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11月に読んだ本の話



 しっかりと寒くなって冬の訪れを感じるようになった直近。とは言いつつ、吐く息が白くなるのを初めて感じる日が好きなんだけど、それはまだ少し先のお楽しみらしい。寒暖差諸々に自律神経を滅多刺しにされており、ちょんとつつけば涙溢れそうな、なんとなく寂しいこの季節なのですが、つとめて楽しいお話を心がけたい今月もれっつご〜。


①もういちど生まれる(朝井リョウ)
②嘘つきジェンガ(辻村深月)
③ファミリーポートレート(桜庭一樹)
④冷たい校舎の時は止まる上(辻村深月)
⑤冷たい校舎の時は止まる下(辻村深月)
⑥ラブカは静かに弓を撃つ(安壇美緒)
⑦正欲(朝井リョウ)
⑧盲目的な恋と友情(辻村深月)
⑨そして誰もゆとらなくなった(朝井リョウ)
⑩八日目の蟬(角田光代)
⑪ヨルノヒカリ(畑野智美)
⑫ハケンアニメ(辻村深月)


 脳みその容量が足りなくてなかなか読む気が起こせない日もあったけれど、今月もぼちぼち読めました。10月に再読の旨みを感じてしまったので、大好きな『冷たい校舎の時は止まる』一気読みした土日は至高だったな〜。中古ですが愛蔵版をポチッとしてしまい、装丁の綺麗さとか、中の文字が上下段組みで、文字が黒ではなく紺のような色になっているおしゃれさにもだいぶ高まっちゃった。今月読んだ辻村さんの作品は、『嘘つきジェンガ』も『盲目的な恋と友情』も『ハケンアニメ』も風味は違えどやはりどれも面白くて大好きだった。前半に抱いていた登場人物のイメージが、作品を読み終えると丸ごとひっくり返ったりしているの、何回読んでもびっくりしちゃうんだよな。


 本屋大賞ノミネートでいつか読もうとおもっていた『ラブカは静かに弓を撃つ』もようやく読めた。スパイってそういうことか〜!となり。原作はそれでもちろん面白いんだけど、映像化してくれたら楽しみな作品かもしれない。


 『八日目の蝉』はよくおすすめ本に出てくるのを見ていてこちらもやっと読めた。子供の頃映画公開のCMを見た気がするのをうっすらと覚えている、ちょっと前の作品だと思うけど色褪せず面白かったし苦かった。希和子のしたことは許されることでは無いのに、希和子と薫の生活が続くことを願ってしまうから苦しい〜。原作読んだ後すぐ映画も鑑賞。これぞ映像化の旨み。永作博美さん、なんだか幾つになっても可愛くて大好き。逃避行を続ける希和子と薫の顔が、血が繋がってないはずのになんだか似ていて切なかった。 


 大体つかれたな〜って笑いたい時は朝井リョウさんのエッセイに救われる。エッセイ三部作を締めくくる『そして誰もゆとらなくなった』数々のエピソードのなかで、produce 101 JAPAN というオーディション番組を観た朝井さんがダンスを習いに行くという回が衝撃的だった。ちょうど現在放送しているproduce 101 JAPAN(ガールズ)を観ていた私も「推しのようにこの番組テーマ曲を踊ってみたい!」とYouTubeを漁って日夜ダンスの練習に励んでいたからである。「まるで同じ思考だ…!!」と思った。過去ダンス経験のある朝井さんに対して、運動はからっきし、ダンス経験皆無の私のダンスは目も当てられない出来栄えではあるが。アイドルになれるなんてもうどう思っていないことは大前提で、あの舞台に立つことはどんな気持ちなのか知りたいという感情に首がもげるほど頷いた。


 これだけ(いい意味で)とてもくだらないエピソードで笑わせてくれる朝井さんなのに、『正欲』みたいなのを読ませてくるからすごい。何が正しいとか正しく無いとか、読めば読むほど結局自分の価値観とか自分の気持ちってなんなんだ?どこにも共感できない気もするし、全てに共感できる気もして、自分の身の置き所がわからなくなる。何を基準にしてマジョリティなのかマイノリティなのか、そもそもその基準って何を基に作られたの?って話で。人には人の痛みがあって、他者が完全にそれを理解することなんてできなくて、手を差し伸べることばかりが優しさだと思っているのは、結局差し伸べた側のエゴじゃ無いかとか。「人には人の乳酸菌」ってのは考え方によっては結局多様性の限界に対する諦めじゃ無いかなんて思ったり。簡単に言って仕舞えば「価値観の押し売りは良くない‼️」になったところで、今度は相手を傷つけることを恐れて何も動けなくなってしまうだろうと思うし。文章を頭の中でうまく思い描けなくて、映画の予告見たら、少し解像度が上がった気もするけど、見てみようかな〜朝井さんのバカデカ問題提起をしたまま一生物議を醸して終わるこの感じ… 上手に言葉にできない。 


 なんだかいろいろ書きたいことはあるはずなんだけど、うまく言葉が出てこない調子の悪さ。今月はこの辺で幕引きさせていただいて、読んだ本の記録まで。来月は今年一年の読書の成果を振り返りたいと思います。今月もちゃんと生活していて偉かった。おやすみなさい、また来月。

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