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【お笑いコラム】ニューヨークチャンネルは「アイドル育成ソシャゲ」である。

私は、ニューヨークさんこそ「伸び悩んでいる芸人のYouTube」の最高峰だと思っている。もちろん、贔屓目もあるので、そこはご愛敬として読んで頂けると幸いです。
本当は「ニューヨークがYouTube巧者である理由」というタイトルにしようと考えていたのだが、思ったよりソシャゲで喩えることができたので、ちょっと釣られるタイトルにしてみました。長いですが、どうぞよろしければ。


●ニューヨークチャンネル「アイドル育成ソシャゲ」論

まず、ニューヨークさんのYouTubeは「アイドル育成ソシャゲ」のスキームに似ている。
アイマス、ラブライブ、あんスタ、アイドリッシュセブン…、お笑いギークの皆様にはあまり馴染みがないだろうが、ああいうゲームは基本的に少年漫画的なストーリーを辿る。
弱小アイドルがプロデューサー(プレイしているユーザー)との出会いをきっかけに、成長し、華々しくトップアイドルになる様を描く。
それだけなら、わざわざ「アイドル育成ソシャゲ」と論う意味はないのだが、ここで私が特筆したいのはそれらのゲームのキャラクターたちはその個々に持っている性格や為人が変わることはない、という点である。
公式ホームページに「明るく無邪気」と書いてあったら、そのゲームが何年続こうがそこは変わることはない。(変わったら確実に炎上する)
代わりに、登場するキャラクターの関係性は激しく変動する。ほぼ初対面同士がだんだん仲良くなっていったり、時折険悪になったりすることもある。なぜならオタクは何を置いても「関係性」が大好きだからである。

さて、ニューヨーク Official Channelがなぜオタク心を擽るかわかって頂けたと思う。
嶋佐さんと屋敷さんの性格はYouTubeを始める当初からほとんど変わっていない。ただ、お二人の関係性、お二人を取り巻く関係性・環境が変化してゆく。その様子をオタクたちは毎日見て、応援することができる。
ニューラジオの再生数が安定して高い点、全体の再生数にそこまでブレが無くチャンネル登録者との割合が高い点、ニューヨーカー(もとい絞りカス)が生配信や番組出演ごとに狂ったようにSNSで応援する点、これらのこの「オタク心」を刺激しているからだと私は分析している。


●なぜ芸人ランキング企画が伸びるのか

ニューヨークさんは「吉本芸人いい男ランキング」「吉本芸人喧嘩最強ランキング」等をよく上げる。そして、毎回めちゃくちゃ伸びる。そしてこの理由は、私のニューヨークソシャゲ論で説明することができると思う。
あれらの動画が伸びるのは、決してサムネにEXITさんやチョコプラさん等の売れっ子が居るから伸びているワケではないと私は考察する(もちろんそこに釣られて来る視聴者もいるだろうが)。逆に、ニッチな芸人さんの名前が出てくるのをコアなお笑いファンが喜んでいるだけというワケでもない。
だって正直、あの動画において、登場する芸人さんのことを全く知らなくてもニューヨーカーたちは嬉しいのだ。
3年前まで和牛さんすら知らなかった私が言うんだから、けっこう説得力はあるでしょう。

前項で言った通り、オタクは関係性が大好きである。
だから、ニューヨークのお二人を主人公とするゲームにおいて、その周辺のキャラクターたちの関係性を聞けるなんてことほど嬉しいことはないんだもの。それに、こんなことをできるのはまさに「芸人ならでは」である。縦や横の繋がりは、ユーチューバーには無い。
プラス登場する芸人さんのコトも好きなんだとしたら、そのラインの関係性を喋ってくれるなんて垂涎ものだろう。
なので、申し訳ないが、オタクはハンバーガーとニューヨークさんの関係性には興味がない。人間同士の相関図に興味津々なワケだ。マクド動画のネタバラシで「変な視聴者」と屋敷さんが発言していたが、つまり、ニューヨークさんに付いているファンは「YouTube視聴者」ではない。「ソシャゲに重課金するキモオタ」なのだ。

私なんぞが偉そうに言う権利は無いが、YouTubeが迷走している芸人さんはターゲットのこの「キモオタ」に向けたほうが良いんじゃないかと思っている。
ソシャゲ風に言うなら、
自己紹介⇒メインエピソード⇒キャラクターエピソード⇒他のキャラとの関係性エピソード
みたいなフローを辿るべきだと思う。やはり「ニン」が判らなければ、ラジオやトークの内容がいかに面白くても応援する気にはなれない。
最近の成功例で言うと、黒帯さんがスゴい。お二人がコンビを結成して今に至るまでを語る動画があるが、あれを見てしまったら最後、応援したくなってしまうよね。


●名プロデューサー奥田さん

冒頭で言った「プロデューサー」について、これはまさしく奥田さん率いるニューヨークチャンネルのチームだろう。多くの芸人さんがYouTubeに取り組んでいるが、レインボーさんやしゃかりきさんのようにひたすらネタを上げ続けるだけならともかく、こと企画系・ラジオ系YouTubeにおいては絶対に作家さんが付いたほうが良いと思う。
それも、誰よりニューヨークさんのことが好きで、良さを分かっていて、売れてほしいと願っている人。
(奥田さんをソシャゲのユーザーに喩えるのはかなり失礼な感じがするが、許してほしい…)
毎回いかにニューヨークさんの面白さ・良さが出るか企画を考えて、自分は裏方に徹する。ラジオも構成作家という立ち位置以上の働きは抑える。出すぎず引きすぎず、最高の作家さんだと思う。
一番のニューヨーカーであることは言うまでもないが、たぶん、自分がいることによって更にニューヨークさんがやりやすく面白くなるのも計算されているんだろう。
ちなみに、ニューラジオに奥田さんが映ることを咎めるようなコメントを目にすることがあるが、あれはニューヨークさんが頼んでやってもらっているのであって、批判コメントは即刻削除してほしい。

個人的な趣味だとは思うが、作家さんやマネジャーさんが前に出て来すぎる動画はあまり好きではない。かまいたちさんぐらい面白くて可愛い方ならともかく、裏方さんは、ソシャゲで言うなら「キャラの育成のために使うレベリングキャラ」であってほしい。
自分が仕事で事務所のマネジャーさんと関わることが多いからかもしれないが、どんなに賞賛されようと「それが仕事だしなあ…」と思ってしまう。うーん。ちょっと話がズレましたね。すみません。


●監修・鬼越トマホーク

さて、散々ニューヨークさんを「アイドル育成ソシャゲ」に喩えてきたが、ソシャゲにはその外側の、それを開発・監修する人たちがいる。ニューヨークのお二人を主人公としたシナリオ、それを監修し見張る存在。そう、「鬼越トマホーク喧嘩チャンネル」です。少々分かりづらい喩えになって申し訳ないが、ニューヨークさんのチャンネルに度々登場したり名前を出されたりする、「キャラクターとしての鬼越トマホークさん」とは別物である。というか、嶋佐さん屋敷さんが個人的に仲良くしている坂井さん金ちゃんさんとも別物だ。「鬼越トマホーク喧嘩チャンネル」それ自体が、ニューヨークさんのYouTubeチャンネルの「監視・監修」の立場になっている、という話がしたい。

簡単に言うと、「ニューヨーク Official Channel」というYouTubeの構成は、かなり諸刃の剣なのだ。「アイドル育成ソシャゲ」に喩えたように、自分たちの関係や相関図をウリにする以上、ニューヨークさんお二人の存在はイデア(アイドル)化される。
次いで、そこに付くオタクたちもある程度「信者化」される。
ネタや企画どうこうよりも、嶋佐さん屋敷さんの存在や発言それ自体にファンが熱狂し始めるということだ。
かく言う私も激イタの信者オタクだから、気持ちはよぉ~くわかる。
まあ、そういうファンが付くことは=お金になる、のだから悪いことではない。そもそもお二人はワーキャーされたい系だから、Win-Winですらある。

しかし、問題は、こういうふうな人気を得た動画配信者は大体、「イタく」なるのだ。
私はお笑いファンにハマる前、ニコニコ動画でゲーム実況者のオタクをやっていたのだが、自己プロデュース力が低くどんどん視聴者に媚びてイタくなっていく素人を何千何万と見てきた。というか、芸人さんにもけっこういる、誰とは言わないが。
視聴者に媚びる、というのは、別にアイドルのように異性のファンに甘い顔をする、という意味合いで言っているのではなく、自分たちの視聴者のニーズに合わせてどんどん閉塞的になり囲い込んでいく様子を指す。
そうなると、たしかに固定のファンは喜ぶかもしれないが、かつての広い視野は失われ、結局右肩下がりになっていく。

それを阻止しているのが、(絶対本人たちにそんな気は無いと思われるが)鬼越トマホークさんのチャンネルだと私は考えている。というか、「東京15期の目」だ。
いやいや、ニューヨークさんは鬼越さんの動画なしにも天狗にはならないよ、と思うかもしれないが、それは違う。なぜなら、「ニューヨーク Official Channel」というソシャゲには私たちニューヨーカー共も登場するのだ。私たちが過剰に「イタいファン」ならないように、牽制する役目も担っている。
きっと、鬼越さんや横澤夏子さん、川瀬名人さんが、素人のお笑い評論家であったりユーチューバーであったら意味がない。どれほど芯を食っていようとも。ニューヨークさんの近い身内が「お笑い」の範囲内で動画をあげるから素晴らしいバランスが成り立っている。
もしもニューヨークさんのカリスマ性が同期や先輩後輩にも伝播して、YouTubeをイジれなくなったらいよいよ終わる。絶対にどこかで限界が来る。ファンも徐々に減衰して、サービスが終了する。
そういうわけで、私は鬼越さん必要不可欠論を唱えるわけだ。


●最後に

長々と失礼しました。
自分でも突飛なことを言っており自覚はあるので、ご批判を受ける覚悟はあります。なんなりとコメントして頂ければと思います。
ただ、筆者に対するご意見は何でも嬉しいのですが、特定の芸人さんユーチューバーさんに対する誹謗中傷はお辞めください。当たり前ですが、そういった意図で書いている記事ではございませんので。
また何か気づいちゃったらだらだら書くかもしれません。
あと同じnoteで芸人さんを劇場で見た時に浮かんだ抒情を「客席から見える景色」シリーズでエッセイなんかも書いておりますので、よろしければ。
ありがとうございました!

もし本当に余裕があれば、良いな〜と思って頂ければ、サポートして頂けるととても陳謝です…