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デザイン会社での最年少マネージャーとしての一年を振り返る

※写真は、2020年2月に訪れたハワイ。ここで色々吹っ切れたのを思い出す。

ちょうど昨年2019年の6月1日付けで、今所属しているGoodpatchのマネージャーに昇格した。気づけば、あっという間に1年という時が経っていた。マネジメントをしていると、1日といって同じ日はなく、光陰矢の如しとはまさにこのこと、といった日々を過ごしてきた。一度は60まで下がったエンゲージメントスコアも、先月は78にまで向上した。

そんな激しくも挑戦的で、苦しくも楽しかった一年間を振り返ってみようと思う。

本記事は、なぜマネージャーになったのか?という思いの部分と、何を学び、何を成し遂げたのか?という業務の話の二本立てになっている。
※また、これまでの記事と違ってナレッジ記事というよりは、自分との向き合いを主題としているので、ですます体ではない語り口調で書いていこうと思う。その方が自分と対話がしやすいのだ。

Goodpatchにおけるマネージャーとは、なにか?

本題に入る前に、そもそもマネージャーとは何をしているのか?という土台となる部分の前提を整えておこう。
Goodpatchでは、マネージャーは、マネージャーではなくリード(Lead)という肩書になる。僕の正式な肩書は、UX Design Leadで、現在は8人のUX Designerをマネジメントしている。※詳細はこちら↓


ただ、読んでくださる方にとっては、Leadという言葉よりは、マネージャーという言葉の方が馴染みが深いだろうから、今回は「マネージャー」で行こうと思う。

Goodpatchのマネージャーは、大きく分けてプロジェクトクオリティマネジメントとピープルマネジメントの2つの責務がある。

クオリティマネジメント
自分のグループに所属している8人のメンバーはそれぞれ別のプロジェクトにアサインがされているわけだが、それらの各PJTのクオリティを担保するのが役割の一つだ。他のマネージャーと協力しながら、「全案件がうまく進行しているか?」「していない場合は、どうしたらクオリティが上がるか?」を常に気を配っている。幸い、メンバーが優秀なこともあって、メンバーの案件のクオリティはとても高くキープできた。この役割だけで記事が書けそうなくらい奥が深いところではあるが、今日の記事の主語はあくまで自分なので、役割の説明にとどめておく。

ピープルマネジメント

8人のメンバーがモチベーション高く健康に働けているか?意義のある仕事ができているか?を日々すり合わせるのも重要な役割の一つだ。クオリティマネジメントにも関連するが、1on1などを通してメンバーの働く環境を作り、目標を立て、達成まで支援する。これもこの役割だけで記事が書けそうなくらい奥が深いところではあるが、今日の記事の主語はあくまで自分なので、役割の説明にとどめておくw


なぜ、マネージャーになったのか?

新卒3年目でマネージャーになるという選択を自分がするとは、入社前には全く思っていなかった。その意思決定は目の前のことに全力で取り組もう、そして岐路に直面したら難易度の高い方に進もうと決めていたからこそできた意思決定だったが、今振り返ってみると具体的な理由がいくつか浮かび上がってきた。

当時の上司を救いたかった

「目の前のことに全力を注ぐ」ことにも関連するが、自分がマネージャーに挑戦しようと思ったきっかけは、シニアマネージャーでもあった当時の僕の上司だ。彼自分含め15人近くを一人でマネジメントしている状態だった。Goodpatchは一人一人のマネジメントにとても丁寧に時間を割くので、15人の1on1を毎週こなしながら、案件のクオリティも見るのはとても苦しそうに見えた。

僕は常日頃、自分からみて、2レイヤー上の上司の視座、目的から自分の行動を逆算するという行動指針で生きていることもあり、おそらく15人を一人でマネジメントしている状態は、2レイヤー上の上司、当時のGMからすると苦しい状態だったに違いない。そのタイミングにおいて、GMの目的の一つに「マネージャーを登用して、シニアマネージャーの負荷を下げたい」という目的があると推察したが、問題は、当時メンバーの中にマネジメントをやりたいと言うメンバーがいなかったことだ。

マネージャーに初挑戦した段階(※ポテンシャルマネージャー制度というものがある。後述する。)では、新卒2年目のペーペーだったが、当時自分のスキルやキャパシティはさておき、「その上司を救いたい。組織の課題を解決したい」という一心で、マネージャーに挑戦することになったのだ。明らかに不合理で、打算的に考えていた出てこない意思決定だったなと、今では思う。この経験から、自分がやりたいことではなく、組織が最も自分を必要としてくれるポジションで、全力を尽くす。という判断軸が自分の中にできた。挑戦の機会をくれた当時の僕の上司にはとても感謝している。ありがとうございました。(その上司は今Strapという新規事業の責任者をやっています)

ものづくりも大好きだが、ものをつくる環境や人を作ることに挑戦したかった

別の理由で、見出しの通り、ものづくりも大好きだが、ものをつくる環境や人を作ることに挑戦したかったことも理由の一つだ。インタビュー記事でも語ったように、元々PIXAR映画のようなコンテンツを作りたい。PIXARスタジオのようなものづくりをしたい。という思いで、デザイン業界を選んだ。働くにつれて、チームのデザイナーやエンジニアが気持ちよくものづくりに向き合い、良いものを作る環境を作ることにモチベーションを感じることがわかってきた。環境を作ると言っても、広い意味で、サービスのコンセプトを作ることなどの優れた中間成果物を作り、デザイナーやエンジニアの良質なインプット情報とすることなど、自分で最終成果物に手を触れずににものづくりに貢献する道があると知ったのが大きかった。

これは、PIXARのブレイントラストという組織に強く賛同しているのも大きい。ジョン・ラセター等が各ストーリーを早い段階からフィードバックを加え、クオリティにブレイクスルーを起こす様に、経営者としての真髄を見たような感覚があったからだ。

「ものをつくる環境や人を作ることに挑戦したかった」ここに気づいたことで、自分が今後経営の道を進む覚悟が更に強まるきっかけになった。プレイヤーで居続けるか?マネジメントに行くのか?の葛藤ももちろんあったが、最終成果物の質が高まりクライアントの企業価値を高めるという目的に対して最大限貢献するための決断と思えば、覚悟が決まるのは早かった。

これがマネージャーに挑戦したもう一つの理由だ。

ポテンシャルマネージャーという制度のおかげで、自信が持てた。

当時24歳と、若い人間が年上のメンバーたちをマネジメント出来るのかという葛藤はもちろんあった。これは組織の制度に助けてもらったのも大きい。「ポテンシャルマネージャー(通称ポテマネ)」という制度があり、正式にマネージャーとして登用される前に、3ヶ月〜 5−7人程度のマネジメントに挑戦し、メンバー、GM、社長含め、マネージャーとして適切な働きが出来るかどうかを判断するための、いわばお試し期間がある。マネジメントは実体験を通さずして向き不向きの判断しづらい職能なので、非常に理にかなった制度だ。

当時ポテマネ期間にマネジメントさせてもらっていたメンバーが、退職する際に、会社のある制度への改善要望を勇気を持って出してくれたことがあった。その際、こういった言葉をかけてもらった。

かつきがマネージャーとなってまだ日が浅いですが、かつきはGPで最も信頼できるマネージャーです。
彼のポータブルスキルが高いのはもちろんですが、責務を果たそうとする姿勢、周りを巻き込む力、スピードと実行力。そして何よりGPが大好きで良くしたいと思う気持ち。かつきがいなければ今回の行動は諦めていたかもしれません。きっと変えてくれると信じています。

この言葉をもらって、UXデザインの勉強すら日の浅い自分でも、スピードやポータブルスキル、愛をもってすればマネジメントの道でも成長出来るのかもしれない。と背中を押されるきっかけになった。勇気をくれてありがとうございました。

当時のエンゲージメントスコアで69.1を達成したことや、売上目標などを鑑みて、正式マネージャーとしてもらうことがそこで決定した。それが2019年の3月あたりのことだ。

一年間マネージャーとして何をしてきたか?

プレイングマネージャーとして、苦しい期間もあった

よく読んで見ると、正式マネージャーの登用が6月でポテマネ終了が3月。この3ヶ月の間に何があったのか?この間には、また葛藤があった。結論から言うと、突如プレイヤーに逆戻りしたのだ。当時、珍しかったグローバル案件(米国のデザイナーとのコラボ案件)の問い合わせがあり、その案件とマネージャーをどっちを選ぶか?という究極の二択を突きつけられた。グローバル×UXの案件はめったになく、どうしてもグローバルへの夢を捨てきれていない僕は、そのプロジェクトを自分が担当することを決め、マネージャーの道を一度は捨てた。順調に行けばマネージャーになるはずだった3・4月は、プレイヤーとしての日々が続いた。
その案件も4月で終わり、5−9月からはプレイングマネージャー期間が続いた。プロジェクトにコミットしつつも、他方でマネジメントもする日々は、プレイヤーとしての脳みそとマネージャーとしての脳みその行ったり来たりで、時間以上に心身共に疲弊した期間だったように思う。ただ、この期間半分無理しつつも、マネージャーとプレイヤーを行き来した経験もあって、マネジメントしながらメンバーも目線で物事を客観視もできるという所謂両刀の目を手に入れた感覚があった。マネジメントの中でもプレイングマネージャーが一番難易度高いというのも納得だ。今こそ専任のマネージャーではあるが、その後も何度かプレイングマネージャーをやる機会があったが、あまりおすすめしないというのが正直なところだ笑

マネジメントに専念してからは、クオリティマネジメントとピープルマネジメントに専念

プレイングマネージャーも終わり、マネジメントに本腰を入れられるようになってからは、より成果に向けての動きが出来るようになってきた。具体的にタスクでいうと、以下のように多岐に渡るのがマネージャーの仕事だ。
* ★メンバーとの週1の1on1(30分×8)
* ★グループの定例の運営(週1)
* ★OKRの管理
* ★サブプロジェクトの管轄
* ★プロジェクトの統括(Gp側の責任者)
* 案件獲得のための営業同行
* マネージャー全体会議
* プロジェクトレビュー会議(全社の全プロジェクトの共有)
* 採用面接
* 新卒研修
* etc...
特に、★をつけたものに関しては、自分のチームのメンバーのコンディションや、目標管理と成長、自分が統括する案件のクオリティなどコアとなる部分だ。
中でも学びが大きかったのは、やはりメンバーとの毎週の1on1と週次の定例会議の設計だ。マネージャーとはいえど、メンバーからの学びが日々一番大きいのだ。詳細、どんなことを学んできたかをここから詳細に書いていく。ここからが、やっと本題であるw

マネージャーになって学んだこと

マネージャーになってからあまりに毎日が刹那に過ぎていくので、学びを振り返る習慣が疎かになってしまう。1年を振り返るのはなかなか大変だが、Googleカレンダーを2019年6月から今まで振り返り、どんな学びがあったか自分に問いかけてみる。思いついた順に書くので、順番は特に意図はない。

適切な目的と行動指針が、良いチームを作る

これは最近学ばされたことだが、企業のVisionやMissionが文化を規定するように、チームにおいても、目的と行動指針がチームの文化を規定する。1年半ほど前に書いた記事では、以下のように良い目的を定義していた。

Clear 具体的か?
Consistent 最終目的に繋がっているか?
Consensual 全員の解釈が一致しているか?
Challenging 挑戦的か?
Creative 価値があるか?

これを書いたときは、以下に高い目標を掲げ、それを追っていくか?ということばかりに目が行っていたが、そこには、メンバーが自分ごと化出来るかどうか?という寄り添いの姿勢が足りていなかった。かつては、成果成果と高い目標ばかりを立ててメンバーを駆り立てようと焦っていたが、実際にはメンバーが自分の言葉で解釈出来るようコンテキストを共有した目的が必要だった。つまり、この5Cには、「Contextual」のCが足りていなかった。

そんな思いをメンバーから学ばせてもらって、メンバーにも協力してもらって作ったいまのグループの目的と行動指針がこれだ。

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(引用:UXデザイナーの集合知で、クオリティを上げる組織力アップ施策

今だからこそ言えるが、半年前はまだチームの心理的安全性も高くない状態だった。(エンゲージメントスコアも60程度)その文脈においてはまずはチームが信頼しあえる状態、ナレッジの循環性を高めて組織としてのクオリティの底上げをしつつ、信頼し合う安全性を高めるという文脈に沿った目的と行動指針が必要だったのだ。

3ヶ月前ほどに、その文脈に沿った目的と行動指針を立てることに成功したおかげで、今ではエンゲージメントスコア78のAAAまでのチームに成長した。三ヶ月前のKPTで目的不確実性に目を向けて、この目的を立てるところまでファシリテートしてくれたチームのみんなに感謝してもしきれない。

無条件の愛を注げば、必ず帰ってくる

意外とシンプルで、難しいマネジメントの本質は、「愛が人の心を動かす。」ということだと思っている。愛を語ることを恥じない。メンバーを最優先で時間と愛を注ぐ。これが僕の行動指針の一つだ。
仕事や人間関係には当然相性がある。これは人として生まれた以上仕方の無いことだ。だからといって、自分に合うタイプの人とだけうまくやっていけばいいのか?そんな考えを持ってしまってはマネージャー失格だ。元々僕は学生時代から自分に合う人とだけつるむタイプの人間だったので、この部分の価値観をシフトするのは非常に苦労した。きっかけは、カウンセリングを受けた際に、「全員均等に愛を注いでいるか?」と聞かれたことだ。人は気持ちのいいところだけを見るバイアスがあるので、どうしても自分に似た人に目が行くものだ。そのバイアスをメタ認知し、メンバーに愛を均等に注ぐことが出来るか?がマネージャーとして重要なのだと思う。
今では、無条件に自分のチームに配属されたメンバーに対して愛着が湧くような少し気持ちの悪さすらあるところまで行ったが、ここまで来るのも、苦労した。
ただ、その苦労も報われるもので、自分が愛を注げば注ぐほど、メンバーは組織に対してそれを還元してくれるようだ。決してその愛は僕に返す必要はない。母親が自分の子が孫に愛を注ぐのを見れば満足するように、組織にさえ返してくれれば良いのだ。メンバーに組織に対して貢献して欲しいのであれば、まずは自分がメンバーを愛しているのか?問うべきだ。

意思決定のスピードが命

マネジメント上の課題は、十人十色、千差万別だ。それがマネジメントの専門性を高める難しさの所以だ。だからこそ、仕事の基礎のスキルが非常に重要になってくる。例えば、「スピード」だ。マネジメント上の課題は顕在化するのが遅く、また、顕在化した時には消せない火になっていることも、珍しくない。少ない情報の中でも、メンバーが少しでも違和感を感じている部分に対して、高い分解能で、状況を俯瞰し、本質を見極める。そして、高速で意思決定→解決まで持っていく勇気が必要なのだ。問題が問題となってからでは遅く、問題を種の時点で潰す。このクセがついたのも、マネジメントをやるようになってからだ。

どうやら、スピードというのは自分の中でも強みの一つらしく、モチベーションサーベイの強みの項目にも意思決定の速さが上げられていた。

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傾聴力と、質問力で、スキル不足を補う

意思決定のスピードを上げられる要因とも言えるが、マネージャーのスキルとして重要な点は、他に「傾聴力」「質問力」があるように思う。先述の通り、マネジメント上の課題はただでさえ顕在化しづらいのに、マネージャーの質問力が低く、メンバーから何も引き出せていない状態になってしまうと、余計に問題が浮かび上がりづらくなってしまう。普段から相談しやすい信頼関係を構築することと、適切な質問を通して、少ない情報から多くを汲み取る傾聴力が必要だ。このあたりは、幸い会社の制度で、リクルートマネジメントソリューション社のコーチング研修と1on1研修を受けさせてもらって身についた。書籍で言うとこのあたりだろうか。

特に自分は社会人4年目ということもあり、専門知識で言えばメンバーの方が詳しいなどということは往々にしてある。そんな中でも素早い意思決定をするために、問題を客観的に構造化し、本質を見抜くことだけを意識してきた。これもモチベーションサーベイの上位に出てくれていて、これを見た時もこれまでやってきたことが報われて、一人で笑顔になった記憶がある。

マネジメントに、緩急をつける

マネージャーは、メンバーをリードしつつも、メンバーを置いていかない絶妙な塩梅が必要だ。これを僕はマネジメントの緩急と読んでいる。メンバーからかつてもらったフィードバックの一つに、成果成果を求めすぎていて、かえって居心地が悪くなってしまっているのでは?というものがある。これまで、マネージャーとして常に前を目指し続け、組織を率いることが重要と考えていたが、必要なのはそれだけではなかった。それでは緩急のだけなのだ。の部分を強化することで、かえっての部分も成果が出始めたりする。例えば、僕のグループの定例では60分のうち最初の15分は、各メンバーが最近あった良いこと、悩み事、などなんでも話せる「チェックイン」というアジェンダがある。

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パーソナルなストーリーを毎週聞くことで、メンバーの人となりも徐々にわかってくるし、緩の部分が強まって更に心理的安全性が高まったように思う。アジェンダとしては非常にシンプルなアイスブレイクだが、「全員」が「パーソナルなこと」を「超低ハードルで」話すことに意味があると思っている。
「個の集合体が、集団である。二元論ではなく、個を見る」ことが重要だ。

自らが率先して弱みを見せる

マネージャーだから偉いなんてことは一ミリもないし、なにかが特別優れているわけでも無い。ただ僕はマネージャーになった当初から、「優れてなくてはいけない」というバイアスに囚われ、普段の等身大の自分を見失っていたことがあった。あるメンバーから「かつきさんは完璧に見えて、相談しづらいと思うときがある」という言葉をもらって、全てが変わった。求められていたのは、「完璧な自分」ではなく「ありのままの自分」と知ってから、マネジメントに対する向き合い方が変わった気がする。もちろんまだ完璧主義な自分からは抜け出せない部分もあるが、「これこれに悩んでいる」とか、「今正直つらい」と自分からメンバーに言えるようになってから、物事がスムーズに進むようになったと感じる。「リーダーこそ、弱みを見せるべきだ」これが今の持論だ。

二人目に踊る仲間をいかに作るかが重要

これはよく言う理論だが、組織の文化を変えるには、二人目に踊る人を作れるかがキモだ。「根回し」の本質はここにあると僕は思っている。特に組織にゆらぎを起こすような変化を起こすときなどはまさにだ。マネージャーとして意識しているのは、メンバーが変化を起こそうとしたときの二人目の踊り子に、大げさにでもなることだ。小さい施策でも会議に参加したりだとか、起案者を孤立させないように心がけている。

今では、自分のグループのメンバーがグループにとっての二人目、三人目、四人目になり、彼らがグループから越境して、別のチームの誰かにとっての、二人目になっている姿も目にする。それによってナレッジに接続性が生まれ、良い循環が生まれている感覚もある。

文化やナレッジを知っている人を知る→文化やナレッジを知る→文化やナレッジを知っている人になる
この循環が回し始めたのだ。

強みを徹底的に把握する

これはマネージャーになる前から意識していたことだが、一緒に働くひとの「強み」に目を向けるようにしている。基本的に苦手を克服することは目的とせず、強みを拡大することで弱みをカバーするようなマネジメントの方が合理的だと考えている。「マネージャーは、メンバーにとっての一番身近な人事」でもあると思っていて、彼らがどんなコンピテンシーを持っているのか?を把握することで、更にその強みを伸ばすマネジメントができる。強みはなにか?とメンバーに聞くだけでなく、普段のSlackなどの発言から傾向を掴み、この人は何が強いのか?に目を見張りたい。

人が動く時に経済活動が生まれる。人を動かす。

この言葉は僕の尊敬する経営者のやましょーさんの言葉だが、僕はマネジメントにおいてもこれをモットーとして置いている。
人がなにか影響を及ぼすにも、一人では限界がある。「任せる勇気」が必要なのだ。とは言うものの、プレイヤー時代は、自分でなんでもかんでも把握し、解決したくなるタイプのプレイヤーだった。ただ、優秀な仲間と働いていて、自分なんかよりも圧倒的にクオリティの高いアウトプットを出すメンバーを見ていて、これは僕だけのチカラではなく、組織の集合知で何もかも解決した方が、最終的に良い方向に向かうのでは?と思うようになった。どんなに優秀なメンバーでも一人よりはチームのほうが成果が何倍も出る。自分はそんな良いチームを輩出することに専念し、人の動きが正しく活性化するように心がけようと思った。これが、メンバーの評価が自分の評価であるマネージャーの宿命だ。

組織の揺り戻しに決着を付けるのは、VisionやOKRだ

組織は、揺り戻す。これを知ってから視座が上がった。例えば、ナレッジが足りない属人化した組織にナレッジ文化を波及させようと思ったら、どう揺り戻すか?おそらく再現性の高まりから同質化と思考停止という揺り戻しがいずれ来ることが予想出来る。そしてそれを解決しようと、より個人のやり方を尊重した仕組みを構築すると、今度はまた属人化という課題に戻る。

この属人化と再現性というトレードオフにマネージャーはどう立ち向かうべきか?

それを判断するために、Visionや目的がある。組織の命題がジュニアメンバーの育成であったとしたら、この状況下においては、再現性を優先する。つまり、再現性と属人性に価値の階層を付けるのだ。階層を付けるということは、ときに下の階層にいるものを無視することを意味するが、それがマネージャーとしての正しさである場合もある。現状のトレードオフはなにか?そして、目的から照らし合わせたときに何を優先するか?を問い、勇気ある意思決定をする必要がマネージャーにはある。

ここから言えることは、リーダーにとって、組織にとっての旗を立てる、つまり「良い目的」を立てるチカラが非常に重要だ。目指す未来と現状にゴムを欠けたときのゴムの伸び(緊張構造)のバランスが重要だ。常に目の前の課題を解決するだけでは、組織内でもぐらたたきゲームをしているに過ぎず、一見問題が解決されていたとしても、俯瞰して見たときにそれが「前進」なのかは別の話なのだ。なので、リーダーは、「良質な目的」を常に意識するべきだ。

最後に

ここまで書くと、いかに自分がテクニカルスキルではなく、ポータブルスキルでマネジメントをしてきたかがわかる。同期がプロダクトマネジメントの知識を多大につけていたり、Brand Experienceの領域を開拓したり、テクニカルスキルで戦っているのを見ると、焦る自分ももちろんいる。でももしかしたらここに書いたようなことがマネジメントにおけるテクニカルスキルなのかもしれない。

そんなことは置いといて、とにかく自分は今の仕事に満足している。だからこそ、次の緊張構造が必要だ。つまり、新しいストレッチ目標が必要だ。社長との1on1では、次の目標は「売上責任の達成」と置いている。これまでは、UXのクオリティ面が主なKPIだったからだ。デザイン経営者への道はまだまだ遠いが、これからも頑張っていきたい。

エッセイみたいな文章は久々だ。もうひとりの自分と対話しているような気分だ。

参考文献

マネージャーになってからというものの、これまで以上に本を読む量が増えた。今の僕の思考を形成しているマネジメント本達を載せておく。多くの言葉はこれらの受け売りだ笑



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Katsuki Noda
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