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「どうしてわかってくれないの?」、「わが子のことは一番分かっている!」親子のすれ違いは”話の聞き方”で解消します!傾聴法②


この記事は、傾聴法①の続きです。傾聴法について、久保田学園グループ代表久保田勤と、講師の宮後が話をした記事になっています。ご興味のある方は、ぜひ前回もご覧になってください。


宮後:前回、話を集中して聞く”傾聴”についてお話をいただきましたが、より詳しい方法をお聞きしたいと思います。

久保田:前回、アドバイスを我慢しようというの話をしましたが、そのやり方について、非常に効果的な方法をお教えします。

判断は、わきに置く

久保田:こんなケースでかんがえてみてください。
 来週大切なテストがあるとしましょう。勉強を頑張っているかなと思って、子どもに勉強について声をかけたところ、こういう返事が返ってきました。

久保田:あなたはどうしますか?どのように返事するでしょうか?

宮後:例えば中学1年生だったとすると、”勉強時間少ないなぁ”と思いますね、”ちょっとはできてるからもうちょっとがんばったら?”とかの言葉をいうかもしれませんね。

久保田:それで、子どもに”わかってるわ!でもちょっとはやってるやんか!”と反発されてしまうケースはよくあります。

宮後:確かにそうですね。こういう言葉かけはなかなか繊細だなといつも思います。

久保田:前回を思い出してほしいんですが、
 ”もうちょっとがんばったら?”
 という言葉が、もうアドバイスになってるんですよ。これを我慢しようという話でしたよね。

宮後:あ!なるほど確かにそうですね。うっかりしてました。

久保田:わかってても結構やってしまうものなんです。そこで、よく考えてほしいんですが、今、”もうちょっとがんばったら”と言おうとした前の思いの部分に注目してほしいんです。

宮後:この”勉強時間少ないなぁ”と思ったという部分ですか?

久保田:その考えがアドバイスの元になっているんです。子どもの勉強時間30分に対して、”少ない”というのは、あなたの判断・評価ですよね。

宮後:たしかに、そうですね。まぁ中学生なら一日これくらいやってほしいなというのに対して、ちょっと少ないかなと判断しました。

久保田:人は話を聞いているときに、こういう判断をしてしまものなんです。そこで、その判断からそのまま言葉をかけると、それがアドバイスになってしまうんです。

宮後:なるほど、確かにそうですね。この判断とアドバイスを考えるというのは、完全にセットになっていますね。ではアドバイスを我慢するには、自分で判断をしないことが大切なのですか?

久保田:いえ、話を聞いている以上判断はあたまに湧いてきてしまうものです。判断を元に言葉を考えるのでなく、ぐっと我慢して、一旦判断をわきにおいて、話を聞き続けることを意識するのが大切です。

宮後:これは意識していないとつい、判断してそのまま言葉してしまいそうですね。

久保田:それに気づいたことは大切なことですよ。この判断をわきに置くことことを意識するだけで、結構アドバイスしてしまうのを防ぐことができます。久保田学園グループの研修でも、講師が一番役に立ったという考え方なんです。これができるだけで本当に話の聞き方が大きくかわるのでぜひ試してみてください。

思いを共有しよう

宮後:判断をわきに置いたとして、次にどういう言葉をかけるのがよいのでしょうか?

久保田:以前お話した質問を利用してみてください。例えば、先ほどの”勉強時間が30分やねんって”って子どもが行ったときに、”やってみてどう?”とかの質問を使ってみるといいでしょう。

宮後:なるほど、一旦自分の判断はおいて、”やってみてどう?”ってきくことで相手の意見や判断をきいてみるんですね。

久保田:そうですね。これが一番会話を続けやすいと思います。

宮後:判断を脇に置くことを意識し続けると何を話せばいいかわからなくなってしまいそうだったので、これを活用しようと思います。

久保田:これはうまくいった例になりますが、相手が”やりたいけど、しんどくて”っていう気持ちを語ってくれたらしめたものなのです。ここで、”やりたい””しんどい”という相手が開示した気持ちを、しっかりと聞いて受け止めてあげることが何よりも大切です。ここで、聞き手と話し手が思いを共有できたわけです。

宮後:なるほど、思いを共有するというのはそういうことなんですね。ここで相手の気持ちがポジティブなものだったら応援すればよいし、ネガティブなものだったら気持ちをしっかり聞いてあげるといいんですね。

久保田:そうなんです。この状態がお互いが会話していて一番安心できる状態なんです。今回の例だと、”テストがもうすぐあること”や、”もうちょっと勉強したほうがいいこと”なんて実は話し合う前からこどもに分かり切ったことなんです。それについてどう思っているかの部分を共有することが本当に大切なことなんです。

宮後:たしかに、この状態になってから解決策を一緒に考えたり、提案したりするのがよさそうですね。

久保田:そうなんです。実際やってみるといつもより数回の会話のキャッチボールを増やすだけです。でもたったそれだけのことで話し合いがとても豊かなものになっていきます。では、次回は子どもの解決策を考えていく際のポイントをお話しようと思います。