スーファミ世代から見たJRPG史(第3回:ブレイブリーシリーズ編)
まえがき
スーファミ世代から見たJRPG史、今回はブレイブリーシリーズについて書きたいと思います。
とはいえ、狭義のブレイブリーシリーズは家庭用ゲーム機では3作しか出ていないため、主要スタッフが共通の前後作、つまり光の4戦士とオクトパストラベラーについても書きたいと思います。僕は、オクトパストラベラー以外は発売と同時にプレイしています。オクトラは2020年にクリアしました。
光の4戦士 ファイナルファンタジー外伝 (2009)
現在ではほぼ埋もれかけているこの作品を語るためには、当時周辺で発売されたタイトルに言及する必要があります。
ニンテンドーDSのJRPGを語るには、何はともあれ『世界樹の迷宮』(2007) を避けることはできません。PSPにスペックでは敵わない、タッチペンもRPGでは活用しづらい。世界樹はそんなDSの悩みに対する1つの回答を示しました。詳しくは世界樹シリーズを語るときに書きたいと思います。
この、00年代後半に世界樹をきっかけとしたDSでのレトロRPG温故知新の動きに呼応して生まれたタイトルが主に2つ。一つは『セブンスドラゴン』(2009)、そしてもう一つがこの光の4戦士です。
元々DSでFF3やFF4のリメイクを担当していたチームが制作しているため、UIやシステム周りの出来は良いです。ただ、システム的にあえて不便さや癖を残しているきらいがあるので、そのあたりは好き嫌いが分かれるかもしれません。
FF2やFF4の、何やら行き当たりばったりのストーリーにめくるめくゲストキャラが楽しめる人にはおすすめのタイトルだと思います。僕は、何より吉田明彦さんのキャラクターデザインが大好きなので世間一般より評価は高め。
ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー (2012)
僕はブレイブリーシリーズについては過大評価または過小評価されすぎている傾向があると思っているのですが、まあこれは文句なく名作ですね。10年代を代表するRPGだと思います。
システム的にはほぼFF5で特に目新しさは無いのですが、シナリオ、キャラクターデザイン、グラフィック、音楽が高い完成度でまとまっているのが素晴らしい。完成度でこれに匹敵するものは『クロノトリガー』くらいしか思い付きません。
僕がいまさらどうこう言うまでもなく、散々絶賛されているので新しく言うことは特にありません。スーファミJRPG世代的には、皆が世界樹に飽きてきた頃合いに良いタイミングで出てきたのかなと思います。
ブレイブリーセカンド エンドレイヤー (2015)
いくらなんでも過小評価され過ぎのタイトルじゃないかと思います。あまりにもブレイブリーデフォルトの完成度が高かったので期待され過ぎたこともあるでしょう。シナリオと音楽が担当者交代になったことでバランスを欠いてしまったと思います。具体的にはコメディに寄り過ぎてブレイブリーデフォルトの魅力であった、ピンと張り詰めたシリアスさが失われてしまいました。
ゲーム的には洗練されて遊びやすくなっているので、一概に全てが前作に劣るとは思いません。ただ、このシリーズのプレイヤー層はあまりゲーム的なやり込みは求めていないのだと思います。あまりガッチガチに作るとパーティーの自由度も狭まってしまう恐れもありますからね。
OCTOPATH TRAVELER (2018)
こっちは逆に持ち上げられ過ぎてやいないかと個人的には思います。たしかにグラフィックは文句なく素晴らしい。
ここで紹介されている聖堂の雪景色はため息が出るくらい美しいです。音楽もよくできてるとは思います。ただ、ゲームの進行がどうも単調なんですよね。
僕はこのゲームに、『ロマンシングサガ』や『ライブアライブ』のような多様性を期待したのですが、ひたすら街とその隣にあるダンジョンを往復させる作りになっていて退屈さを感じました。と同時に、上記の2作のゲーム展開のバリエーションの多彩さに改めて気づきました。
Switchのハード展開初期の比較的早い段階で出たことから、『ゼノブレイド2』はアクション寄りでちょっと戦闘システムが複雑すぎる、という層にうまく受け入れられたのかなと思います。
何より僕は、キャラクターデザインが吉田絵でなくなってしまったことが残念。この作品のキャラデザが気に入らないのではなく、むしろ似通った画風なのだから吉田さんを続投で何が悪かったのかと思います。吉田さんがスクエニを退社されたことも影響しているのかもしれません。
(2021.10.24追記)ブレイブリーデフォルト2 (2021)
これまでのストーリーの流れをすべて無かったことにして、ブレイブリーシリーズは再出発しました。商業的な判断としては間違ってないと思います。シリーズも続きそうな流れができましたし。
絶対叩かれないものを作ろう、安心して楽しめるものを作ろうという姿勢は一定の評価をしたいと思います。普通のものを普通に提供するという堅実なものづくりは想像以上に大変なことはわかるので。
ただ、技術的にアンリアルエンジンのSwitchへの最適化が不十分に思います。ちょっとしたフリーズや、グラフィックの質感が平板でブレイブリーデフォルト1にあった暖かな質感が失われてしまっているのが新ハードの難しいところかなと。また、UIもこなれていない感じがして、3DSの2作品と較べると退化している点とも言えるかもしれません。とはいえ、いまさら3DSレベルのものをフルプライスで出すわけにもいかないというジレンマ……。
ちなみに私は未プレイですが、プチフリーズやローディングについてはsteam版の方が改善されているようです。
システム的にも、王道ではあるが、カウンターやジャマーなどこちらの行動に制約を持たせる要素があって、ある程度考えて行動しないといけないので気を使う展開になりがちです。こういうところからも、基本的にはシリーズ経験者向けなのかなという感じはします。
いまプレイするなら?
ブレイブリーデフォルト、かつその完全版の『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』と言いたいところなのですけれど、さすがにいまさら3DSもどうなのかなと思います(このシリーズでハードが古いと文句を言うのもどうもおかしな話ですが)。
かと言って、最初にブレイブリーデフォルト2を買うのも微妙なところです。うん、やはり、個人的にはブレイブリーデフォルト を推したい。3DSは2021年(発売から10年)までは現役ハードということで。
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