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大切なアイデンティティは人それぞれ違うんだよというお話

7/14は国際ノンバイナリーデーでした。既に公表してますように、私もノンバイナリーです。

髪の毛を伸ばしたり、メイクやネイルをしていると、トランスジェンダー女性と勘違いする人もいるのですが、私はトランスジェンダーではないですし、むしろトランスジェンダーの人たちが感じる「性別違和」からは最も遠い位置にいます。

というのも、私の場合は、男性の身体が割り当てられたことに特に違和感がありませんし、仮に女性の身体が割り当てられたとしても何ら違和感はありません。

ジェンダーアイデンティティが「無性」なので、どちらの身体でも対応可であり、割り当てられた身体に違和感を覚えるor覚えないという概念自体が存在しないのです。

(※ちなみにノンバイナリーには、私のような「無性型」以外にも、「中性」や「両性」等、様々なタイプがいます。ノンバイナリーな人たちが必ずしも私と同じとは限りませんのでご注意ください)

なお、使用するプラナウン(代名詞)は、「He/They」としています。ただ、どちらでもいいというわけではなくて、どちらを使用したほうが適切かは文脈によって分かれます。

大雑把に分けると、身体の男性的な部位を指す際、性行為に言及する際、社会的な扱われ方(※)に言及する際は「He/his/him」がベター、男女共通の身体部位を指す際や、心や価値観を指す際は「They/Their/Them」がベターです。

(※たとえば、私が「彼はフェミニズムに詳しい」と紹介されるとして、ここで「They」を使うと、「社会的に男性として扱われたきた人間であるにもかかわらずフェミニズムに造詣がある」というニュアンスが無くなってしまうから、「He」と言われたほうが適格だと思うという意味です)

このように、性別に関するアイデンティティが無い私ですが、その一方で、別の箇所に強いアイデンティティがあります。それは「体型」です。「痩せた体型」が、幼い頃からの私の強いアイデンティティでした。

それを維持することに今でもかなり力を注いでいるわけですが、そうしていると、「もう少し太ったほうがいいよ~」と求めてもいないアドバイスを言われることが少なくありません。

ですが、私にとって「太ることはアイデンティティの崩壊を意味する」ほどのことです。そんなことをするくらいなら死んだほうがマシというレベルです。

これはあくまで「アイデンティティ」なので、いわゆる「強いこだわり」とは違います。「強いこだわり」は、「これじゃなきゃ嫌だ」というものですが、「アイデンティティ」は、「これでなければ自分が自分で無くなる」というものです。別にこだわっているわけではなく、「強烈な自己喪失感を伴う」から嫌なのです。

私にとって「痩せた体型をやめたほうがいい」と言われるのは、一般的な人が「男性or女性をやめたほうがいい」「日本人をやめたほうがいい」「その名前はやめたほうがいい」と言われるのと同様に、「アイデンティティを全否定された」と感じます。

同様に、「髪切ったほうがいいよ~」「(髪の色や身に着ける服の色に関して)もっと落ち着いた色にしたほうがいいよ~」というのも、私にはアイデンティティの否定です。

確かに、一般的には、体型や髪の長さがアイデンティティになっている人はあまりいないと思います。でも、アイデンティティというのは本当に人それぞれで、様々な人がいるということを是非知って頂きたいなと思います。

私自身も気を付けなければならないことですが、相手が何にアイデンティティを持っているか分からない段階で、求められてもいないのに、現状を否定するようなアドバイスをするのは慎むべきですね。

とりわけ体型に関するクソバイスは、私のようにアイデンティティになっていない人相手にも、普通にハラスメントになる可能性が十分あるし、そもそも超えてはいけない自他境界を超える行為なので、基本的に話題にしないことが無難です。

最後に、割り当てられた私の身体について、一つだけ強い違和感を覚えている点があります。それは、「体毛が濃い」ことです。なので、脱毛に励んでいるわけですが、脱毛をすることは私にとって見た目の良さや快適性等を目的としたものではなく、「アイデンティティと一致させるための手術」です。

これまで濃い箇所から順番に脱毛を続けてきましたが、そろそろ一気に進めたいので、全身脱毛のコースを契約しに行くことにしました。どうか早く終わりますように。この記事で得た収益も、その手術代に補填させていただく予定です。いつもご覧いただき、ありがとうございます。

現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱っています。社会がちょっとでも良くなることを願って、今後も発信に力を注いで行こうと思うので、是非サポート頂けると嬉しいです。