見出し画像

未経験で人事になりたいあなたへ 013/100 手塚 ちひろさん

未経験で人事になりたい方向けに、人事コンサルタントの多田が100人の人事にインタビューをする企画「未経験で人事になりたいあなたへ」

手塚さんは、このインタビューのために、人事をやっている友人から紹介してもらい、初めてお話をさせていただきました。

インタビュー後にご本人もお伝えしたんですが、日本語が綺麗で、言葉に力のある方だと思いました。個人的には、「人事プロフェッショナルに必要な要素」がぶっ刺さりました。

スクリーンショット 2021-01-26 16.54.14

経歴

ー ご経歴としては最初どういったところから始められたのですか?

2014年に新卒として株式会社フリークアウト・ホールディングスにビジネスサイドの法人営業担当として入社しました。1年程度働いたタイミングで、私の妊娠と当時の人事マネージャーの異動が重なって、2015年の年明けごろに新卒採用担当として人事キャリアをスタートさせました。

ー 人事への異動は希望していたんですか?

はい。ビジネスサイドにいた時から、人事をやりたいとは言っていました。その会社で新卒採用のメンターや新卒採用に関わってくれる人たちは、ビジネスサイドで結果を残している人だという認識がありました。だからこそ私もビジネスサイドで結果を出した次は、採用や育成に携われるといいなとなんとなく思っていました。そもそも人間そのものにも興味があって心理学を専攻していた経験も活かせるのではないかと思っていました。

ー その後どんな人事の仕事を経験したんですか?

人事に異動してから産休に入るまではずっと新卒採用に携わらせていただいていました。仕事内容としては、説明会や面談といったオペレーションから企画・運営までやっていました。産休から復職した直後も新卒採用に戻りました。ただ、段々と土日の説明会や夜間の面談対応などが育児とのバランスを取るためには難しくなってしまい、会社に相談をして新卒採用の中でもスカウト業務や社内制度の企画立案、労務などを任せていただきました。相当に会社にはよく計らって貰ったと思っています…。
その後、社内制度としては、例えば当時その会社では過重労働が課題だったのでプレミアムフライデーの様な過重労働を減らすための制度を作って全社に運用したりしました。労務としては、各種諸手続きや衛生管理などの初歩の初歩を担当していました。
人事として2~3年働いた頃に、2度目の出産育休がありました。この復職のタイミングで、キャリアを再スタートだと頑張っていたのですが、新しい業務になかなか慣れず、焦りばかりがあってミスも増えてしまう日々でした。また、二人の育児の難易度が、私の中では一人の時よりも格段に上がってしまっていて、公私ともに負担が増えたことなどがきっかけで、退職を決意しました。

ー そこから現職に入社されたのどういう経緯なんですか?

私自身が専業主婦でいるイメージも湧かなかったので、転職活動は進めていました。その時の私の中では、働き続けたいのに働き続けることができない環境が辛いものでした。もっと、人事の方を始めとしたバックオフィスの人たちが、会社に向き合う時間が増えて従業員のライフスタイルを考えるゆとりのようなものができれば、そういった課題は改善されるのではないかと考えました。そこで、バックオフィスの方の業務効率化や新しい価値提供をするような、俗にいうHRtechに関連する企業を見ていました。そんな中、ライフスタイルを理由として働きたいけど働くことができない人を少なくする…『望まない離職を防ぐ』というビジョンを掲げていた株式会社OKANに出会いました。自分のやりたいことと一致していたので入社を決めました。

ー 現職ではどんな仕事を経験されたんですか?

まだ労務の「ろ」の字程度の経験しかなかった私でしたが、入社当初から本格的に人事労務に携わらせてもらっていました。外部の社労士の方と協業して、給与計算や社会保険の手続きなどから始まり、どんどん他の領域も任せて貰えました。未経験だった中途採用、評価・報酬、各種制度設計・運用と様々経験してきました。

現在の仕事内容

マネジメントを任せて頂き、ジェネラリストの様な立ち位置で、人事労務領域全体を見させていただいています。
具体的な仕事内容としては、プレイヤーとしては人事戦略に紐づく中途採用、評価報酬制度の改訂、組織開発も推進しながら、マネージャーとして人事労務グループのピープルマネジメント、彼らが推進してくれている行動指針のリニューアルなどの業務品質に関わるマネジメントなどになります。

経験してきた人事の仕事

100人インタビュー 手塚さん.001

人事を経験したのは直近の数年間にはなりますが、その期間でジェネラリストとして幅広く人事の仕事を経験してきました。

人事の仕事のポジティブな面

・人の可能性を実感することが多い
人事は、人の可能性を信じることができる立場だと思っています。メンバーと定期面談をしていても、入社して間もない時は不安を感じていたのが、数ヶ月後には見違えるほど自信を持って仕事に取り組んでいるという場面に出会うことがあります。毎日関わる立場だとそういった日々の微妙な変化は気づきにくいものですが、人事という客観的に人をみることができる立場だからこそ、気づくことができることもあります。そういった点からも人の可能性や成長を感じることができるポジションだと思っています。

・多様な視点を持つことができる
人事は経営者の方と話をすることが多いポジションです。経営者の方が何を考えて事業を進めているのか認識する必要があり、その悩みや辛さを聞いたり解決できることが必要とされます。そう言った意味で、ビジネスサイドのメンバーとは少し別の関わり方ができます。1従業員ではありながら、経営者の方と同じものを見ながら働くことができるのは価値のあることだと思います。
そもそも、経営者と従業員は全く違う世界を見ているものだと思っていますし、それで良いと私は思います。ただ、そのままだと一つのチームなのにすれ違ってしまうこともあるので、そのギャップやお互い見ているものを翻訳するのがマネージャーや人事の立ち位置だと思っています。お互いの見えているものを擦り合わせることが事業が前に進めることに繋がり、それがやりがいになっています。

人事の仕事のネガティブな面

・ハードなことに向き合う機会が多い
退職や死傷病など、従業員の方の人生における暗い部分に触れる機会があります。そういった機会が続いた場合や、多くなってしまった際には、上手に『事実』と『気持ち』を切り分けることができないと気落ちしてしまうことがあります。これはポジティブな面と表裏一体ですが、その人の成長など明るい部分に触れることができる分、暗い部分に触れることについても認識しておいた方がよいのかなと思います。

・経営者でも従業員でもない立場
経営者でもなく、完全に従業員に寄り添えるわけでもなく、バランス感覚が必要とされるポジションです。例えば、極端な話だと「あいつは経営者の言うことしか聞かないぞ」とか「従業員のことばっかり聞いてるな」という見方をされてしまう可能性があります。見方によっては中途半端な立場であるがゆえに、それを自分の中でどのように定義づけるかが大切になってきます。
従業員の労働環境を改善したいというのは大切な考えである一方で、経営的にそれを実現するだけの企業体力があるのかのバランスも同じくらい重要になってきます。従業員の方にそれをドライに伝えても不満が溜まりますし、経営的にも全部を改善するのは厳しいという状況下では、伝え方や見せ方を工夫するコミュニケーション力が求められます。

人事プロフェッショナルに必要な要素

・バイネームで考える力とカテゴリーで考える力
私は制度づくりはバイネームから始めることを意識しています。「〇〇さんはこういうことで困っている」という様に、今起こっていることを従業員のバイネームレベルでわかるくらい解像度を高めていくことが必要だと思っています。しかし、そこまで細分化したまま制度を運用することは難しいし、個別対応を都度都度行うのもおかしい話です。なので、バイネームで考えたものを抽象化してカテゴリーに落とす力も重要になると思います。カテゴリーに分けて構造化することで、優先順位や目標数値の設定がしやすくなります。

・逃げないこと
退職や労使間の調整に関する話など、正直テンションが上がり切らない時間はいっぱいありますが、そこにしっかりと向き合わないと結局人事として信用してもらえません。結論根性論になりますが、その人1人1人の人生に向き合う気概を持って働く、向き合い切るということが結局一番重要なのかもしれません。

人事キャリアを目指す方にアドバイス

くれぐれも、勘違いはしないで欲しいなと伝えたいです。
私自身が人事になったばかりの時には、採用面談で合否をつける際に、人たちを判定する側になったという意識を少なからず抱いてしまっていました。経営者の方と一緒に仕事をすることもあるし、自分たちしか知らない情報(「ある情報を他の人に絶対に言わない」ということを守れるのも人事として凄く大事なことです)も手に入るのが、人事というポジションです。それでも、自分が何か特別な存在になったかの様な意識を持ってしまうのは間違いです。
そういった姿勢は面接であれば候補者の方々に必ず伝わります。その人がどういうスタンスなのかは、社内のコミュニケーションや周知文の一言一句に現れてきます。
改めて、人事は別に偉くもないし、人を判断・判定している上の立場ではないということを日々認識することが大切です。これは昔の自分にも伝えたいのですが、自分のことをメンタリングして、定期的に自制を促してくれる様な人を見つけて、その人と一緒に仕事したり、時折お話できるとといいと思います。

あとはやはり、絶対に逃げない覚悟も持ってもらいたいです。
キラキラしたイメージだけで来てしまうと辛いと思います。まずは、人事の実情を知った上で、それでもやりたいと思えることをイメージしてからの方が、後悔やギャップは小さいのではないでしょうか。
個人的な意見ですが、従業員の希望だけを通したいのであれば、従業員側として活躍して権限を獲得して仕事を変えていくことを目指す方が近道だと思います。人事という立場は、経営と従業員とのバランスを取ることを求められるポジションなので、その分難しくなります。
例えば、福利厚生を充実させたいという想いで人事を目指したとします。実際に福利厚生を充実させることができる様な体力を持った会社の人事ポジションはそんなに多くありませんし、その福利厚生を導入する必要性を経営の目線から説得する必要があります。

最後に、本当に「ある会社の事業も組織も良くしたい」と考えている人にその会社の人事をやって欲しいなと思っています。私も今の会社のミッションビジョンが重要だと思っていますし、プロダクトも素晴らしいと思っていて、胸を張ってこの会社をもっと良いものにしてきたいと思えています。それと同じくらい、今の会社で働いてくれている人達の人生も裕であってほしいし、そうなるように組織に向き合いたいと考えています。自分のキャリアや憧れは当然に大事ですが、それくらいの気概を持っていないとどこかで心が折れてしまうと思います。その会社のためにどれだけの時間を投資できるか、というところに覚悟や納得感を持てている方には、みんなが人事の仕事を任せたいと思うのではないでしょうか。

最後に

未経験で人事を目指している方々向けのLINEアカウントを運営しています。こちらの記事更新を含めての情報提供や、トーク機能を利用しての個別相談を実施しています。
具体的な転職活動の相談はもちろん、カジュアルなキャリア相談なども大歓迎です!

ご興味ある方は、以下よりご参加ください。

画像3

また、Twitterをやってますので、もし何か質問や相談等があればお気軽にDMください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?