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人間らしい

5/11
日記
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8時に起きてバイトに向かう。

到着した電車から人が流れ出てくる。
駅のホームに人の川ができる。
向こう岸へ渡れず立ち尽くす。

土曜日の人間は眩しい。
天気も良くて、お祭りぐらいに浮かれている。
エネルギーに押し負けて道の端の方を歩く。
サービス業で働いている人たちをなるべく多く視界に入れて自分を鼓舞して行く。

今日はバイトのあとに予定があるので、
なるべく定時で上がりたい。
お客さんが多くて仕事が長引く。
焦って普段はしないミスをする。
注意されて落ち込む。

慌てて電車に飛び乗り都心より西の方へ向かう。電車を降りると外はもう暗くて驚く。

好きな芸人の単独ライブの開場時間少し前に滑り込む。
今日は休憩がなかったので昼も夜も食べていない。
可愛い女の子たちが可愛い服装をしていっぱいいる。
仕事終わりのボロボロの私がロビーで1人、
ローソンの塩パンをかじる。

整理番号順に自由席で座る。
中央ブロックの端っこの席に座る。
知らないお兄さんに「そこ空いてますか?」と隣を指さされる。
「はい!大丈夫です!」と接客業の余韻が抜けきらない声量で返事する。

ネタで笑う。
幕間の曲に泣かされる。
またネタで笑う。

電車に乗って東京から千葉へと戻る。
一駅進むごとによそ行きの自分を一枚脱いで、
最寄りの駅で最後の一枚を脱ぐ。
素の私が残る。

都内で遊んだあとの帰りの電車はめんどうだけど嫌いじゃない。
その日一日のことを振り返りながら乗る。

最寄り駅に着くと嬉しい。
名物も観光地も何もないベッドタウン。
家や塾や美容院がたくさんある。
都心で働くためだけに住む街。
都会と田舎の真ん中で身の丈に合う場所。
街の中途半端さに安堵する。
世界の圧が減って、私の体積がすこし増える。

駅から家までの約15分の道のりが心地いい。
たいてい耳に音楽かラジオを流して歩く。
星をみる。
大学生の時バイトしていたドラッグストトアが光っている。

夜食にカロリーの低いお粥を食べる。
チョコを食べて台無しにする。

日記を書く。
眠くて頭から言葉が抜け出す。
読もうにも読めない。
テスト前日を思い出す。

寝るzzz

人間らしい一日。

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