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未経験で人事になりたいあなたへ 001/100 中村 亮一さん

未経験で人事になりたい方向けに、人事コンサルタントの多田が100人の人事にインタビューをする企画「未経験で人事になりたいあなたへ」

1人目は、私がYahoo!JAPANで人事をやっている時から仲良くさせていただいている人事の先輩、中村さんにインタビューをさせていただきました。もう10年近くお付き合いをさせていただいておりますが、改めて人事の仕事に対する考え方を聞けて、とても勉強になりました。

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経歴

ー 最初はどのようなキャリアからスタートしたんですか?

2004年に新卒で日立製作所に「人事」として入社しました。就活をやっている時から「人事」をやりたいと思っており、いくつかの会社から内定をもらいましたが、最終的に日立を選んだ理由は「ジョブローテーションが少ないこと」と、人事のお客さんである「社員数が多いこと」でした。

ー そもそも、なぜ「人事」をやりたいと思ったんですか?

就活の最初は、警察官の試験を受けており、合格はしていたものの、面接を振り返ると自分の中で違和感があったため、一般企業に就職をする事を決めたんです。まずは「どんな仕事をしたいかな?」と思って、職種一覧を見ることからはじめました。警察を目指していたからなのか、人の育成や助けるような仕事として、人事になりたいと思うようになったため、「人事」として働ける仕事を探しはじめたのがきっかけです。

ー なるほど!それでは、日立に入社されてからはまずはどのような仕事を始められたんですか?

まずは、営業・SEが800人ほど所属する関西支社の人事に配属されました。最初は、労務・組合対応の仕事からスタートし、2年目はビルの移転PJ、その後は人事・教育の仕事をやりました。関西支社には5年弱ほど在籍し、異動・幹部育成・タレントマネジメント・教育など、幅広く人事の経験をしました。

ー 子会社の人事のような立ち位置ですね。その後はどんな仕事をされていたんですか?

本社に異動になり、理系の採用担当として、当時流行っていた「リケジョ」や「外国人採用」などをやっていました。また、日立製作所全社でも初めてのSNSであった採用PR用のFacebookページを作ったりました。そこから、情報通信事業部の人事企画チームに移動し、採用・ダイバーシティ・障がい者支援・人員管理などを経験しました。

この時期を通じて、面接官が「感覚」で採用を行っている現状に違和感を持ち、どうにかしたいと言う課題感を持つようになりました。そこで、どのような人が採用されているかを可視化・分析、採用人物タイプの明確化、それらを元に採用選考スキームに落とし込みました。

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*日本の人事部より https://jinjibu.jp/hrt/article/detl/techactivities/1550/

この仕事が社内外で評価をいただいたことで、日立の中で「ピープルアナリティクスラボ」という、人の配置や生産性を心理学的をベースに評価するサーベイを社内外に提供する新しい事業を立ち上げる経験もしました。

ー その経験が現在のキャリアに繋がっていくんですね。このタイミングで次の会社に転職をされたんですよね?

はい。デジタル化推進を手伝って欲しいと声を掛けていただいたことがきっかけで、ソフトバンクに転職をしました。
ソフトバンクでは、デジタル推進課という新しい組織を作ってもらい、これからの人事のあり方を考えるプロジェクト、社員の充実度を測るパルスサーベイの全社ローンチ、将来のジョブ型雇用を見据えた職種の見直しなどを推進していきました。

その後、関わったプロジェクトの一つで、関連会社の人事データ統合をするために、現在働いているBtoAと仕事をしたことが縁で、転職をすることになりました。

ー 日立からソフトバンク、そして、ソフトバンクから現在の会社まで、人のご縁で転職をされているんですね。

現在の仕事内容

自社サービスの事業開発・営業・CSをメインに行いながら、フリーランスとして人事コンサルティングの仕事もやっています。

経験してきた人事の仕事

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採用が最も強いですが、基本的には人事業務全般を経験しました。加えて、ピープルアナリティクス/デジタル化など、人事の中では新しい経験をしてきました。

人事の仕事のポジティブな面

・ポジティブな仕事が多い
人事の仕事は、ポジティブな仕事が多いですね。特に「採用」は、過去の海外のアンケート、最も幸福感を得られる職種ランキングでも選ばれていますが、ポジティブで幸せな仕事だと思います。

・経営に近い
人事の担当者レベルでも、案件があれば経営層と仕事をする機会があります。若いうちから、会社/経営層の考え方に触れることができるのは、人事の仕事をする上での大きなメリットだと思います。

・人の成長を実感できるタイミングがある
人事という仕事柄、常に客観的に人を見る機会が多く、「あの人、急にすごく成長したな」など、人の成長に触れる機会が多いことも、仕事をしていてすごくワクワクする瞬間です。

人事の仕事のネガティブな面

・間違えることができない
例えば、給与は金額や支払い時期を間違えたら大変なことになりますし、異動についても人の人生に関わってくることなので下手なことはできません。人事の仕事の一つ一つは絶対に間違えてはいけない性質のものが多く、事前によく考え抜いた上で行動することが求められます。

・やって「あたりまえ」の仕事が多い
給与は払って「あたりまえ」、研修を受けるのも「あたりまえ」・・・社員から見たら、やって「あたりまえ」の仕事がほとんどで、人から褒められることがほとんどないことも、人事の仕事の特徴の一つだと思います。

・社員の不幸を目にすることがある
立場によっては、不幸を目にするだけではなく、対応をしなければいけない場合もあります。例えば、職場環境・人間環境が合わずにメンタルを崩してしまう、そして、最悪の場合、自殺をされる方が出てくる可能性もあります。それらを対応するのも人事の仕事で、ご家族への説明、裁判の対応も発生することがあります。「採用の仕事が楽しそう」だけで人事の仕事を始めてしまうと、大きなギャップが生まれることもあると思っています。

人事プロフェッショナルに必要な要素

・モチベーションを上下させず、外に出さない
人事担当は、社員から相談を受ける機会が多くあります。その時に「忙しそうだから」「大変そうだから」と思われてしまうと、相談がしづらくなってしまうため、常に一定のモチベーションを保つ事を意識していました。例えば、声をかけてもらった時に仕事の手を止めて、椅子に座ったままではなく立って話を聞くなど。細かいことではありますが、社員の生の声を理解する必要のある人事の仕事には、このような配慮が必要だと思っています。

・どちらかに寄らず、バランスを取る
例えば、セクハラ・パワハラなどのハラスメント問題。何も意識せずに聞いてしまえば、加害者の人に対して「何やってるんだ・・・」と感情的に思うだけになりがちですが、加害者・被害者にはそれぞれの意見があり、最終的には公平・公正に判断して対処しなければいけません。「あの人が言っているから・・・」「役員の繋がりのある人だから・・・」「同期の友達だから・・・」など、社内の関係性や私情などを挟むことは、人事のプロフェッショナルとしては避けなければいけません。そして、バランスの良い判断をするために、多くの事例や労務のルールを学び続けなければいけないと思っています。

・事業を動かしている方々のサポーターである、というスタンス
「人事権を持っている」「評価の事を分かっている」など、人事の仕事を続けていると上から目線の意識になってしまうことは、往々にして起こり得ます。しかし、自分の給与は、事業を動かしてくれている方々がいるから貰えている、という考えを持って働くべきです。その上で、自分の仕事はいくら分の価値を生み出しているか、ということを客観的に捉えなければいけません。

人事キャリアを目指す方にアドバイス

いろんな本や記事で、人事の潮流が見れます。働き方改革、ダイバーシティ、ダイレクトリクルーティング・・・など、調べるとたくさん出てくると思いますので、最低限キャッチアップはしておいた方が良いです。

人事は、具体的なスキルがないとできない、という仕事ではないため、自分の中で「なぜ人事をやりたいのか?」を突き詰めて考え、自分のどういう部分が人事に向いているかを、人に話せるレベルまで自己理解しておくことが重要です。そのためには、人事として働いている人に話を聞いてもらい、違和感を持たれないか?を確認しておく事をお勧めします。

どのような仕事をイメージして人事になりたいのか?、それが現実に近いのか?、または妄想の世界なのか?
多くの人は「採用」をイメージして人事の仕事を志す場合が多いですが、先ほどお伝えしたような他の仕事がある事を理解した上で、それでも人事の仕事をやりたいのか?

人事の転職に限らず、未経験の仕事にキャリアチェンジする際には、「なぜやりたいのか?」「何をやりたいのか?」、そして「現実とのギャップはないか?」を、採用する側は確認します。

ー 最後になりますが、どのような人に人事になって欲しいですか?

人事の仕事を始めると、情報が多様なところから入ってくるので、一方的な見方しかできないこともありますが、ちゃんと多方面から見直して判断ができる人が、人事の仕事に合っていると思います。また、「自分」軸だけではなく、社員や会社の幸せを考える人に人事になって欲しいと思います。

最後に

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