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山下達郎氏と松尾潔氏の一件を整理してみた。

今SNSなどで話題となっている松尾潔氏の、一連のジャニーズ問題を業務提携先のスマイル・カンパニーに黙ってメディアで語ったことでスマイルとの契約が解消~それをtwitterや日刊ゲンダイなどで同事務所所属の山下達郎氏にまで言及して告発して炎上させた件・・・を整理してみました。
世の中の意見もごちゃごちゃしてますが、そもそも整理すると
「山下達郎氏とジャニーズ」
「松尾潔氏に対するスマイル・カンパニーの処遇」
の2つに分けることが出来ます。
放送では山下達郎氏の口から、スマイル・カンパニーが松尾氏に与えた処遇のことも話したことで、「スマイルの松尾氏に対する処分」を「スマイル vs 松尾氏」だけではなく、そこに山下達郎が関与しているかのように捉えてゴッチャに考えている人も見受けられますが、本人も明白にそれは否定しており、それらをちゃんと切り離すとこの話は案外スッキリします。
一旦「山下達郎氏の放送で語られたこと」をもとに整理してみました。

■山下達郎氏とジャニーズの話
★性犯罪は許させるべきではない。実際に被害に合わせた方がいるならお見舞い申し上げたい。
★一方、性犯罪者とそれが関わってきた作品は別(昔からそう言ってた)であり、ジャニーズは日本の大衆芸能として魅力あるコンテンツであった事は変わりない。
★職業作家としての自分はそこに携われた事に悔いはないし感謝もしている。
★「今回の」性犯罪問題については噂で聞くものではあっても、確定的な話になっておらず、与えられた仕事を愛情をもってこなしていただけである(1999年の裁判の件は知らなかった・・・例え知っていたとしてもすでに解決済でそれを今、問題にして発言することもない・・・とのスタンスでしょう、恐らく)

■スマイルの松尾氏への処分の話
★松尾氏とスマイルは松尾氏がスマイルにお金を払う「顧問契約」。つまり彼はスマイルにお金を払い、何らかの業務指導を乞うたり、利便を図ってもらったり、時に同社所属の看板を使って仕事を取るのも良しとされる関係・・・と考えます。間違いないのは、雇用されているわけでもなくマネジメントされてるわけでもないということです(例えば業界の通例で考えれば「関ジャム」への出演などはジャニーズ~スマイルのルートでブッキングされているように見えます)。
★ジャニーズの「今回の一件」は、被害者と思われる人が次々と名乗り出ているが、正式に刑事告発されたり裁判が行われているわけでもない、言わば「宙ぶらりん」の状態である。
★取引先(ましてや大手取引先)がそのような状況の場合、会社ではその取引先については「ノーコメント」が原則。会社に無断で社内関係者が、それを決定的な事実であるがごとくメディアで語ることはご法度。今回の松尾氏の場合、それがメディアで取り上げられ、後にスマイルに知られることとなった。
★当然のごとくスマイルは、松尾氏のことを問題視(これはおそらく通常の会社のコンプライアンスの範疇)。
★しかもその発言者は、雇用されてるわけでも所属しているわけでもなく、「当社にお金を払って看板を使って商売をさせてもらってる人」なわけで、会社として守るべき対象の人ではない。
★スマイルにとって松尾氏の言ったことは「今の段階で会社の意見と同じではない」「発言するなら会社の看板を外したところでやってほしい」となり、他にもスマイルとして自社の看板とは相容れない言動がいくつかあったようで、それらと合わせて「与けた看板を早急に外して自分だけで商売してください」となった。
★誤解してほしくないが性犯罪を擁護しているわけもないし許させるべきではないことは繰り返し述べておく。

こうして整理すると、いづれも自分には問題がないように見えます。
また、厳しいことを申し上げると、組織で働いたことがない人にはなかなか理解できない事があるのかもしれません。

■「山下達郎氏とジャニーズの話」で言えば、山下達郎氏は、本当はこの件を何も語りたくなかったと思われます。
本音しか言わないし、ましてや今回の件は、正直に語ると理解され難いこともあり誤解を生む。それなのに無理やり松尾氏の発言で自分の放送でファンに向けて説明することとなった。
彼は「政治や世の中の揉め事には発言しない」「メッセージは音楽でしか表現しない」ことを昔から信条とし「自分のやること・手を出さないこと」を明確に決めて活動しており、今回も「自分は解決を施す人間ではない」し、今回だけそれを期待されても困る、と。
また、性犯罪は許し難いが、今までの付き合いを通して自分がジャニーズに今も恩義があるのは変わらない。
そういう「私の考え」と「私の作品」を切り離して考えられない人が、私の音楽から離れていっても仕方ないし、私にはその人を止める権利はない・・・ということなのでしょう。また、これらの考えは昔からのファンはほとんど理解しており、今回のことで失望する人は特に熱心なファンでもなく、その人たちのことまで気にして自分を曲げるようなことはしないでしょうし、そこを勝手にして期待して勝手に裏切られたと叫んでいる人が多いのが今の状態。
例えば、彼がテレビに出ない理由は「一つの番組に出たら他の番組も出なきゃいけないから」。つまり都合よく出たい番組だけ出て、出たくないときにお断りしたり逃げ回るのはダブル・スタンダードであり、辻褄が合わないことは嫌う。明確なルールを決めて活動を続ける辺りは「職業人」っぽい、もともとそういう人なんだろうと思います。
なので、彼の姿勢が正しい・正しくない、好感を持てる・持てないは、その人の捉え方次第ですが、「まったく昔からブレていない」ことは確かですし、炎上を覚悟で世間の流れに忖度せず、今まで通り本音を言って自分を貫いたと言えます。彼は魅力的な音楽家ですが、聖人君子でもない少々変わった人ですから。

■「スマイルの松尾氏への処分の話」で言えば、個人ではなく会社としての見解を述べる立場になります。
企業に属する人間は、個人としての見解もありながら、組織人としての立場で縛られて発言する必要に迫られる現場もあります。
今回のジャニー喜多川氏の性加害問題は「疑いようのない事実」なのかもしれません(おそらくそうなんでしょう)が、それを証明する術(すべ)にかからず確定していない限り「憶測に基づく」レベルとみなすことも出来、前述の通り会社はその取引先に関して「何も発言(言及)しない」のが原則となります。それは「忖度」には当たりません。
そういうことが理解できるかどうかは、企業などで組織を統括した経験のあるか・ないか、それが理解できるか・できないか、の違い(どちらが「いい・悪い」や「優劣」と言ってるわけではありません)であるように思います。
むしろ「可哀そう」「誰かに寄り添いたい」というその時の感情論で動きだすと、時として同じようなケースなのに違う対応をしてしまう「ダブル・スタンダード」になる可能性があり、企業はそのような平等性の欠如を防ぐために、様々なルールを作り、そこに自らの行動を当てはめることで、少々窮屈ですが、コンプライアンスを守っていきます。

今回の例で言えば、松尾氏はまず地方のラジオ局で発言する前に、その旨をスマイル側・・・それこそ達郎さんに・・・相談や提言する方が先。一般社会だとその順序を守ることは当たり前であり、そうすれば例え問題になっても会社はその人を守ります。しかし会社に黙って発言してそれが問題になった後に、誰に何を言っても、それは後付けの言い訳や言い逃れ・・・としか捉えられません。
ましてや問題になった後に「スマイル・カンパニーはジャニーズ抜きで成長を目指すべき」「ジャニーズに提言したいことがあるから先方の社長と会わせて合わせてくれ」と訴えたが受け入れられなかった・・・と松尾氏は日刊ゲンダイの手記に書いてましたが、ここは読んでいて恥ずかしくなったところで、もうそれ言い訳だよね?そんなこと言えた立場じゃないね?そもそもそれができる人間だとジャニーズに認められると思ってるの?悪いけどジャニーズって大企業なんだからアナタじゃなくちゃんとした専門家に相談するし、そんなの当たり前でしょ?・・・ということになります。
たぶん、松尾氏側の意見を支持している人は、このような企業としての立場や行動を理解できない、したくない、経験したことのない人だと推測できます。
そして僕が一番ゲンナリするのは、本来山下達郎氏の事をよく知るはずの松尾氏がスマイルや山下達郎氏に後ろ足で砂をかけるように仕掛けた、しかもシレッとスマートに見せかけた、とてもマナーの悪い言動なのです。

■個人的な意見を申し上げますと、犯罪者にも家族や友人やお世話になった人がおり、みんながみんな同じ立場であるわけではなく、そこをみんなで一斉に「被害者に寄り添え!」「犯罪者のいいことを言うとはけしからん」と同調を強要する世相に違和感を感じます。
あたかもそれは左側の人が時に声高に叫んで恐れる「戦争に突入する前の、国民全員が『戦え!』と叫んでいた恐るべきニッポンの同調圧力の世相」と同じでしょう。
仮想敵を作って、みんなで戦おう!的な危険なものですが、大体今回そういうことを言ってる人はその一方で「平和が・・・」「多様性が・・・」と言ってる人であったりするのが不思議なものです(涙)。

あと、東京新聞の女性記者やら津田大介氏やらが参戦してきたのを見てさすがに「あれ?」と思ってtwitterなどを見てみると、確かに松尾潔氏に同調して声高に叫んでいる人は見事にいわゆる左側通行の人が多く、松尾氏も共産党「赤旗」に複数回ご登場とのことを鑑みて「もしかして、お仲間同士の助け合い?」「同調して騒ぐのがあっち側の人たちのプライオリティ案件になってるの?これ・・・」と一瞬思ったものの、まだれいわが加わった「わかりやすい!」国士無双の状態にはなっていないので、なんなんだろう・・・みたいな(笑)。

多分、まだまだ続くでしょう。
これからは山下達郎氏の音楽を広告で使ってる企業にクレームを入れるとかそう言う手を使ってくると思います。
なんだかなぁ、と。


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