人生が0になった瞬間から
-prologue
忘れられないガムの味。
大好きだったあのお店も、
大好きだったあの人も、
大好きだったあの日常も。
いつの間にか、
いや、あっという間になくなって。
それでもまだ、もう少しだけと過去を思い出すように
味の無くなったガムを噛み続けている。
……………….
父が作った場所。
・
だらしない父親
僕の家族はすごく貧乏だった。
その理由は明確でただ一つ
「だらしのない父親」
こいつのせいだ。
仕事をやめたかと思えば
いきなり居酒屋を開店したり..
全てはここから始まった。
田舎にある小さな居酒屋は
僕達の家計を苦しめる最大要因となる。
しかも1人ではできないからって
昼から働いてる母を手伝わせて
店を切り盛りしていた。
もちろん母が働いてる昼間、父は家で寝ている。
僕が学校から帰ってきても、父は家で寝ている。
そんな父親だった。
夜はそのせいで家で両親と過ごす時間はなかった。
まだ小学校低学年だった僕は
それがすごく寂しくて、我慢できなくて
最終的には一緒に店に行って
お店が終わるまで遊んで待ってた。
僕からパパ、ママを奪う大嫌いなお店が
僕にとって唯一パパとママと過ごせる場所だったのだ。
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