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21世紀のユニフォーム変遷を振り返る【DeNA編】

日本プロ野球のユニフォームシーンが突如ガラパゴス化し始めた2000年代以降にスポットを当て、そこから現在までの各球団のユニフォームの変遷を振り返るシリーズ企画「21世紀のユニフォーム変遷を振り返る」

第3回目は横浜DeNAベイスターズ編です。

過去回はこちらのマガジンから。

では、どうぞ。

1993 - 2008年

20世紀からのスタートとなっておりますが、都合よく2001年に変更してくれている球団ばかりではないので、2001年の時点で使われていたユニフォームの使用時期を章題に使用しています。

1993年、球団名が「横浜大洋ホエールズ」から「横浜ベイスターズ」に改められるとともにユニフォームが変更されます。

引用:週刊ベースボール週刊ベースボール

1993年の変更当初は帽子マークの星が3つ&スパイクが青でしたが、1996年に星が1つに、2001年にスパイクが白に変わったため、「21世紀の〜」という括りであることを考えてそれに準じた画像を採用しています。

球団史上最長の16年間に渡って使用されたモデル。
そのため1998年の日本一の印象が強い方、「暗黒期の入り口」という印象が強い方、いろいろな方がいらっしゃると思います。因みに私は後者です。

しかし、それでもデザイン性の高さは折り紙付き。
ホームの「BayStars」ロゴは重厚感と華やかさを兼ね備えた素晴らしいデザインで、シンプルで爽やかかつ上品な青ストライプのユニフォームにとてもよく映えています。
また、基本的に上下セパレートタイプのビジターユニフォームには批判的な私ですが、中には「これだったらいいか」と思えるものもあり、この時期のベイスターズは間違いなくその1つですね。鮮やかさと深みを兼ね備えた素晴らしい「ブルー」だと思います。

実はこのユニフォーム、16年の間にかなり細かくマイナーチェンジしているんです。
まず、先述の通り1996年に帽子マーク星の数、2001年のスパイクの色が変わります。次いで2003年にビジターユニのパンツ脇ラインが、翌2004年には同じくビジターユニの袖ラインが相次いで細くなります。

引用:横浜DeNAベイスターズ

かなり洗練された印象に変わりました。
さらに、2006年にはビジターユニの胸マークから星がなくなります。

引用:四国新聞

個人的には、このように細かいマイナーチェンジを重ねてデザインをどんどん洗練させていく、という試みは好ましく感じます(こうやってまとめる際には地獄ですが)。
しかし、ユニフォームがシンプルになるに連れてチームの勝ち星までもがシンプルになっていってしまうというのが何とも皮肉ですね。

2009 - 2011年

横浜開港150周年に合わせて(合わせる必要があったかどうかはともかく)、ユニフォームを大幅刷新。

従来の「ピンストライプとブルーのジャージ」というイメージを大胆に捨て去り、ロゴもホーム「BayStars」+ビジター「B」というパターンをひっくり返してホーム「B」+ビジター「Yokohama」というパターンに。
この筆記体の「Yokohama」ロゴは前年までのサマーユニフォームで採用されていたものを流用したものです。
また、ホームビジターともにプルオーバー式を採用し、襟部分には横浜の「Y」をイメージしたラインを配置。星は帽子から両袖へ移動。

正直な感想を言いますと、「やりすぎ」という印象です。
多分ベースとなったコンセプト自体は悪くないんだと思います。「B」の左胸マークも洗練されたスタイルで新鮮ですし、ビジターは上下グレーで「Yokohama」ロゴなのも気が利いてていい。
帽子に関しては、シンプルな「B」マークもシックな色使いも結構好みです。
ただ、それにいろんなものを付け加え過ぎています。
一言で言えば「ぼくがかんがえたかっこいいゆにふぉーむ」感

まず、Yネック。普通にこの配色で襟ラインにしてボタン式のシャツだったら普通にかっこよかったと思います。ホームとビジターで長さが違うのも締まりがないです。そもそも「今更プルオーバー?」と思わざるを得なかったもの事実。
袖の星と奇妙なライン&切れ込み(これも「Y」を意識している?)も、明らかに過剰なデザイン。これも普通に袖ラインだったらかっこよかった。

因みに、この星は2年目にマイナーチェンジ(白→金)。
元々は主催カードの初戦のみ着用のモデルとしての導入だったらしいですが、普通に考えて、そんなややこしいことされても誰も得しないですよね。絶対何人が間違えるし。結局このモデルを全試合で使うことになりました。

引用:ヨコハマ経済新聞

上下グレーのビジターユニに白ストライプが入っているのも余計。わざわざストライプ入れるんならホームユニからなくすなよ、と言いたいです。

そして極め付けが、シャツの脇からパンツの脇へ繋がっているラインの一部が「BAYSTARS」になっているというデザイン(左側のみ)。
アイディア自体は面白いんです。所属してる草野球チームでユニフォーム変えようよって話になって、誰かがこんなデザイン案持ってきたら「おー、いいね」と言ってしまうかもしれません。でも多分採用はしません。
なぜならダサいから。

ラインが裾までしっかり伸びてないのも含めて、ダサいです。

「最悪」としか言い様のないチーム状況もあって、良い印象がほぼ皆無なユニフォームですね。

2012 - 2014年

そして、球団名を「横浜DeNAベイスターズ」と改め、新球団として再スタートを切るにあたりユニフォームを刷新。

引用:週刊ベースボールONLINE

カラーリングは前モデルを踏襲しつつも、ピンストライプなど黄金期を彷彿させる要素も盛り込み、一新されたロゴとともに「継承と革新」というコンセプトを表現しています。
特にネイビーベースに明るいブルーのデザインがあしらわれたビジターユニフォームは新鮮。

「現代的」な要素を詰め込むことに腐心していた(と思われる)前モデルに比べ、シンプル志向が目を引きます。新時代の到来を感じさせる「DeNAらしい」デザインですね。
個人的にも、この頃からDeNAの動向に気を配るようになったこともあって、思い入れの深いユニフォームです。

ただ、気になるのはやはりロゴ。ユニフォームの胸ロゴとしては要素が多すぎるなぁというのが率直な感想。
色の重ね方自体は黄金期ユニを豊富とさせるものですが、フルネームである必要があるのかどうか。
その上、ビジターユニも同じくフルネームでかつグラデーションがかかっているのは流石にやり過ぎではないでしょうか。

ベースのデザインがシンプルであるだけに、こういった部分もシンプルに揃えていれば…という思いがあります。
帽子のマークも含めて子供っぽいという印象が強くなってしまいます。

そして、2013年には鮮やかなブルーを基調としたサードユニフォームを採用。シーズンを通して毎週末に着用されました。

鮮やかな横浜ブルーを復活させたところはよかったと思う一方、それだけに「DeNA」の企業ロゴのデザインがそのまま流用されたという点に関しては、やはりモヤモヤを禁じ得ません。
「YOKOHAMA」を入れ込んだところはよかったと思いますが、一列に押し込んだことで文字サイズがかなり小さくなるという結果に。
デザインの面でも、色味の違う青を縦に交互に配置するというデザインは、さながらサッカーユニフォームのようで…

さらに、翌2014年からはビジターユニフォームをこのサードユニフォームをベースにしたものへ変更。

引用:スポニチアネックス

「DeNA硬式野球部」になってしまいました。親会社の企業ロゴをそのままユニフォームデザインに持ち込むというのは、個人的に1番好きじゃないタイプの手法です。
「DeNAの野球チーム」ではなく、あくまで「横浜のプロ野球チーム」という威厳を保ってほしい。

2015年 - 現在

2015年、ホームユニフォームを変更。デザインはそのまま、ネイビーだった部分がロゴと同じ「横浜ブルー」に統一されました。

今までネイビーだった帽子、アンダーシャツ、脇の切り返し、ラインなどが新たに「横浜ブルー」と命名された鮮やかなブルーへ変更。「海と港の街・横浜」をイメージした綺麗なブルーです。
ヘルメットが「横浜ブルーメタリック」と称したツヤ加工が施され、豪華な印象に。

そもそもなぜ最初からそうしなかったんだ、というのがこの新ユニフォームを見て最初に思ったことです。
ロゴや帽子マークは元々この色だった訳で、TBS時代末期の印象を払拭するためにも最初からこのデザインだったらよかったのに、と。
この鮮やかな「横浜ブルー」、青をチームカラーとするチームの中では1番好きな色味です。一気に「横浜らしい」ユニフォームになったなという印象です。

ただ、それだけにデザイン面でのマイナスポイントが目立つ結果にもなっていて…
ロゴやマークの子供っぽさや、脇の切り返しが入っていることで、青ストライプの上品さがかき消されてしまっています。本当にもったいない。
ロゴをそっくり変えてしまうのは難しいとしても、色の使い方など工夫することは十分可能だと思います。

2016年には、球団新設5周年を記念してビジターユニフォームを変更(ホームもこのタイミングで変えればよかったのにと思ったことは内緒です)。

引用:関内新聞

横浜ブルーに薄い色味のブルーを合わせ幅広のストライプ柄に。下に向かうにつれて青が同化していくグラデーションも特徴です。
また、胸ロゴが「:DeNA」から「YOKOHAMA」に変更。
横浜のチームであるということを強く意識した地元密着のチームカラーがより色濃く出ていて、個人的には好印象のユニフォームです。

ただし、それに伴ってサッカーユニフォーム感も強まってしまっているのはいかがなものかとは思います。何より、この綺麗なブルーの面積をわざわざ狭めてしまっているのが残念で仕方ありません。

引用:横浜DeNAベイスターズ

2018年には帽子マークも「Y」に。
素晴らしいことですが、こういう変更に関してはぜひ同じタイミングでまとめてやって頂きたいというのが本音です。

そして、2020年になると再びビジターユニフォームを変更。

引用:横浜DeNAベイスターズ

「より青く、より強く。」とコンセプトに、ストライプの線を細くことで横浜ブルーの面積を拡大。ストライプの幅を上に向けて広げることで、「選手の力強さを引き立て、無限に広がる可能性を表現」しているとのこと。

ロゴの縁取りの配色を微調整することで視認性が向上しているのが高ポイント。ストライプが細くなったことで、「横浜ブルー」の面積が広くなっているのも個人的に嬉しいあたりです。

それでもやはり、野球のユニフォームというよりサッカーのユニフォームっぽいという印象は変わらず。どうしてもストライプは必要なのかなぁ。
シンプルにブルーではダメなんでしょうか。

まとめ

ここまで、21世紀のDeNAのユニフォームを振り返って参りましたが、いかがでしたでしょうか。

98年の日本一以降、長く低迷が続き球団の売却まで経験した21世紀のベイスターズ。
何としても雰囲気を変えようという試行錯誤から、やがて地元密着という方針を見出し現在に至る、という球団そのものの歴史と符合する部分も多いですね。

横浜スタジアムを中心とした街づくりにも取り組んでいるベイスターズのユニフォームがこれからどう変遷していくのか、という点も興味深いです。

以上、21世紀のユニフォーム変遷を振り返る・DeNA編でした。ありがとうございました。


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