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鉄棒してみた。

子どもと遊ぶ週末。近場の公園に鉄棒がありました。娘が逆上がりに挑戦するので、「そういえば俺は逆上がりできたんだっけ?」と知りたくなって、挑戦してみたのでした。

結果は成功。あれ、こんなに簡単にできたものだったろうか?昔は出来なかったはずなのに・・・と不思議に思いつつ、何だか満足しています。ここでふと、あることを思いました。

昔できなかったことは今もできない、わけではない

これは通訳の仕事をしているとものすごく感じることです。いろんな業界の通訳をしていると、中学高校の時にあまり勉強してこなかった科目の内容が関係する仕事があります。例えば高校化学などです。

こういう時、高校での授業であまり本質を理解していなかったので今も化学は理解できないだろうなーなんて思っていたのです。しかしあれから20年ほど経った今、改めて化学に触れてみると思ったより理解できると感じる自分がいました。

理解力

なぜ理解できるかと言うと、文字を文字のまま上っ面を眺めるだけの段階から、文字が作り出す意味を取るようになってきたからだと思います。思い返せば高校時代は暗記ばっかりしていて、本質の理解をしていなかった。それが今になって本質の理解を要求される仕事をするので、昔できなかった科目を学び直す時にも理解がより深まっている。

読解力

理解が深まってきた理由は、一つには高校時代よりは読書をするようになって読解力がついてきたからかと思っています。読むのはもっぱら新書レベルですが、論理的な文章には必ず論理があり、それを読み解いていく力、まさに読解力が高校時代より今の方があるということです。

大人の学び直し=科目との再会

理解力や読解力が向上した今だからこそ、学生時代に苦手意識を持った科目の学び直しをする絶好の機会だと僕は思っています。僕はこれまでに数学、化学、地学、政治経済、倫理などを学び直しており、テストで得点できるかどうかは置いておいて、高校時代よりも本質的に理解できていると感じます。

本質を理解するために常に大事だと思うのは、分からないことを正直に認めること。大人になると分からないと言うことが恥ずかしいように思われますが、幾つになっても僕は「分からないマインド」を捨てきれずにいます。しかしそれが次の学びにつながっていることも事実で、これまで楽しく勉強できています。

なぜ逆上がりが出来たのか

冒頭の逆上がりも同様で、昔はなんでも力づくでしようとしていたように思います。そこに思考が伴っていなかった。ですが今だと鉄棒を持った時、逆上がりを成功させる為には体をどう動かせばいいか、大体分かります。イメージが湧くからです。「要は鉄棒の周りを回るようにして体を動かすのだから、前にジャンプすると言うよりは上にジャンプする感覚だよな」と一人で考えます。

そうしてジャンプすると、予期していたよりはるかに簡単に逆上がりができたのです。何でもがむしゃらにやればいいというのではなく、運動やスポーツにおいても、どんな姿勢で、どんな方向に体を動かせばいいか等が分かれば良いのだと(メタ認知でしょうか)。それが分かることは、年齢による体の衰えを補って余りあるほど有益なことだと思います。

社会人の学び直しが何故楽しいのか

このように考えると、学生時代で苦手になってしまったスポーツや勉強も、いくらでも学び直しが効くように思います。たまたま当時の出会い方が良くなかっただけであって、理解が不足していただけであって、当時できなかったことが一生出来ないと考えることは全くないのです。

社会人の大学院入学は国の大学院重点化以降増えていますが、単に学位を取得するだけでなく、学び直しには昔出来なかったことが克服できるという喜びもあることが、大人を学びに導く理由の一つではないかと考えます。



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