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【学習お悩みQ&A第3回①】家庭での学習の心配事にお答えします!

【今回の質問】
子どもが質問にいけない
自分で考えない

※この記事は、深澤英雄先生(久保田学園の生徒第1号 神戸市の小・中学校で38年間教壇に立ち、教職大学院の特任教授を4年半務める。現在は和歌山大学教育学部の非常勤講師として学生の指導に当たる。)をお招きして、久保田学園グループ代表久保田勤とグループ講師宮後が対談を記事にしたものです。第二回の記事はこちら


https://note.com/kubotag/n/n5787ca4子どもが質問にいけない、理由を知ろう

宮後:今回で第三回のお悩みQ&Aですが
 子どもがわからないところを自分で先生に質問に行けない
 自分で考えずにすぐに答えを聞きたがる
という丁度反対のようなことなのですが、ご質問を頂いています。これらの悩みについてはどのようにしていくのが良いのでしょうか?

深澤:どちらも根っこにあるのは同じような理由です。ですがひとまず子どもが質問に行けないという事についてからお話を始めたいと思います。
まず、子どもが質問することを苦手だと思ったり恥ずかしいと思う理由を知ることが大切です。次のようなものが考えられます。
 
 ・自分から親、先生、講師にわからないことを聞くのが恥ずかしい
 ・「聞くと周囲に迷惑がかかる」「先生、家の人が忙しそう」と気を遣ってしまう。
 ・質問のレベルが低いと思われるかもしれないから恥ずかしい
 ・何がわからないかがわからないから質問できない。だから恥ずかしい。
 ・あまり親しくない大人と話をするのが恥ずかしい
 ・分からない事を言葉で表現するのが難しい

久保田:そうですね。子どももわからないところがあれば聞けば良いというのはわかっています。ですがそれを押し留めてしまう何かがあるんだという事をよく知っておいた方がいいですね。その原因を解消してあげようとすることが前向きな解決策になると思います。

深澤:これまでに、子どもが先生や大人に質問をすることで怒られていたり、”こんなことを質問してるのか”とある意味馬鹿にされていているとそれが負の体験として質問への心理的ハードルをあげてしまいます。自分でなくても周囲の子どもが起こられたり馬鹿にされているシーンを見てしまうと、それも負の体験として作用してしまいますね。

久保田:やはり、”わからない事をきちんと見つけるのは大切なことなんだよ”と伝えたり、”わからない!をきちんと人に説明して解決していこうとするのはとてもエライ!”と子どもに声かけをして質問への負のイメージを払拭することが大切なんだと思います。

子どもの”なぜ”に区別はない

宮後:どんな質問にも答えていって、どんどん質問していくんだよという姿勢で向かうというのは、答える側としては難しいのではないかとも思います。

久保田:子どもは幼少期、6歳くらいまではなぜなに期と呼ばれています。この頃に”なぜ?”と聞いてくるのは時には答えのない質問であったり、大人にもわからない難しい問題だったりしますね。

深澤:そうですね。これは先生側にも言える事なのですが、”勉強で”分からない事に限定して、答えやすいものだけ質問して欲しいという気持ちで向き合うのは良くないということなんですよね。

宮後:確かに!それは結構講師としては痛いところをつかれているような気がします。勉強の事以外の事を聞かれてもそんなん私にはどうしようもないよ!という気持ちになるのは確かです。

深澤:小学校高学年くらいになっても子どもは”わからない”に勉強の事・それ以外の事の区別はあまりないのです。”勉強のことならいつでも質問にきてもいいよ!”と言っても、子どもには難しいし、勉強以外のこともわからないことは聞きたいという気持ちにもなるでしょう。

質問には全部答えを与えなくてもよい

久保田:もちろん、私たち塾講師や先生と呼ばれる立場の人間が勉強のことで分からないことがあるのはよくありません。ですが、子どもの質問に対してなんでもすぐにわかるように答えなければならないという事はそれはそれで違うと思いますね。ちょっと難しいことに対しては、答えで当てはめるだけでなく、”私にもわからないから、一緒に考えてみようかぁ”としてみるということも大切ではないかと思いますね。

深澤:その考え方はとても大切ですね。ネットもありますので、子どもと一緒に調べてみるなんてことでもよいと思います。今はchatgptのような生成AIなんてものもありますので、AIに意見聞いてみようとかでも面白いと思います。答えそのものよりも調べるという経験や体験を楽しんでもらえるようにすると、質問に対する負のイメージは軽くなりますし、楽しいから自分で調べてみよ!というようになればしめたものですよね。

久保田:そうなっていくと、疑問を解決するという学びの根本を楽しんでいくことができますね。答えを得るという結果だけでなく、調べるという過程、またそれ以前にある”疑問を持つ”ということ自体を子どもが肯定的に考えられるようになると、学習に対しても前向きになるのではないかなと思います。

まとめ
 子どもが質問に行けない理由を知ろう。負の体験を取り除こう。
 勉強の質問以外もどんどん聞いていいよという姿勢でいこう。
 わからないことは”私もわからないから一緒に調べよう”としよう。