現役Z世代がひも解くTikTok文化論
◇まえがき
2019年から人気爆上げを果たしている短尺動画プラットフォームTikTok。今や高校生の98%に認知され、2020年1月アプリダウンロード数で世界1位を果たすにまで至りました。
少し前までは「若い子がダンスする動画を投稿するだけのアプリ」なんて認識でしたが、ハウツーやビジネス、あるあるネタ、お笑いなど、そのコンテンツ幅は大きく広がっています。
今回お伝えしたいのは... そんな世界的シェアを誇るSNS「TikTok」、
メインユーザーであるネオ・デジタルネイティブ「Z世代」に『どんな影響を与えているのか? どんな態度変容を引き起こしている?新たな文化(TikTok文化)誕生にどう寄与しているのか?』を、まずはTikTokはなんぞやという点から紐解いていきたいと思います。
※ Z世代について、ここでは以下のような世代だと認識していただけたらOK です。
□ 1996年以降に生まれた世代
□ ネオ・デジタルネイティブ(中高生時代からすでに"スマホ"デビュー)
□ DIYメンタリティ(既存概念に囚われずガンガンなんでもチャレンジ!)
Z世代をガッツリ知りたい方は、1万字で事例モリモリ収めた記事がありますのでよければどうぞ 🙇
◇TikTokのインターフェイス
TikTokにあるタブは全部で5つ。以下でそれぞれの機能を簡単に説明します。( [動画作成タブ], [メッセージ] は割愛)
[マイページ]
自身のアカウントプロフィール。今まで投稿したコンテンツ(投稿してない...)やいいねした投稿、プライベートコンテンツのチェックが可能。
※ TikTokユーザーは高校性のうち38%ですが、投稿するのは全体の15%に満たないと算出できます。
[トレンド]
トレンドになっているハッシュタグのチェックや、ユーザーの検索が可能。Instagramでいう【旬の話題】タブといえますが、更新頻度や掲載点数はそれをはるかに凌駕しています。
[レコメンド > フォロー中]
Instagramで例えればフィード欄やストーリーズにあたります。フォローしているクリエイターのみ露出するので、お気に入りのクリエイターの動画を楽しめます。
[レコメンド > おすすめ ]
ここがガチ沼。Instagramでいう【発見タブ】的存在。フォロー内外問わず、TikTokのアルゴリズムに則って自身の好みのコンテンツが永遠に露出されます。
デフォルトで [レコメンド] タブに飛ぶと、 "フォロー中" ではなくこの "おすすめ" が表示されるので、ほんとにずっとみちゃう。
◇TikTokの最強のアルゴリズム
もうここ、ここがTikTokの全てを語っているといえます。
アプリ内の回遊状況や好んで長時間目にしている投稿ジャンルなどのデータを蓄積&解析し、「見たいジャンル」「興味のあるもの」が自動的にフィードにながれてくる。中毒性エグいです。
受動的+超絶スピーディなコンテンツ消費を実現し、かつ好きなカテゴリーのものでいっぱいなのです。もうやめらんねえ。
素晴らしいことに、一定数フィードが動き終えると、ちょっと見慣れないコンテンツが『わたしいかがですか?ちょっと見てみません?』と言わんばかりにフィードを訪れます。そしてまた別のジャンルにハマり... 沼、沼ですこれは。
調査中、「これは調査だ 調査なんだ...」と念じつつも幾度となくTikTok沼にハマってしまいこのnote書いている時間よりTikTokみてる時間の方が長くないか?と思ってしまう始末。
◇TikTokのジャンル
meme(ミーム)
memeとは、ユーザーがマネとアレンジを重ねて楽しみながら広がっていくコンテンツのこと。TikTok上では、特定の楽曲やダンス、パフォーマンスをユーザーが模倣し広がっていきます。ハッシュタグチャレンジの元、#PRとして開始されるものも散見され、参入の敷居が低いことが挙げられます。
シュール系
バズりにくいけどコツコツと人気を博していく、めっちゃシュールなコンテンツ。「これどういう展開になるんだろう...」と思わず最後まで見入ってしまいます。
風刺系
ゲームやアニメ、ベタな日常シーンなどを風刺的に演出するコンテンツ。冒頭でタイトルを伝えるなどして、視聴者を引きつけるような構成としているクリエイターが多くみられるコンテンツです。
ノウハウ系
学生向け、社会人向け、専門知識者向けなど目線で、知識やノウハウを紹介するコンテンツです。Instagramでもカルーセルを活用したノウハウコンテンツが後発していましたね。
Vlogスタイル
今やメディアへの出演などもみられ、人気大爆発中のTikToker修一郎さんに始まるVlog系コンテンツ。もはや一つのコンテンツジャンルと言えるでしょう。
... 他にもジャンルをあげるとすれば、「あるある」や「大変身系」、「コント」、「日常系(コスメ・ファッション・ヘアスタイル・コーデ等の紹介)」などなど、分けてもわけても際限なく新たなジャンルは挙げることができるかと思います。
◇情報収集の場はInstagarmだけではない
流行ファッション情報源として、「Instagram」が「Google」を抜いたというのは周知の事実かもしれません。事実、Z世代の私も流行りのお店やファッション情報、イケてるインフルエンサーのことを調べる時は、もっぱらInstagram。
文字媒体だと、読み進めて初めて「あ この情報わたしが欲しいものじゃない」と気づくことになります。
動画だと楽しみながら見られるでしょうが「あー楽しかった。...ってこれちゃうねん!」となんだか別の充足感が得られ、「楽しいのは楽しいけど何か違う」となってしまいそう。
一方静止画は、視認的に「...違う...違う...これ惜しい...あっ これだ!」と高速で自身のゴール(これが知りたい)にたどり着くことができます。Instagramフィード投稿のほとんどを占める静止画からは、動画ほどインパクトは少ないものの、純粋に欲しいと思う情報にダイレクトにアプローチできるんです。
しかし、そんな情報収集の場も、もはやInstagramやTwitterだけではなくなってきているようです。
例上したものでは、コスメ関係でひときわ目立った特徴だと言われていますが、参入者が増えれば増えるほどこの傾向はジャンル横断的に広まっていくでしょう。
◇Z世代が考えるTikTok文化論 ~ まとめ
Z世代は、文字/画像(読み取ることで意味を把握する)よりも、動画で視覚的かつ瞬間的にコンテンツを把握できる、よりスピーディーな認識方法を好むようになったといえます。(Instagramのストーリーズ活用ユーザーに若年層が多いことも加味)
その傾向を強めたのが、SNSレコメンドアルゴリズムの飛躍的な進化と動画編集技術の簡易化。今は、Google検索すれば回答が文字媒体で得られるのが当たり前な時代です。そんな中、潜在的で非言語状態の思考(例「こんな感じの服欲しいんだけどなぁ」「アイメイクってどうやったらうまくなるんだろう」)でさえも答えを得られる動画コンテンツは、特にTikTokであれば、受動的に楽しみながらふとした時に「これか!」と答えを得られます。
そうした動画嗜好の傾向は、Z世代のInstagram / Youtube / Twitterなどの既存SNSのあり方を大きく変え、新たなユーザーリサーチマップを生んだと言えます。
・情報へのファーストタッチ = TikTokなどの動画媒体で視覚的に認識
・二次検索 = 文字媒体(Twitter, Google)や 画像(Instagarm)で追跡
そういえば、Instagramの発見タブも中毒性半端ないとお伝えしましたね。それもTikTokも、自身の興味関心を知り尽くしたAIが自動的に好みのコンテンツをあてがってくれるのには違わない。
ですが、それが人目を引き続けられる動画コンテンツなら...? Instagarmには後発のリールもありますが、扱える音楽や加工エフェクトなどのリミットに鑑みれば、TikTokはケタちがいといえます。事実、リールやTwitterのフリートでタイムラインを沸かす単尺動画は、未だ多くがTikTokの引用コンテンツという印象は誰もが否めないはずです。
※注意※ 「新たなユーザーリサーチマップ」について
その流れは非常に複雑で、[ 口コミ → Instagram → TikTok → 口コミ → Youtube → Google →店頭にて現物確認 → ... ] などなど、必ずしもTikTokがファーストタッチになるということではありません。 事実、定性的には「基本情報収集はTwitterかも」「最新情報はInstagramだな」というユーザーも多いことでしょう。
あくまでそうしたルートをTikTokの存在が可能にしたという感じです。
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