も何とか生きていけそうだ。

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