北方三国志の思い出

100少々さんがこんな企画を立ててくださっていました。

10/26は北方謙三氏の誕生日ということで、三国志クラスタである僕が三国志にハマるきっかけとなる北方三国志の思い出を綴っておこうかと思います。

当時はまった結果、正史三国志を読みふけり、PCでひたすら三国志8や三国志9をプレイしていました。

なお北方三国志を読む前に横山光輝三国志は読破した状態でした。

ちなみに個人的に好きな武将は以下のとおりです。

・賈ク(クは言偏に羽)
・袁紹
・陸遜

正史三国志を読む前では当然のように曹操や呂布が好きでしたが、正史三国志を読んだときに上記の武将がとても好きになりました。

特に袁紹なんかは印象が結構変わるような気がします(後漢書にもたしか伝があったはず)。しかしやはり田豊と沮授を遠ざけたのはいただけない。

陸遜も正史三国志を読むことで株がめちゃくちゃ上がり、その代わり孫権の株が爆下がりしました。

横山三国志や吉川三国志とは大きく違う三国志

北方三国志はwiki によると正史三国志をベースにしていますが、三国志演義の成分も多分に入っているので、華雄を打ち取るのは関羽ですし、張飛の字は翼徳になっています(確か)。

ただ人物像がかなり正史よりに描かれていたと思います(当時はそれを知らず)。特に通じて印象的だったのが

・個性あふれる人間らしさの描写
・死ぬまでのシーンがとにかく泣ける

です。当時横山三国志のみしか知らず、文庫版が丁度発売されたタイミングだったので毎月買ってた記憶があります。1巻を読んだ時点でそのハードボイルドな世界観にハマりました。

登場人物が個性が溢れ出ている

例えば劉備は徳の人というイメージが一般的かと思いますが、北方三国志では「ついカッとなって人を殴る」といった描写があります(殴られた人がクソみたいな役人でしたが...)。

呂布も裏切りの人というイメージが強いですが、曹操と対峙したときに言った言葉である「誇りとは敗れざること」というように、自分の信念を最後まで貫き通す男であり、愛馬である赤兎と親兄弟かのように通じ合っている姿が印象的でした。とにかく呂布がかっこよく描かれています。

また、中でも際立っていた人物が張飛だと思います。黄巾の乱から諸葛亮が死ぬまでの話になり、登場シーンも長い(ちなみに最初から最後まで登場するのが呉の張昭)のこともあり、北方謙三氏自身もきっと張飛に思い入れがあるのではないかと(勝手に)思っています。むしろ北方謙三氏の姿を始めた見た時「張飛ぽいな...」と思いました(失礼)。

一般的に張飛は粗暴なイメージがありますが、北方三国志では劉備が実は荒々しい性格を持っていてそれを覆い隠すために張飛が粗暴さを装うというような関係性になっています。調練は厳しくとも酒が好きで野戦料理を振る舞い、部下に慕われていて、オリジナルの登場人物である王案や董香、陳礼との関係性が張飛の人柄の良さ表しています。正史では深酒で部下に寝首をかかれるという最期でしたが、北方三国志では関羽が死んだ後の晩年のエピソードはどれも涙がなくては読めないものになっています

女性も多く登場し、呂布の妻である瑶や、二喬、張飛の妻の董香など欠かせない存在になっています。

北方三国志の中も異彩を放つ特徴的な人物が馬超だと思います。正史上はあまり活躍場面が多くなく、病死したことになっているところを逆手に取った創作の中で簡雍や張魯との絡みなどが描かれていて、とても北方謙三氏のらしさが出ている人物になっていると思います。

死ぬまで描写がとても印象的

三国志の時代は戦乱の時代なので、戦場で死んでいった人達もとても多いです。特に戦で死ぬ場合は、割とサクッとやられることが多いです。

一方曹操や劉備、趙雲などは戦場ではなく病で亡くなっています。

曹操は死の床に伏せる間際に夏侯惇(北方三国志ではとても紳士的なキャラになっている)と許褚(赤壁以来、唯一殿と虎痴と呼ぶ間柄)、華陀の弟子であり、北方三国志のオリジナルの人物である爰京をそばにおいて語るシーンもまた涙が止まらなかったです。

劉備の晩年も夷陵の戦いの結末を知ってるが故に蜀が敗れていく中で、趙雲に助けられて永安で息を引き取るまでの話しも一気に読んだ記憶があります。

曹操や劉備、趙雲、簡雍など初期の頃からの登場人物が亡くなった後の喪失感はグッとくるものがあります。

諸葛亮も作中で劉備から「非凡だということは孤独だということだ」と言われ、実際に劉備や趙雲が亡き後は孤独と激務の中に生きる姿が印象的でした。街亭の戦いの後の馬謖との会話は、どこか冷たさを感じさせつつも自分の弱さと向き合うシーンが描かれています。

北方三国志は諸葛亮の死で幕を閉じますが、死の直前までの諸葛亮の目線で描かれていて、もう少しで北方三国志が終わってしまう寂しさと相まって込み上げてくるものがありました…

とにかくどのシーンも面白いから読んでほしい

印象的だったシーンなどあげればキリがないのですが、今なら三國無双や三国志大戦などゲームも多数あり、そういったところから三国志を知った人たちも間違いなく面白く読めると思います。自分自身、三国志を読んで感情移入しすぎて泣くと思っていなかったので、北方三国志は三国志が好きな人であれば必読だと思います。

自分も読んだのは20年近く前になりますが、書いていたらまた読みたくなってきたので、これを機にもう一度読み直そうかと思います。

ほぼ三国志の話になってしまった...

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