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【読書メモ】人に起因するトラブル・事故の未然防止とRCA

最近はポストモーテムを書く機運が高まってきたり、リスクマネジメントについていろいろと考える機会があり、オススメされたので読んでみました。

https://www.amazon.co.jp/dp/454250462X

感想

ヒューマンエラーはなくならないということを皆口を揃えて言いますが、それに対する策がなかなかできていなかったり、どんな活動をすれば良いのかわからないといったケースが結構あると思います。

本書は、実例や対策などのレベルでまとめられた内容になっていて結構実用的なイメージを受けました。

例えば、作業方法を工夫するエラープルーフ化の原理として、

・作業や注意を不要にする(排除)
・人が作業しなくて済むようにする(代替可)
・人が作業をしやすいようにする(容易化)
・エラーに気がつくようにする(異常検出)
・エラーが致命的にならないようにする(影響緩和)

など、実例を交えて原理をレベル化して解説しているのがとてもわかりやすいと感じた。

一方で本書は2010年刊行であるため、人の心理的な面における言及は少なかった印象がある。そういった部分は、さきに読んだ失敗学のすすめや欠乏の行動経済学を読むと補間できる。

ざっくりメモ

ハインリッヒの法則(1つの大きな失敗の元には29の中規模の失敗があり、その元にはさらに300の小さな失敗がある)。

意図しないエラーに対する誤解として、注意すれば防げる・訓練すれば防げる・ダブルチェックで防げるという思い込みは危険。

未然防止のためのタスクチームを作るのは良い。通常の業務の中で未然防止のタスクをやるのはなかなか難しい。専門性や経験、知識のある人の存在が重要。

改善の機会を見つけるために、ヒューマンエラーの危険を洗い出す方法としてFMEA(Fialure Mode and Effects Analysis)がある。

DFMEA(Design FMEA):ハードウェアや設備に内在する危険を洗い出す
PFMEA(Process FMEA):プロセスに内在する危険を洗い出す

PFMEAでは最初は作業内容や人・モノの状態に注目すると良い。

また、リスクを見積もるのに発生頻度・致命度・検出度などで数値化してプライオリティをつける。それらを元に考えられた対策に対するプライオリティ(有効性・コスト・実行のしやすさ)をつける。知識や技術の不足を補うのに作業手順書を整備することは正しい。

RCA(Root Cause Analysis):根本原因分析を行う目的は以下の通り。

・トラブル、事故の技術的なメカニズムの解明
・技術的に既知な内容のトラブル、事故を繰り返し起こすことを防ぐ活動の弱さの解明

4ステップによるRCAの手順とともにRCAを評価する観点の整理も行う。

1.トラブル、事故にかかわった人の行動に関する情報を収集・整理する
2.標準の支店から奉仕すべき人の不適切な行動を特定する
3.特定した不適切な行動について、そのタイプを判定する
4.同じタイプの不適切な行動を横断的に調査し、その結果に基づいて根本原因を分析する

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