スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019)
遂に、42年にも及んだ
スカイウォーカー・サーガが完結した。
もはや、銀河イチ迷惑な家族喧嘩。
と言われていたが実は一貫して
ある人物の話でもあったことが分かった。
公開日の次の日に鑑賞してきました。
もはやネタバレなしでは語れません。
観てない方は読まないでください。
【感想(ネタバレ含む)】
まずレイが、パルパティーンだったという
今回の新三部作最大の種明かし。
レイだけの物語で言えば、
7〜9全て「自分は何者なのか」問題である。
7・8を観た限りだと
「選ばれし者でなくとも世界は変えられる」
という裏テーマとも取れたのだが、
今回はそれらを全ぶち壊し。
圧倒的なサラブレッドだった。
かと言って、
そこまでの驚きはなかった。
公開前からネット上で散々考察されてきたものを読んでいたからかもしれないが、9の予告でパルパティーンの声が出てきた時点で確信していたからかもしれない。
スカイウォーカー家族を
SWの世界から引退させるという意味では
パルパティーンと対立させて
落とし前をつけるというのが
自然な流れというのは分かる。
だけど、
それはすでに6で終わっていた話である。
結果的に、7〜9の物語は
1〜6の焼き回しとも言えてしまうのだ。
だけど、分かっている。
僕たちSWファンというのは
SWの世界が好きなだけで
新しい映画が観たくて
映画館に足を運んでいる訳ではない。
同じようなベタ展開をもって、
綺麗な映像で魅力的なキャラクターが
動き回るさまが観たいだけなのだ。
そういう意味では今回の完結編は
満点と言ってもいいし、
顧客満足度と映画評論家の賛否が
真逆の結果となっていることにも
うなずける。
ただJJ・エイブラムス監督と
ライアン・ジョンソン監督の
やりたかったことが違っただけなのだ。
どちらの監督からもSW愛は伝わってくる。
そうなるとやっぱり
「そこの二人もっと話し合っとけよ」という
感想に尽きる。
ライアン・ジョンソン監督の起用という賭けに
負けてしまったことが
新三部作のブレブレなテーマ性の
最大の原因だろう。
内容について触れていく。
カイロ・レンのキャラクターは魅力的だ。
本当は良い奴なのに、
悪ぶろうとして暴走してしまう。
思春期感丸出しの可愛いキャラクターだ。
ライトサイドに転じるシーンが
肝になるはずなのだが、
そのきっかけが
母であるレイア姫が死んだというだけなのが
もったいない。
あそこの無理矢理感は否めないが、
最後の表情でオールオッケーになってしまう。
ブラスター1本でレイの元へ走る姿。
なんだ!
カイロ・レン男前だったんじゃないかってね!
やっぱり僕たちが求めていたのは、
少年漫画的なカイロ・レンの活躍であり
映画的な質を差し置いても
満足感を感じてしまう。
フィンも消化不良で終わってしまう。
元ストームトルーパーから
これといったきっかけも無く
ライトサイドになり、
フォースすら感じている。
もともとショッカー軍団だった
仮面ライダーが、
不意に正義に目覚めた構造に似ている。
「フォースの覚醒」って実はフィンのことか?
とも思っていたのだが、
これもキャラクターを描ききれないまま
ゴールテープを切ってしまった。
だいたい8であれだけフィンに尺を
使ったくせに全て無意味なシーンとは
どういうことなのだ。
カジノの星のシーンは丸々カットだ!
9で殆ど登場しないローズなんか
出すくらいだったら
8でその辺りを掘り下げてほしかった。
というかローズって何だったんだ!
ローズを通して伝えたかったことが
一つも分からない!
やっぱり8は駄作だ!!
8の時間をもっとドロイド達とか
フィン覚醒の謎とか
カイロ・レンの変化とか
レイ・フィン・ポーの絆とかに
当ててれば間違いなく名作になれた。
9がSW王道エンタメに回帰できただけに
8が惜しまれる。
逆にパラレルワールドとして
ライアン・ジョンソン監督の
9を観てみたい。
あの監督の中では筋が通っていたはずだ。
どうする予定だったのか。
結構気になる。
ちなみにフィンが
何度もレイに伝えようとして
伝えられなかったセリフについては、
JJ・エイブラムス監督自ら
インタビューで答えを明かしている。
なんだったのかと言うと、
「俺もフォースを感じるんだ」
だそうです。
えぇ!?絶対違うやろ!
製作者が言ってるんだから
疑いようがないのだが、
自分の中のフィンはそんなこと言ってない!
というかそんな話なら丸々カットしろ!
9に関しても無駄なシーンが多いことは、
否めない。
蛇のシーンとか。
ベン・ソロ(カイロ・レン)がレイを
フォースの力で蘇生させる振りでしかない。
しかも蘇生能力って
ダークサイドの能力じゃなかったでしたっけ?
ベンもレイも
ライトサイドやダークサイドなど
超越した力を手に入れたってことで
いいんでしょうか?
たぶん粗探しをすれば、
いくらでも出てくる作品なのだろう。
ファンと興業的成功に寄り添った
サービスカットの量と
ストーリーとしての筋が
共存できずに破綻している。
JJ監督は、8へのこじつけと
ファンサービスを繋ぐという仕事に
振り切った。
そして見事、成功したのだ。
結果的に9が満足だった故に
8への不満も書いてしまったが、
個人的には新三部作、面白かった。
しっかり劇中3回泣きました!
そしてSWという遊び場を
作ってくれたジョージ・ルーカス、
ありがとう!
まだまだこれからも
色んな人がこの世界で
遊んでいくことになると思う。
それはそれは楽しみ。
最強のコンテンツだ。
スター・ウォーズ万歳!
フォースと共にあらんことを!