ゲーム実況動画を資料として活用する

 ゲーム実況といえば動画サイトの人気コンテンツの1つだ。需要が非常に大きいこともあり、多数のプレイヤーが古今東西のゲームを動画化している。極端にマイナーなゲームでなければ何かしら動画で情報をチェックできる時代になった。
 こういった動画は娯楽としてだけでなく、実はゲームの資料として価値が高いのではないか、と僕は考えている。

 例えば実況文化は、ゲーム開発者にとってもありがたいものだ。ゲームデザインを学ぶには多様なゲームを遊ぶのが一番だが、世界中のゲームを片っ端から購入して時間を注ぎ込むのは難しい。動画を介してざっくりゲーム性をチェックするだけでも勉強になるし、最近の潮流を知るきっかけになる。
 実況者のリアクションも重要だ。プレイヤーがどのようにゲームを遊び、どんな感情を抱いたのかある程度可視化される。自分が作ったゲームを実況してもらえるのは特に参考になるだろう。
 ニコニコ動画などでは、動画上に流れるコメントもゲームへの反応を明瞭にする。開発者にとっては非常に密度の高い情報源と言える。

 実況動画はアーカイブとしても有用だ。古い作品が定期的に掘り起こされて、多様なゲームの価値を再認識させてくれる。
 ゲームはどうしてもハード依存で、当時のゲーム機が手元にないために遊べない作品が多い。環境に関係なく見られる動画形式は情報量も豊かで、保存性が高いのが魅力だ。
 膨大な数のゲームをアーカイブ化するのは本来大変な作業だが、実況界隈ではそれが自発的に行われているとも言える。動画を投稿する側、見る側にそれぞれの楽しみがあり、自然とゲームの情報が集まる構造が出来上がっている。

 もちろん、ゲームのインタラクティブ性までは動画に収められない。何でも動画で済ませて終わりではなく、自分にとって重要だと感じる作品は直に遊ぶことが大事なことを念のため付記しておく。
 ゲーム文化を補完するものとして、ゲーム実況が果たす役割は大きくなっている。上手に活用・協力すればゲームの価値を最大化できるはずだ。様々な動画を提供してくれている実況者の方々にも改めて感謝したい。

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