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未経験で人事になりたいあなたへ 006/100 赤澤 嘉信さん

未経験で人事になりたい方向けに、人事コンサルタントの多田が100人の人事にインタビューをする企画「未経験で人事になりたいあなたへ」

赤澤さんは知人の紹介でお会いさせていただいたのですが、とても不思議な縁で、私の元上司が、赤澤さんの元部下だったり・・・笑

人事の仕事だけではなく、会社経営も経験されており、多角的な視点で「人事」の仕事の話を伺わせていただきました!

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経歴

ー キャリアのスタートからお伺いしてもいいですか?

新卒で藤田観光に入社しました。最初の1年間はホテルマンとして配膳とかの仕事をしていました。その後本社人事に異動し、給与計算や新人事制度の導入に携わりました。並行してグロービスビジネススクールにも通っていました。人事制度を自分でも作ってみたいと2社目は人材会社パソナのグループ会社パソナテックへ転職しました。

ー なぜ最初にホテル業界を選択されたんですか?

当時は現在ほど、移動希望がかなう時代ではなく、人事は幹部候補が配属される部署という傾向が強かったですね。一方学生の頃から人事をやりたいと思っていました。なので、やりたいという気持ちしか無い自分でも(笑)高い確率で本社人事に行けそうな会社、且つ好きなサービス業という視点から、ホテル業界を選択しました。

ー パソナテックではどんな仕事をしていたんですか?

当時のパソナテックは、会社として独立したばかりで営業部門はあっても管理部門が全くない状態で、独自の人事制度を構築しようという段階でした。上司もいなかったので、27歳にして人事責任者になり、人事周りはなんでもやってきました。

ー パソナテックの次はどうされたんですか?

SoftbankグループでMOVIDA HOLDINGSの人事責任者になり、ベンチャー企業の人事機能の立ち上げと採用をしておりました。その後知人からお声掛け頂き、ちょうど社長交代をするABC Cooking Studioの組織戦略本部長として人事総責任者を務めました。その後ABC Cooking Studioグループ会社の代表を務めることになり、人事部長と子会社の社長を兼任した時期もありましたし、最終的には子会社の代表を専任しました。ABC Cooking Studioグループには2年程度在籍した後に、現在在籍している株式会社スプリックスに移りました。当時社長と話をしてビジネスモデルを聞いた際に、「ここは日本一になる」と確信できたのが、入社を決めた理由です。
スプリックスでは、人事の責任者というのもあって、採用・人事制度・労務など幅広く経験してきました。

現在の仕事内容

取締役常任監査等委員として、会社事業・経営全体をみております。

経験してきた人事の仕事

100人インタビュー 赤澤さん.002

人事の仕事は一通り経験してきました。事業整理や人員整理の経験もありますが主に採用と労務の経験が長いです。
私のキャリアの特徴としては、サービス業に集中していたということがあります。僕は頭のキレを活かして緻密な人事制度を作るというより、笑顔と人あたりの良さを生かして、労務の交渉事やトラブルシュートに取り組んできました。会社・事業がお客様と思い、現場と一緒になって仕事に臨んでいたことから「汗かく人事」というキャチコピーをつけてもらったくらいです。厳かな本社人事というタイプでは、まったくなかったですね(笑)

人事の仕事のポジティブな面

・新しい人との出会いがある
経営資源として、ヒト・カネ・モノ・情報が挙げられますが、特に人が価値を届ける仕事やIT業界では、新しい人が入ることで会社が非常に良くなる可能性があります。その可能性にはワクワクしますね!サービス業だからということもありますが、いい人を採用することと事業の成長性の相関関係は非常に強いので、間接的に事業拡大に貢献することができます。

・社員からも経営層からも信頼される
社員からすると、権限を持っているポジションで、会社そのものと考えられている部分があると思います。一方、経営者に対しては、労働基準法など法律関係の注意や知識を提供するという役割がありますし、労働組合がなければ社員の声を代替して伝えることも大切です。だからこそ、人事パーソンは個人として、嘘をつかない、約束を守るということが重要だと思っています。

人事の仕事のネガティブな面

・正解がなく勇気の判断が必要になるときも
会社によって、働くスタイルや判断が大きく変わります。経理の仕事には会計原則があるので、万国共通な厳密なルールが存在します。人事の仕事には各国で法体系も異なりますし絶対的なルールはありません。労働基準法など労働法は存在しますが、スタートアップのベンチャー企業ではオーナーシップを持って働く社員も多いですし、一方前の会社では高く評価されていても、新しい会社では社風に合わない等で評価されない方がいるのも事実です。
人事に力のある会社では、社風合わない人材への適切な対応ができますが、そうでない会社で人事が腰を引いてしまっていると、現職で力を発揮できない人材が在籍し続けることになります。「それが中長期的にご本人や会社のためになるのか?」と考えコストやリスクはかかりますが”しっかりと対応する”という選択肢を、会社が選択するかどうかは別にして、提示できる事は必要だと思います。

・社員に心を許せないこともある
社員はある意味お客様でもあります。本当に社員に心を許せるかというとそうではないことも正直あります。例えば本社人事では全社員の給与・評価がわかります。そこで、同期の中で自分がどう評価されているのかわかります。それを知った上で仕事をしなくてはいけない。これは体験談ですが、人事の先輩から「社長とか部長の給料がいくらか聞かれたら、それを報告しなければならない義務がある」と言われとこともあります。飲みの場で同期に「社長はいくらもらってんのよー?」とか聞かれると「知らないよー」と答えながらも酔いが覚めるなんてこともあります。酔うことはできませんが、私は現場に寄り添う人事だったので、好きで一緒に飲みにいっていましたけど(笑)
ちなみに人事はこういった共通の悩みを持つことが多いので、他社の人事と飲みに行くとかなり盛り上がりますよ。

人事プロフェッショナルに必要な要素

・ひとりの人間として信頼してもらえるか
何をするにしても、私心を持っている人間が人事権を持ち評価制度を作っているとしたら、「その人が良く評価されるような制度を作っている」と思われてしまいますよね。
昇格や本人が喜ぶ異動はライン長が伝えることが多いので、人事の出番は不本意な異動や降格を告げる時。
その時でも「お前に言われてまだ良かったのかもな」と思ってもらえるようになるためには、やはり人として信頼される必要があります。

・事業部門のHRのサポート
人事は前例主義が非常に強く、判例でも就業規則の内容より運用事例の方が重視され、前例を無視することは難しいです。そういった意味で、放っておくと保守的になってしまう部署です。だからこそ、事業部門のHRのサポートであるというつもりで、市場や顧客ニーズの変化に事業そのものがついていけるように変革を促し、新しいことにチャレンジしていく要素があってもいいかなと思います。人事オペレーションの分野は、前例主義的な要素を持ち合わせている必要はありますが、人事のトップやマネージャークラスとなると「どうやったらできるか」を考えていくことが求められます。

・社内、社外との付き合い方のバランス
社外・社内どちらも大切です。
社外の皆さまが自社に対してどう思っているかを認識しておくことは重要です。自社内の常識はあくまでも社内の常識。あくまでも自社で成り立っているのは、同じ方針を持った人が集まっているから。だということを理解している必要があります。これを理解していないと、一般社会と大きな齟齬をきたしてしまうことがあります。例えば、働き方改革の観点では、世の中の人がどのような働き方を求めているのかというのは、把握しておかなければなりません。
その一方、社風、自社の文化として大事にしていることは明確に社内外に発信していくことも大切です。

人事キャリアを目指す方にアドバイス

人事キャリアを目指すなら、考え込まずに先ずはやってみるといいと思います(笑)やってみないと経験は身につきません。やってみたいのであれば、給料を下げてでも、未経験OKのところで飛び込んでやってみるのもいいと思います。

20代だと人事には採用からが入りやすいですが、個人的には、給与計算から入って良かったなと思っています。評価や給与をみたときに、「なんでこの人は評価が高いのだろうか」とか考えるきっかけになりますし、労務の感度も鍛えられました。
そこから採用や評価へとキャリアが広がっていったのは良かったです。少なくとも採用だけできます。という人事パーソンとの差別化にはなりますし。

更に言うならば人事を目指す上で、人間への興味を持つといいと思います。
例えば、人事を目指しこの記事を読むような方の大半は大卒だと思うのですが、2020年でも大学進学率は約56%、2000年では39%、1990年では24%です。ざっくり全労働人口の過半数は大卒以外と言えます。
人事は従業員・労働者をあまねく扱うので、多種多様な人間を対象とします。なので、人間そのものに対する興味を持って、善き人も悪い人もいて、それはシュチュエーションによっても異なるということを知っておいたほうが良いと思います。

そして、人間の「情理」の部分についての理解を深めておくと、直ぐに面接などでは発揮できるかわかりませんが、長期的には役に立ちます。

人が好きな人に人事になって欲しいなと思います。
相手の良いところ悪いところも含めて愛せる。ということを個人的には「愛情」の定義だと思っています。人という、この可愛らしくも愚かな存在に対する愛情を感じる方は人事に向いているかもしれないなと思います。
人はどうしても自分の立場を考えて保守的になってしまいます。そこを気楽に考えて、チャレンジできる人事パーソンはまだまだ足りないです。組織や制度を「変えてみよう」「新しくしてみよう」と気楽に考えられる人事パーソンが増えればいいなと思っています。

最後に

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