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非エンジニア社会人が「42Tokyo」の入学試験を受けた話

”とある養成機関”の入学試験を受験しました。
するとその問題用紙には、こんな断りが書かれていました。

・ ...
・質問がある場合は、隣の人に聞くこと。
 それでも分からない場合は、反対側の席の人に聞くこと。
 • 助けてくれるのは、
 Google / 人間 / インターネット / ...と呼ばれているものたちである。

・ ...

入学試験に「Piscine(ピシン)」を課しているパリ発のエンジニア養成機関 42Tokyo のこそが、その"とある養成機関"です。

Piscineとは、1ヶ月の間与えられる課題にひたすらに取り組み続け、断りにあるようヒントを得られるのは「Google・人間・インターネット」からのみ。
受験資格はとして設けられているのは16歳以上であることのみで、その他の学歴・職歴は一切問われず、受験費用もゼロでリモート受験ももちろんOK。

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今回のnoteでは、そんな42Tokyoを受験して痛感した「反省点」と「成長できたこと」の2つをログとしてまとめています。
同時に、今後Piscineを受験する方に1mmでも手助けになる情報をお届けできればと思います。
(※ 「どんな問題が出るのか」という点は42Tokyoにより言及が禁じられているため、内省的・精神的な内容となっていますのでご注意を!)

● ボクの基本スペック

簡単にですが、受験した僕の基本スペックを記しておきます。

【基本スペック】
・23歳のフリーライター
・大学は文学部で、根っからの文系
・Piscineでコミットできたのは1日10時間前後

【エンジニア スキル】
・ProgateでHTML, CSS, JavaScriptは一通りやっていた
・ C言語を受験1ヶ月前から勉強開始
・実務経験はなく、完全に独学で座学的な勉強方法

個々の事前習得スキル・確保しているコミット時間などにも左右されますが、コテコテ文系でエンジニアリング実践経験ゼロの僕の場合、1ヶ月間ほぼフルコミットで1日当たり10時間前後費やしました。

● 1次試験「webテスト」

ちなみに、Piscine受験前に受ける1次試験「webテスト」で記憶力と論理思考をチェックします。
この時点で一緒に受けた周りの友人とはかなり差があり、いわゆる理系的思考能力はやや低めと言わざるを得ませんでした。
ですが個人的に、論理思考云々が重要になってくるのはエンジニアリングのトップオブトップを目指す方々にとってなのであり、「合格を目指す自分にとっては合否基準さえ超えていれば問題ない」と考えています。

事前に問題の傾向を知っていおくことも重要ですので、
webテストが気になる方は、↑こちらの動画で取り上げられている ブロックリー で事前に遊んでおくといいかもしれません。

● 本試験「Piscine」

6月に発表された通算合格率を見てみると、応募者のうちwebテスト通過者は約20%です。

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おめでとうございます、ここでもう周りには最初の1/5しか残っていないわけですね。

さて、ここから本題のPiscineがやってきます。
既述の通り問題について言及することは一切禁じられていますので、ここからは「Piscineに望む姿勢」について、自身の反省と良かった点を交えてお話ししていきます。

Piscineについて根も葉もない合否判断のウワサがあったりもしますが、42Tokyo自体から公開されていない以上信頼するのは危険すぎます。
運営として42Tokyoが言及している合否のポイントは、『42Tokyoのスタイルに合っているかどうか』だけだと思います。

そしてその ”スタイル" というのが、42Tokyoの学習スタイル「ピアラーニング(Pair Learning)」です。42Tokyoには、授業や決まった学習コース、講師さえも存在しません。Piscineを経て入学し卒業するまでずっと、学生同士で教え合うことだけが成長のポイントとなるのです。(42Tokyoは自身を"サービス"ではなく、"機会提供の場"と定義しています)
想像に易いように、そうしたピアラーニングに必要なのが「コミュニケーション能力と情報伝達能力(= 伝える力)」です。

● 42Tokyoのスタイルに合っているかどうか

一人で黙々と考えることが得意な自分は、言ってしまえばこのスタイルとは正反対。(42Tokyoの ↓このPV みたいに、「仲間と一緒に ♪」ができなかった...)

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ピアラーニングに慣れるのにかなり時間を要してしまいました。

単純な話ではあるんです。

分からないことを言語化し解像度を高め、隣の人に聞く・チャットでみんなに聞く。

... ただこれ、できない人にとってはかなりのハードル。

よく学生の時に、先生が『じゃあ隣の席の人とこのことについて話してみましょう!』という時間を地獄のように感じていたボクとしては、かなりの苦痛。。。

でも考えてみれば、未知の問題にぶち当たった時、一番手っ取り早く解決するのは"仲間と考えること"です。(...というか非エンジニアであればPiscineで目にする問題はほとんど全てが未知の問題なはずww)
頭ではその方が良いとわかっているけど、『いや調べれば分かるはず、むしろこれくらい調べてやれなきゃダメなんじゃないか...』とかと思ってしまうんです。

容量の良さだけはあったボクは、なんやかんや時間をかけて調べれば、大体の問題を自力で解くことが出来ていました、序盤だけは。
なぜなら、後半になっていくにつれて問題も複雑になり、問題文を追うだけでは解答にたどり着けなくなってくるからです。

そこにたどりついた頃には、『いや、今までも自力でやってこれたし、ここもちゃんと調べて自分でやらないとダメだ...!!』と思い、焦れば焦るだけ自力でやろうと意地を固めてしまっていました。
結局は時間が足りなくなり、想定していた到達地点直前でタイムアップに。終了時刻の1分前ギリギリまで、1人で問題に向かい続けていたのでした。

● マイルールを決めるべきだった

これは、巷でよく聞く「15分ルール」についてです。

要は、『行き詰まった時、まずは自分で15分やる。ダメなら、すぐ誰かに聞いて助けを求めよう。』というものです。(「15分やっても分からなければ、それが現時点での実力だから、それ以上は時間の無駄だ」という声も上がっていました。)

15分ルールはあくまで目安ですが、このようにヘルプを求めるラインを自分なりに設けておくことが大切です。
最悪なボクのケースでは、粘りに粘って分からないままになり、結局問題をスキップしてしまったことがあります。その問題には1日半ほど費やしてしまい、挙句には『あれだけやったのに出来なかった...ボクってダメなやつ...』と無力感に襲われ翌日のモチベーションをダメにしてしまいました。貴重な1ヶ月のうちの1日を無益にしてしまったのです!

● 黙々やるパワーだけはすごいな自分!

仲間と一緒に問題に挑むスキルは、「42Tokyoが求めているから必要」という訳ではなく、会社でタスクに挑む時、海外でトラブルに巻き込まれた時など、人生のあらゆる場面で必要になることでしょう。
ボクはそれが欠けていることを本当に痛感させられました。

ただ反面、今回のPiscineで分かった良いこともありました。
ボクの場合それは「黙々やるパワー・集中力」です。

Piscineへのコミット時間は1日10時間前後と記しましたが、本当に文字通りの10時間で、ご飯とか休憩とか、就寝時間とかを除いてガッチリこの時間やり込んでいたのでした。
ただこれは前々から長所の1つとして自認していたので、新発見というよりかは一層そこに自信を持てたという気持ちです。

● まとめ

・Piscine突破に必要な力は、事前勉強はもちろんですが、それ以上に「コミュニケーション能力と情報伝達能力(= 伝える力)」が重要!

課題だけでなく、「課題を解く〜他の受験生に解答をチェックしてもらう〜アップロードする」など、Piscine自体のシステムにも分からないことがたくさん出てくると思いますので、( 特に非エンジニアは! ) 課題のみならずとにかく分からなければ声をあげましょう。

・↑それを発揮できるためにも、15分ルールとかの「マイルール」を徹底して順守すること!

正直、1ヶ月で全問題を解くのは困難です。
1秒でも早く次の問題に向かうためにも、人を頼ってサクサク進めることはかなり重要です。(ボクみたいに沼にハマって時間を溶かすのは避けましょう...)

...Piscineを終えてみて、『とにかく楽しんで〜!』とか余裕のあることはボクには言えませんでしたが、エンジニアを目指してるのなら、力試しとして受けてみるのも良いかもしれませんね。

最後に。
Piscineに合格しようとも落ちようとも、「自分がエンジニアに向いているかどうか」「才能があるかどうか」は最後には自分が決めることです。
大好きならやるし、やっぱり他の道が適していると思うのならそっちを進めば良い。

ただ、本当に学ぶことがたくさん出てきた1ヶ月だったと、心の底から思っています。

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