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【初心者向け】写すだけじゃない!確実にイラストの画力がUPする“模写”の練習法

KUAイラストアドベントカレンダー、12月8日はイラストレーションコース講師、うえだヒロマサ先生(@hiromasa0478)から【初心者向け】写すだけじゃない!確実にイラストの画力がUPする“模写”の練習法です!


みなさんはじめまして。うえだヒロマサと申します。普段は大学や専門学校などでイラストの講師をしながら、イラストの上達方法をSNSやpixivなどで発信しています。

今回は人物イラストの練習方法についてお話をしていきたいと思います。みなさんの中には「どう描けば理想のイラストになるのかわからない」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか?

そんな方のために、僕がお勧めしたい練習方法は、ズバリ「模写」です!

◆模写とは何か?

そもそも模写はどういった練習なのでしょうか?
模写の目的は単に絵を写すことではありません。

模写の本当の目的は、絵を写す過程で作者の意図や絵の法則を理解し「気づき」を得るところにあります。そして、その気づきを自分の絵に取り入れられれば、自分の理想とするイラストにぐっと近づくはずです。

人物イラストには「絵柄」や「体型(素体)」「色使い」など様々な要素があります。それら全部を一度に理解するのは大変です。そんな時は「気づき」が欲しい部分にフォーカスを絞って模写してみましょう。
「絵柄」であれば「絵柄」のみ、「体型」であれば「体型」のみの1点集中で模写に臨みます。

理想のキャラクター像がおおよそイメージできているのであれば、最初は「体型」をメインに模写するのをおすすめします。

理想の体型が描けるようになれば、絵柄や服装をアレンジすることで、自分好みにキャラクターをカスタマイズできるからです。さらに、体型をメインに模写をはじめるのであれば、まず基礎となる人体を理解することが必須です。

次の章では模写をやる前の下準備について説明します。

模写をやる前の下準備。人体の基本ルールを覚えておこう

模写の練習をするにあたり、僕が「絶対に覚えた方がいい!」と思う人体の基本ルールは3つ。「頭身」「人体の比率」そして「パーツの位置」です。

ルール1「頭身」

まずは「頭身」という考え方を覚えましょう。

頭身を覚えれば、体の大きさが毎回バラバラになることを防げますし、大人や子どもを描き分ける際の手間もなくなります。
キャラクターの場合、2〜9頭身程度まで頭身のバリエーションは非常に豊富。頭身が高いほどカッコ良い印象になり、頭身が低いほどデフォルメが強く可愛らしい印象になります。基本的には6~7頭身辺りを使うのがオススメです。

また、頭身ごとにパーツの高さを覚えておきましょう。特に股の位置や、胸の位置などは頭身ごとに暗記しておくと、迷いなくキャラクターを描くことにつながります。

ルール2「人体の比率」

次に覚えてほしいのが、人体の比率です。

人によって多少長さは変わるものの、比率自体は共通している部分が多いのが人体の面白いところです。例えば、腕は「肩〜ひじ」と「ひじ〜手首」まではそれぞれ1:1に、脚は「股下〜ひざ」「ひざ〜足首」までがそれぞれ1:1になっています。

腕や脚以外にも顔のパーツや体の横幅など、比率はいろいろな部分で考えることができます。数値で覚えるのが面倒だという人は、基準とするパーツに対して「大きい」「小さい」「広い」「狭い」「同じ」といったように、言葉で覚えても良いと思います。

大事なのは、頭身と同じように「比率」という考え方があると理解すること。体の部位に対して比率で考える癖をつけることが大切です。

ルール3「パーツの位置」

最後に人体の「パーツの位置」です。人体のパーツの位置は基本的に決まっています。

例えば、手首は股より少し上の位置。肘は肩から手首の中心、へそはひじと同じくらい(女性の場合はひじよりも少し下)の位置にあります。

このように、手首の位置が分かればひじやへその位置もおおよそ見当をつけることができます。

◆実際に模写をしてみよう

みなさん、ここまで下準備おつかれさまでした。
ここからは模写練習について学んでいきます。
今回は顔の絵柄や服装に関しては一旦置いておき、素体(描き込まれていない体)を中心に模写していきたいと思います。

1、イラストを分析する

模写をする際は、まず「人体の基本ルール」について分析することが重要です。「人体の基本ルール」をもとに、体型(素体)がどのようにデフォルメされているかをつかむことで、イラストに対する理解度がぐっと上がります。

寺田てら先生「Berry」

今回は寺田てら先生からお借りした、「Berry」の可愛いキャラクターを分析してみます。寺田先生ご協力ありがとうございます!

①まずは、寺田先生のキャラクターの「頭身」を測ってみましょう。

頭の縦の長さを基準に等身を測っていきます。脚を曲げている場合は、垂直に脚を伸ばしたものを想定して頭身を測ります。

また、この際に胸の位置と股の位置も確認しておきましょう。

このキャラクターは3.4頭身で描かれているのがわかりました。
また、胸は1.3頭身、股はちょうど2頭身の位置にあることがわかりました。

②次に、頭を基準にして、「体の横幅(比率)」を見ていきます。

※服に隠れて見えない部分は内部の体をイメージして描き込みましょう。

首、肩幅、くびれの幅、腰など人体の特徴となる部分について、頭に対してどれくらいの幅なのかを見ていきます。
首は頭に対してかなり細いですが、肩幅は頭と同じくらいになっていますね。くびれは頭よりやや細く、腰は頭と肩幅よりも細いですが、くびれよりは広くなっています。

ここまでが人体の分析です。

分析した内容をまとめるとこのようになります。

2、素体を模写する

分析が終わったら、いよいよ実際に描きはじめましょう。

①まずは顔と頭を描いていきます。

先程分析した通り、頭の大きさは人体の大きさの要になります。縦幅や横幅を意識して制作しましょう。
顔を描くときは眉を基準にすることで、顔と頭を分けることができます。
模写元と大きく違っていないか、確認しながら描くようにしましょう。

②次にざっくりと大まかに胴体を描いていきましょう。

まず、先程分析した頭身を元に、パーツの位置におおよその目印をつけておきます。ポイントは「肩」「胸」「股」「膝」「足」など人体の特徴となる部分ですね。頭身によって変化しやすい「胸」や「股」などから目印をつけると進めやすいです。

目印をつけたら、胴体をざっくり描いていきましょう。いきなり細かい部分を集中して描くと、全体を見たときにバランスが崩れやすくなります。全体を見ながら、丸や四角など単純な図形を意識して、大まかな形をとっていきましょう。

③腕や脚を描いていきます。

描き込む際は「人体の基本ルール」を思い出しながら比率などを意識して描くようにしましょう。

④両方に補助線を入れて、パーツの位置にズレがないか確認します。

補助線は腕や股、お尻など目安になりそうな場所に引きましょう。模写元のイラストと自分の絵の両方とも同じようにパーツが補助線を通過しているか確認し、違いがあれば修正します。

両足の位置が少しズレていたので調整しました。

⑥線をきれいに整理して素体の完成です。

今回は素体の模写なので、素体以外は描き込まなくて大丈夫です。

これで一通り模写の完成です。みなさん、模写お疲れ様でした。

さて、実際に模写した素体を見てみましょう。
イラストをしっかり観察し、頭を使いながら模写したことで、どことなく寺田てら先生のデフォルメのコツが掴めたのではないでしょうか? 頭のサイズに対する胴体の描き方などが特に重要になっていますね。

キャラクターの素体の描き方を押さえるだけでも理想のキャラクターにぐっと近づくことがわかると思います。

ただし、まだこれで終わりではありません。模写はさらに活かしてこそ意味があります!

ということで、模写を活かしたキャラクターの練習方法を見ていきます。

◆模写を活かして、応用練習してみよう

①先ほど分析した内容をもとに、ポーズを自由に考えながら素体を描いてみましょう。

ポーズが全く思いつかない人は、画像検索などを行ってみてください。

②先ほどと同じように頭を描いてから頭身を測り、パーツの高さを決めて体を描き込んでいきます。

「人体の基本ルール」を忘れず、先ほどの分析でどこをどのようにデフォルメしていたか思い出しながら描いていきましょう。適宜、元のイラストを参照すると理解が深まります。

③素体が描けたら自由に顔のパーツや服装など描き込んでみましょう。

素体をもとに自由にアレンジしてみました。
頭身の分析をしっかり行ったことで、ポーズを変えてもしっかり絵として成立しています。模写元の作品の作風を参考にすると、理想のキャラクターにより近づけることができますね。

このように、模写で得た「気付き」を自分の絵として昇華させてはじめて、模写をする意味が見えてきます。

模写だけでももちろん練習にはなりますが、できるだけ描きっぱなしになってしまわないように気をつけましょう。

いいなと思った絵を見つけたら、まずは絵を分析しながら模写をし、そこで得たバランスをもとにアレンジして自分好みのキャラクターを作ってみてください。

◆まとめ

それでは今回学んだ内容を簡単にまとめます。

1、練習をする前に人体の基本ルールを覚えよう
2、好きなイラストを分析し模写してみよう
3、模写を活かして自分なりのキャラクターを描いてみよう

今回は素体を中心に模写をしましたが、絵柄をもっと分析したい場合は顔のパーツなどの位置や比率も考えてみると良いでしょう。
自分が得たい気付きを明確に意識しながら、模写とそれを活かした練習をしてみてくださいね。

終わりに

僕も絵を描き始めた当初はどうすればいいのかわからず、いろんな本を読んだり、ネットで上達方法を探したりしていました。ですが今ほど絵が世の中に溢れていなかった時代ということもあり、何をするにしてもチャレンジと失敗の繰り返しでした。
その失敗こそが、今の自分を作っている糧になっています。

今回の練習方法は、そんな僕の成長のきっかけになったもの。この練習方法が少しでもみなさんのお役に立つことを願っています。

絵を描く上で何かを発見することはとても大切です。どんな些細なことでも発見した時には自分を褒めてあげましょう。

僕も日々の発見と自分の成長を楽しんでいます。
みなさんも絵を勉強し、発見・成長することを楽しんでください!

プロフィール

うえだ ヒロマサ
京都芸術大学通信教育課程イラストレーションコース講師

著書情報


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