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オリンピックチケット狂騒曲の果てに・・・

皆さんはオリンピックのチケットはゲットできましたか?
こんにちは、中小企業診断士の久保です。私は野球、サッカー、ソフトボール、スケボーの決勝戦を申し込みましたがあえなく全滅でした・・・。

今回の一連のオリンピックチケット争奪戦の騒ぎは2019年5月9日(木)に抽選申し込みを開始し、6月20日(木)に抽選結果発表といったスケジュールでしたが、今回はニュースなどで報じられてきたこの一か月あまりの動き、いわばオリンピックチケット狂騒曲を診断士的マーケティング視点で分析してみたいと思います。

抽選日を迎えて

今週は地震や事件など暗いニュースがありましたが、その中でもオリンピックチケットの抽選結果発表のニュースはみんなが盛り上がる大きなトピックの一つでした。申し込み開始時のニュース報道と同様に抽選発表のタイミングでニュースで大きく報道され、抽選結果に一喜一憂する人々の声があふれかえっていました。

ソーシャルメディアの世界でも同様で、身近な人からの抽選結果やその感想が続々と流れ込んできました。最近ではペイペイのキャンペーンと同じくらい周りで盛り上がっていたように思いました。


ゲーミフィケーション

ゲーミフィケーションという言葉はご存知でしょうか。ゲーミフィケーションとは、ゲームの要素をビジネスなどゲーム以外の分野に応用することを表す言葉です。例えば参加型、ポイント制、レベル分けなどのフリークエント・ショッパーズ・プログラム(Frequent Shoppers Program:FSP)などもゲーミフィケーションの一種といえるのです。今回のチケット抽選はソーシャルメディアの発達により、メディアから発信される情報を受け取るだけではなく自ら発信し、参加する構造が生まれてきたためゲーム要素を多分に含んでいたと思われます。

また参加者の行動パターンを確認すると、従来のマーケティングで語られるAIDMAモデルとは少々異なるパターンでリアクションされていたと思います。

AIDMAモデルとは、その製品の存在を知り(Attention)、興味をもち(Interest )、欲しいと思うようになり(Desire)、記憶して(Memory)、最終的に購買行動に至る(Action)といったこれまでの消費行動モデルです。

これに対し今回の生活者消費行動モデルは、SIPSモデルと呼ばれるものに該当すると思われます。オリンピックチケットの抽選応募といったきっかけに対して、各種ソーシャルメディアで発信される情報に対して「共感する(Sympathize)」→「確認する(Identify)」→「参加する(Participate)」→「共有 & 拡散する(Share & Spread)」というサイクルが確認されたと思われます。

オリンピック委員会はおそらく意図していなかったと思われるが、ソーシャルメディアを通してきっかけ、動機付け、参加、発信という一連の動きが生まれマーケティングに成功して一連のムーブメントとなったと言えます。

これというのもオリンピックというブランド、特に日本人にとっての東京オリンピックブランドは、「お・も・て・な・し」の瞬間から潜在的にロイヤリティが高いものであり、一般顧客にとっての最初のアクションであるチケット抽選というイベントをきっかけに一気に顕在化したものと思われます。

狂騒曲のその果てには・・・

このように考えると、(意図しているかどうかは別として)マーケティング面でのこれまでの対応は非常に成功していると思われますが、IT系診断士としてひとつ気になる点があります。
応募開始直後、抽選結果発表直後など、Webサイトへのアクセスで非常に待たされる経験をした人は多いと思います。せっかく周りが盛り上がっているにもかかわらず、技術面の不備が原因で水を差されたような印象も否めません。

今回の抽選サイトのデザイン、設計をしたベンダーがどのようなサイジングを行ったかはわかりませんが、応募開始時や発表確認時などのアクセスが集中するようなタイミングは容易に想像ができたと思われます。今のご時世、自社のリソースのみでWebサイトを構築しているとは考えにくいので、クラウドの流動リソースをうまく活用することでアクセス集中時の処理をうまく分散させるなど、もう少し対処の工夫ができたのではないかという思いが残りました。

今後は、二次販売、チケットの受け渡し、入場時の本人確認など技術的に重要なタイミングはいくつか予想できますが、お客様が気持ちよく競技を観戦してライフタイムバリューを高められるような対応に期待したいと思います。

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