見出し画像

第11回ポプラズッコケ文学新人賞~発表と批評について~

第11回ポプラズッコケ文学新人賞の結果が発表されました。

実は私も応募をしていたので、自分と同じ時期に書かれた作品たちの結果でもあります。結果発表は待ち遠しく思っていました。

集まった作品の中からどんな作品が選ばれたのか、必ず結果を確認するようにしています。
同時に、選評は必ず読むようにしています。
どの文学賞にも、その文学賞ごとの方向性や審査員の着目点があるはずなので、すべての作品のコメントは目を通したいです。

“「作品は、いつもゆがんだボールだ。批評は、内側からボールをふくらます。」――私が長く書いてきた「批評」について、『ズッコケ三人組の大研究』のもうひとりの編者、石井直人がこんなふうにいったことがあります。「批評」は、作品の意思をよくくみ取って、作品の本来あるべきすがたを示す仕事です。「批評」は、決して単なる「批判」ではなくて、作品への「愛」を語ることなのです。”

作家には作家の役割があり、編集者には編集者の役割があり、手にする読者には読者の視点があります。
児童文学の場合は主に届ける対象は子どもたちです。一般書籍とは別の、その小さな手に伝えたい想いがあるはずです。

この賞の元になった「ズッコケ三人組」の作者である那須正幹さんは2021年7月にこの世を去りました。それでも続くことが決まったこの文学賞。
どうかこれからも新しく育つ子どもたちが生きる手掛かりになる作品と巡り合えますように。

私の応募作については、大きな反省しか残っていません。
小学校高学年の子どもたちを中心に、それを取り巻く大人たちも含めた全員の名前と背景を設定して積み重ねておきながら、活かしきることができませんでした。書ききれずに締め切りギリギリに応募しました。数万にも及ぶ文字数を埋める苦労を、心がつぶれる思いで知りました。
この賞のために書いた作品だったので、諦めたくなかったというのが当時の私の考えでしたが、不完全なまま彼らを投げ出してしまったような後悔が今も強く残っています。

文学賞への応募作が落選した場合はこのnoteに無料公開していますが、この子たちはまだ少し、手元でもう少し、大切に育ててからにしたいと思っています。
もしかしたら別の舞台を待って引き続き暖めるかもしれません。

改めて、受賞の皆さまおめでとうございます。
審査の皆さまありがとうございました。

子どもたちの手に届く文学がこれからも続きますように。
私もそのおかげで育ちました。

【追記】
こちらの記事でもポプラ文学賞応募の様子を紹介しています。


スキやシェア、コメントはとても励みになります。ありがとうございます。いただいたサポートは取材や書籍等に使用します。これからも様々な体験を通して知見を広めます。