SVについて①

臨床心理士公認心理士といった支援職は、自分自身の支援業務について指導者に話し、支援の姿勢や関わり方、具体的技法などを学ぶことが推奨されます。これをスーパービジョン(以下SV)と言い、多くの場合は有料で、大体5000〜15000円位の相場を見聞きします。

SVを受けるとして、誰に指導を受けるか、どのように受けるかということが、大きなネックとなります。SVは単に知識や技法を伝授する場ではなく、支援者自身の内面を取り扱わざるを得ない。そこに焦点を当てるかはそこで扱われる内容の質や、スーパーバイザーの指針やバイジーの希望次第ですが、大なり小なり内面に触れるものとなる。

そのため、受ける側も受ける様々な準備を整える必要があるし(単に資料という意味でなく)、指導する側も様々な配慮を慎重に要する。

周りで聞く限りだと、大学院から引き続き、指導を受けるケースと言うのは少なくないようです。また、例えば研修会の講師などからSVを依頼する場合や、またカウンセリング機関でインテークをかけ、スーパーバイザーを選定してもらうと言う場合もあります。

最近だと、オンラインでスーパーバイザーを見つけるシステムや、臨床心理士会や学会などで、スーパーバイザーをマッチングする仕組みもあるようです。実施の仕方にも、個別かグループかの違いもあります。

誰に依頼するかと言う時、ただ著名な先生であれば良いというわけではなく、また無名の先生だからといって学べないというものでも全くない。カウンセリングと恐らくほとんど同じで、双方の相性、パーソナリティ、価値観が土台にあり、その上で支援職としての経験や深度が加わり、双方向的なコミュニケーションによって学びが培われていきます。

私自身もとある経緯から、対人支援に関するスーパーバイザー(のようなこと)をしたことがありますが、伝える・教えるというのは非常に難しい。

まず、スーパーバイジー(受ける側)の、学びの受け入れ姿勢というものがある。これはただ技能的な問題だけではありません。臨床の学びはある種自身のパーソナリティーに根ざした部分もあるため、そのような指導や指摘を受け入れる準備が、バイジーにどの程度整っているのか。

また、スーパーバイジーがどのようなことを学びたいと望み、求めているのか。その前提として支援に関するオリエンテーションや、知識の程度、臨床における姿勢などが絡まり合います。それらを吟味し、スーパーバイジが受け止められるような関わり方が必要となる。

だいぶ以前に受けたSVは分析系の方でしたが、合計3回受けたものの、最初からオリエンテーションや関わりの意図を汲むことなく、ひたすら持論を展開する方でした。当時の自分には対話が難しく、最終回で丁重に継続をお断りしました。スーパーバイザーが悪いと言いたいのではなく、「SVの関係性というものは暗黙の力関係を生みやすく、スーパーバイザーはそこに自覚的である必要がある」。

また、職場内でのスーパービジョンも時折行われるのを見聞きしますが、多重関係の問題が生じる。職場の上司や先輩が指導を行う場合、普段の関係性が反映されることは避けがたく、指導に関するノイズとなる。

しかし、社会資源としてやむを得ない場合もあるようです。時には、外部の指導者に委託し依頼する大学院や職場もあると伺います。

教育分析もそうですが、ただ受ければ良いのでなく、場合によってはバイジーの傷付き体験となり得る。SVについて語られる時、「受けるべきもの」という点が強調され、「どのように受けるか」という点にまでは話が深まりにくいように感じます。

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