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ライターの僕が書くのに慣れていないお客さんにする小話

noteを書き始めたはいいものの、数行で手が止まってしまう…

ということがあるかもしれません。

ディテールが無駄に思えてしまって、ついつい抽象化した要点だけを述べてしまうんですよね。

だって、自分が見たことを細かく伝えたところでサンプル数1のデータじゃん!そんなのぜんぜん信用ないじゃん!となってしまう。

しかし、それでも相手に覚えてもらいたいんだ、行動に移ってもらいたいんだと考えているのなら、ディテールを描くことは大切です。

なぜなら、人は物語のフレームで物事を考え理解しようとするからです。

ディテールがなければ、物語は像を結ばない。

糞にまみれて死んだ偉人

試しに次の二つの文章を読んでみてください。

ヘラクレイトスは「万物は流転する」という言葉を残した
親友を街から追放されたヘラクレイトスは「ここの人間なんかみんな死んでしまえばいい」と言い捨て街を出て行き、人間嫌いをこじらせにこじらせ山奥に引きこもった(尊大で人間嫌いなおじさんっていつの時代にもいるんだね)。
山奥での生活が体に悪かったのか、晩年に体がぶつぶつだらけに。何を思ったか、彼は牛糞の山に身を埋めれば水分が抜けて治ると信じ「肥溜めへとダイブ」。そんな糞にまみれて死んだヘラクレイトスが残した有名な言葉が「万物は流転する」だ。
参照:
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/8914/

いかがでしょうか?

要点だけ伝えられるより、ちょっと具体的に顔や景色や匂いが浮かぶように伝えた方が記憶に残りませんか?

高校生の時の僕は、気難しそうで大衆をバカにしていて、難解なことばかり言う頑固な高学歴オタクおじさんを想像してヘラクレイトスを記憶しました。それさえできてしまえば、ヘラクレイトスの周辺の知識を覚えやすくなります。ソクラテスにまで難解と言わしめた『自然について』を書き残したとか。

しかも、一度覚えたら絶対忘れません。糞にまみれて死んだ偉人を忘れられるもんですか!

ディテールを書いてみる

先ほどの例で見たように、相手の記憶に残るように伝えたいのであれば、ディテールを描くことが大切です。

いやいや、糞にまみれて死んだくらいおもろいディテールなんてありませんから。そんなん書けませんわ。

なんて思う必要はありません。

たしかに肥溜めへとダイブは強烈ですが、

自分のいる環境×してきた経験×その中から切り取ること

は間違いなく固有のものです。まず誰かと被ったりはしません。それは十分何処かの誰かを惹きつけるディテールになります。

試しに、自分のいる場所と今周りにある物や状況をいろいろ詳しく描写してみてください。(よければずっと下にあるコメント欄にでも書き込んでみて)

僕は今、富山市の街中にあるオンボロ古民家シェアハウス(大家さんによると築80年は超えている)の一階にあるダイニングにいる。さっきまで3人で夕食を囲っていた食卓テーブルに今は僕一人が付いている。広い机と誰も座っていない5つの椅子が冷たくそこにある。机の上にある私物以外の物は、何も生けていない花瓶だけ。間も無く日を跨ぐ。体調を崩してしまうからそろそろ切り上げて寝よう。
目の前には僕を応援してくださっている方からもらったMacBook Proがあり、これで文章を書いている。書きながらリピートで藤井風の『なんなんw』を流している。「肥溜めへとダイブ♪」
MacBook Proの左側には本が5冊積んである。上から順にゴリラの本、画家の本、中学生用の分厚い国語の参考書、大学の経営学の入門書、地球の歴史と文明について書かれた本。

僕にとってはなんでもないいつもの環境ですが、なんとなく引き込まれてしまった人もいるのではないでしょうか?(30人に1人くらいはいてほしい)

ディテールを書いてみるPart2

ディテールを書くゲームが楽しくなってきたのでもう一つ。これで最後ですからお付き合いくださいな。

今度はちょっと”極端な”例文を出して考えてみましょう😁

読み比べてみてください。

俺はりょーやのnoteを読むことにした。すごく面白かった。ぜひ読んでみてほしい

で、これにディテールを付け足した分がこちら↓

うっかり寝坊し、渋滞に引っかかった。急いだってもう19時からの合コン開始には間に合わない。まあどうせ人数合わせ要員なんだしちょうどいいだろう。

俺が遅れることはすでに連絡したことだし、優雅に音楽でも聞きながら行こうかな。そう思ってスマホでアプリを開こうとすると、真っ先にTwitterが気になってしまった。おっ、りょーやがnoteを更新している。

俺は彼(りょーや)のnoteを読むことにした。

いろいろ例を出しながら「書くのが止まる人はディテールを書いてみよ」という話を繰り返している。

それにしても「肥溜めへとダイブ」ってセリフ好きだな。こいつ。藤井風とヘラクレイトスはしばらく頭から離れなさそうだ。

とりあえず藤井風の『なんなんw』を流しながら続きを読むことに。イケてる。最初のサビに入る前に記事は読み終えてしまった。あっという間だったな。

すごく面白かった。

まあ、書くに限らず、話すときにも一見無駄に見えるディテールを伝えることは大事そうだなと感じた。長く書けなくて困ってる人にオススメできるのはもちろんだけど、普通に読み物として面白いし、これ読んで気に味わった気にならずぜひ読んでみてほしい。

いかがでしょうか?

藤井風の音楽が聴きたくなりましたか?笑

最後に

今回は、ディテールを書くのに抵抗がある方に向けて、ディテールを描くというテーマで書いてみましたが、もちろんどう書くかなんて自由だし、好きに書いたら良いと思います。

ちなみに僕は、中学くらいから紙のノートに日記を書いていますが、面白いことに、その時は大した内容に思えなくても、数年後に読み返すときには詳しく書いてある日のものほど読んでいて楽しいものです。

あの時自分の愛用していた物、楽しみにしていたこと、家族との会話、天気が荒れていたことなどなど。

ディテールは、詳しく書こうと思えばいくらでも細かく書けるはずです。文章を書くのが難しいと感じているのなら、一度肩の力を抜いてどうでもいいと感じるようなことまでガーッと書いてみてください。

書くことを楽しむなら、それは自分以外の誰に読まれなくても、知り合いの何人かにしか読まれなくても十分生活を豊かにする財産になるはずです。


今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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