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アメリカの保険用語 デダクタブルって何だ

病院からの請求書の破壊力

引っ越し先のカリフォルニアで長らくかかりつけ医(Primary Care Doctor)が見つからなかったのだが、1年間かけて(!?)遂に先日、かかりつけ医の先生の初診を受けることができた。2ヶ月ほどきらしていた念願の常備薬の診断書もだしてもらい、「はぁ、やっと安心できるぜ」と思ったのだが、送られてきた請求書を見て、びっくりした。その金額$355ドル。今の為替レートで大体5万7千円である。

デダクタブルに達していない?

何か特別なことをしたのかというと決してそんなことはない。問診を受けて、しばらくアメリカでしてないから血液検査はしようかぁ、という程度である。正直、かかりつけ医と話したのは、大体15分程度だ。医療費の高さも問題ではあるが、一番の理由は今年初めての受診で、「まだデダクタブル(Deductible)に達していなかった」というところにある。デダクタブルは日本の医療保険ではあまりない考えなので、自分の備忘録も兼ねて説明したい。

デダクタブルとOOPMって何だ?

私の今入っている保険は、実はそれほど手厚い保険ではなく下記のような内容。

  • デダクタブル/Deductible

    • 家族全体の年間デダクタブル:$4,000

    • 個人の年間デダクタブル:$2,000

  • 自己負担上限額/Out-Of-Pocket Maximum

    • 家族全体の自己負担上限額:$8,000

    • 個人の自己負担上限額:$4,000

このデダクタブルというのは、簡単に言えば「あなたがこの金額まで医療費を払ったら、そこから保険支払いが適用されますよ」っていう金額ラインのこと。即ち、デダクタブルに到達するまでは100%自己負担なのだ。なので、私個人でみれば、年間$2000までは自分で払わなければいけなくて、それを越してから初めて、COPAYの20%(自己負担額20%支払いのこと)がスタートする。冒頭で話した通り、私は先日$355自己負担100%で支払いをしたので、残りのデダクタブルは$1,645となる(先は長い)。

私の保険だと家族全体だと$4,000となっている。わが家は家族4名なので、それぞれの医療費が$1,000かかったとする。そうすると個人の$2,000には誰も到達していないが、チームゴール(?)を達成したことになり、そこから自己負担20%で受診できるようになる。

そして、もう1つ大事なのが自己負担上限額だ。これは日本語の適訳があるのでわかりやすい。文字通り「これ以上かかったら払わなくてもいいよ」っていうラインだ。例えば、不幸にもステージ2のガンになってしまったとする。ざっと調べたところ、手術、入院、化学療法など諸々全部含めて、えいやぁの金額で$52,000くらいかかるようだ。日本円でいうと800万円以上である。が、こうなると個人の自己負担は$4,000で、残りの$48,000は保険がおりるので、これはありがたい。

アメリカの健康保険の現実

今の保険は正直日々の医療費を抑える効果は、殆どというか全く無く、自動車保険の対人無制限や火災保険に近い位置づけだと思っている。勿論、もっと支払いを多くすれば、デダクタブルのないCOPAYにもできる。だが、当然その分保険料はあがってしまう。わが家はそれ程医者の世話にならないので、今の健康保険をアップグレードするのにかかる費用を月々の貯蓄にまわし(HSAを活用しているが、HSAはまたの機会に)、かかった医療費はその貯蓄から支払うようにしており、今のところは高い保険を買うよりも低いコストで運用できている。

アメリカと日本の医療保険はどちらがよいのか

どんな医療保険に入って、月々いくら支払うかを、自分であれこれ考えないといけないので、面倒と言えば面倒である。が、その反面、家族の健康状態と人生のステージに応じて健康保険のプランを個人が選択できるというのは以外と悪くない。医者によくかかる人とそれ程かからない人が自分たちのリスクを評価して、保険を購入するというのはあるべき姿ではある。
日本の健康保険は世界最強という話をよく聞く。国民皆保険がないという一点でアメリカより優れているということになっているが、それでも本当にそうなのだろうか。充実した保険内容は、それは国民が多額の社会保険料を払っていることが前提だ。また、保険適用が充実しているため、不必要に医者にかかり、国全体の医療費がかさんでいるというのも現実だ。現在の構造は健康な若い世代への負担が大きいので、一概に良いとは言えないと思っているが、この話は長くなりそうなので、また今度に。

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