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仕事と教育

通訳でお世話になるお客様のうち、仲良くなっていくにつれ、大学教育の話になることがあります。その中で嬉しいのは、通訳の授業でスピーカーをお願いしたいとかいう際に「もちろん!何でもするよ」とご快諾くださるお客様がいらっしゃることです。

通訳の授業は生かすも殺すも教員次第なところがあって、学生に通訳をさせるのはもちろん、「どんな人の話を通訳させるのか」が非常に大事です。その人が教員の知り合いがスピーカーだと、非常に深い話まで通訳演習に盛り込むことができ、学生も多くのことを学べると経験上感じます。

修士論文では外国人を招いた通訳教育について書きました。これをプロジェクト通訳活動(PBI)と呼んでいますが、この活動の生命線は、やはりゲストスピーカーであり、その方々は全員社会人です。

私がかつて通訳としてお世話になったお客様や元上司のご厚意で、忙しい勤務時間を調整して海外からZoomに参加してくれています。時には現地は真夜中だったり早朝だったりします。無償でお願いしています。そういうことを色々考えながら行う通訳演習。終わる時はいつも、僕はPC画面越しに合掌・お辞儀してスピーカーに感謝します。宗教的な仕草に見えますが、スピーカーには伝わっているはずです。だからこそ毎回二つ返事で参加してくれる方が複数人いてくれるのだと思います。

これからもこのような関係が続いてほしいなと、切に思います。仕事で知り合う→大学の話になる→協力者になってくれる。無償でお願いしているので、スピーカーとしては儲けにはなりません。ですが将来の世代を作るという共通の目的がありますし、「僕の経験が誰かの役に立つのなら」というスピーカーの気持ちが全てを支えているように思います。

仕事と教育の交差点を通訳教育という場で作っていきたい。大げさですが嘘でもありません。通訳教育はもっと泥臭くて良い。この上なく難しくて逃げ出したい瞬間もあるけれど、知的刺激に溢れすぎていてクセになって、単位取得後も授業を覗きにきてくれる学生もいます。その為のお膳立てというか、舞台裏で動き回るのが今の僕の仕事だと思ってやっています。また思いがブワって出てしまった。

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