見出し画像

ライカの安いレンズ

安いと言っても数万円はします。僕のは数年前に※ebayで2万円ちょっとで買いました。ズミタールSummitar 50mm f2.0)というオールドレンズ(シリアルNo.によると1951年製造)です。ネットオークションでレンズを買うのは正直ギャンブルです。安く購入できるとしても、画面では確認できない問題を抱えている可能性があるからです。例えばピントなんて確認しようがありません。だから相手の方を信用できるかどうかに賭けて買うしかないのです。この時は苦手な英語を一生懸命読んで、この人は大丈夫そうということで購入。結果として、良い買い物でした。

※ebayは世界最大級のネットオークションサイトです。

さて、今回はフィルムも出てきますが、どちらかと言えばオールドレンズのお話です。

あまり人気がないレンズ

ズミタール はいわゆるライカのMマウントレンズではなく、※L39マウントです。これが人気のない理由の一つでもあると思われます。何しろ雑誌などでオールドレンズの紹介記事などがあっても、ライカレンズは大抵がライカMマウントレンズという括りで載っているので、紹介すらされないことが多々あります。人気が出る以前にそもそもあまり知られていないというのがこのレンズです。おまけにズミタール の後継として登場したズミクロンがライカを使う人なら誰もが知っているような人気レンズだったこともあり、ズミタール はオールドレンズ市場では影の薄い存在となりました。

※カメラはメーカーや製品ラインによって、レンズとボディを取り付ける部分の形状が異なり、その規格ごとにLマウントとかMマウントのように名前がついています。L39マウントMマウント同様にライカのマウントなのですが、より古いものになります。

地味な角絞り

ズミタールにはバージョンがいくつかあり、絞り羽の形の違いでは角形と丸形があります。丸形の方が人気があるのだそうですが、僕のは角形。つまりズミタール の中でも人気薄。多分そんなこともあり、こんなに安かったんだと思います。丸絞りと角絞りの違いは、絞って撮った時にボケの形に出ます。丸形ならボケも丸いけど、角形だとズミタール は6枚羽根なので六角形になるということ。開放で撮る分には関係ありませんが。

開放なら

画像6

M240 / Leica Summitar 50mm f2.0

癖のあるグルグルボケも楽しめます。ズマールほどではないけど十分癖のあるオールドレンズだと思います。以前使っていた沈胴式ズミクロンと似ているかなぁ。

少し絞れば

画像6

M240 / Leica Summitar 50mm f2.0

少し絞って、ピントの位置を少し奥に置いてやればシャキッとします。でも決して固すぎない描写が好みなのです。以前使っていた沈胴式ズミクロンほどキレキレではないけれど、僕にとってはとても良い塩梅です。

ズマールほどボケが派手ではないし、ズミクロンほどキレキレではないと言うと、どこか中途半端なイメージになりますが、決して中途半端なのではなく、バランスの良さがあると思っています。

とろけるようにというよりは


画像7

M240 / Leica Summitar 50mm f2.0

後ボケの少し輪郭を残してボケていく感じが好きです。何でもかんでもぼかすのはねぇ、という方にはちょうど良いボケ具合を探す楽しみがあります。上の写真では椅子を好みのボケ加減にしたくて、近くにピントを置く場所を探していたところ、ちょうど良いところに花がありました。

フィルムでも

画像1

M5 / Leica Summitar 50mm f2.0 / KODAK Tri-x 400

そもそもフィルムカメラ用に開発されたレンズですから当然フィルムとも相性は良いです。デジタルの時よりもさらにクラシカルな雰囲気が出せそうです。

画像2

M5 / Leica Summitar 50mm f2.0 / KODAK Tri-x 400

デジタルのM240やSIGMA fpで試した時にはとても扱いやすくて、ボディが変わってもすぐにフィットしてくれました。ノクティルックスやズミルックスに比べると癖がなくて、下手をすると真面目すぎる印象でした。ところがフィルムカメラで使うと意外にも少々尖った印象に変わりました。ちゃんと意図をもって撮らないと面白くない写真になったり、失敗写真になったりすることが多くありました。おそらくデジタルよりもフィルムの方が、レンズの持っている個性はストレートに出やすいものなのでしょう。

画像6

M5 / Leica Summitar 50mm f2.0 / KODAK T-MAX 100

小さいレンズなので街中で立っていても少しは威圧感を減らせるかもしれません。

画像7

M5 / Leica Summitar 50mm f2.0 / KODAK T-MAX 100

珍しくf8くらいまで絞って。レンズのスイートスポットはまだまだありそうです。

レンズは値段だけではないですねぇ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?