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異界へのトンネル「上色見熊野座神社」との遭遇

私が最も好きな日本の場所のひとつ。

それが九州の高千穂とその周辺。

そして、その中でもひときわ異彩を放っている場所がある。

それが今回紹介する

「上色見熊野座神社」

である。

熊本県阿蘇。

震災の被害が大きかった熊本地震。

私が熊本に降り立ったのは、
震災後のことだった。

今回も、出張がてら、空いた時間で熊本をめぐる旅に誘われることになった。

地理的には、
日本有数のパワースポットである宮崎県高千穂も移動圏内。

阿蘇と高千穂という二つの未開の地をめぐるべく、
予定を組んだ。

熊本に降り立った瞬間は、

あいにくの雨模様。

しかし、レンタカーを借り、
阿蘇を目指すにしたがい、太陽が差してきた。

すると、目の前にはうっすら「虹」が現れた。

綺麗な虹だ。


以前、私が事業がうまく行かずに途方に暮れていたときのこと。

その日はあるセミナーの懇親会だった。

花火大会の日に合わせて開催されたその宴は、
私が受講していた複数回にわたって開催されたセミナーの最終日にあたる日だった。

結局、そのセミナーは、当時の私にとって非常に大きな金額を支払ったにも関わらず、その成果は微々たるものだった。

最終日の宴も、なんだか気が進まず、最後の最後まで参加することを迷っていた。

しかし、他に特にやることもなかった私は、
トボトボとその会場に向けて歩いていた。

しかも、花火大会なのに、あいにくの、雨、雨、雨。
どんよりとした気持ちで歩いていた。

幸いな事に、私の心とは対照的に、歩いているうちに、

みるみる空が晴れてきた。


「雨が止みそうだ」


そう思い、会場前に着き空を見上げると、
そこには大きな虹がかかっていた。

「よかった、晴れてきた」


その日、無事に花火大会も開催され、

会場にいた30人ほどの人々はウキウキしているように見えた。


私の心はどこか晴れないままだったけれど。

花火に全く興味がない私は、
会場の隅でポツンと座っていた。

そこにある人が話しかけてきた。

「花火、見ないんですか?」

翌々日、私はそこで話しかけてくれた経営者に呼び出され、
私の事業概要を一通り話した。

すると、その経営者はおもむろに言った。


「ぜひ、私の企業のコンサルティングを行ってくれませんか」


この出来事以来、
一夜にして私の人生は変わってしまった。

その経営者の方には今も頭が上がらない。

その時から、私は、多くの実績をあげることができ、

そして今では、さまざまな企業のコンサルティングを受託するようになった。


虹は私にとって吉兆だ。

だから、熊本にかかった虹を見て、
「ああ、これから良いことが起こるな」
と直感した。

この熊本への旅、
私は「普通の場所」には行きたくなかった。

人混み、人々の想念、ご利益。

そういったものが集まっているところをなるべく避けたかった。

そんな思いで、車を走らせて向かった先が、

「上色見熊野座神社」(かみしきみくまのいますじんじゃ)

だった。

国道沿い、山の奥の郵便局のすぐ隣に突然現れる、
とても神秘的な空間。

目の前の駐車場に車を停め、
異次元につながる鳥居に足を踏み入れた。

普段なかなか神様の存在を感じられない人でも、

この場所に来た人はおそらく、

その雰囲気に神様の存在を感じられることと思う。

それほどの場所。

15分ほど登ると、
頂上に続く道なき道が現れる。

そして、上を見上げると、そこには大きな

「穴」

がふっと現れる。

身体が「ブルッと」する気配。

神様が通り抜けるために存在するような「穴」。

原始的で、聖なるエネルギーが吹き込んでくるような場所。

「異界へのゲート」

このゲートは、

「穿戸岩」(うげといわ)

と呼ぶのだそう。

昔、阿蘇大明神の従者である鬼八法師が、
この岩を蹴破って逃げたという伝説がある。

その向こうに足を踏み出したなら、
たちまち「あちら」に吸い込まれてしまうような感覚。

人が関与してはいけないと思わせるような場所だった。

昼間の早い時間に行ったが、
森から動物がひょっこり出てきそうな場所。

私はその場所で、ひとり、深い瞑想に入った。

私が北海道に出張したことを思い出した。

あるホテルに宿泊した際に、
「アイヌの神話の絵本」
が置いてあった。

内容はウル覚えだが、
要約すると、

「熊」は「神の化身である」

という絵本だった。

自然の結晶である生物「熊」

この「クマ」の発音が「カミ」に変わった、
そんなことを思い出した。

この穿戸岩に出てくる「鬼八法師」。
そして、「熊」。

「上色見熊野座神社」

読み方は、

「カミシキミクマノイマス」神社。

カミ・シキミ・クマ・ノ・イマス


「神、シキミ、熊、の、在す」


では、この「シキミ」とは何か?

調べてみると、

「仏事にお供え物として用いられる”樒(シキミ)”という植物」

がすぐに出てくる。

この樒は、すべての部位に毒が含まれていて、
「悪しき実」という語源から「シキミ」に転じたとか。

樒が持つ独特の香りは、魔除けの効果や死臭を打ち消す効果もあるとして、仏事においてはお線香や抹香と同じようなものとして扱われていたようです。
地域によっては、埋葬時や納骨を行う際に、樒を一本お供えするという風習もあります。
http://ososhiki.bellco.co.jp/knowledge/%E6%A8%92%E3%81%A8%E3%81%AF/

つまり、

「悪しきものを遠ざけるために利用される植物」

と言い換えられる。

ここで、

カミ・シキミ・クマ・ノ・イマス

の言葉を今一度考えてみると、

「神、樒、熊、の、在す」

つまり、

鬼八法師という「鬼」を封印するために、
神を祀った神社

と言い換えられるのではないか、

そのような推測に至った。

例えば、
かつて、かの有名な学問の神様・菅原道真は、
その死後に怨霊となった結果、
太宰府に祀られるようになった。

「悪いものと考えられていた存在を封じ込める場所」

これもまた神社の役割のひとつ。

この「上色見熊野座神社」も、
山奥に棲みついていた「鬼」を封じ込めるために、
この場所のエネルギーを借りて祀っている場所なのだろうか。

ジブリ映画の舞台になったとも言われているこの場所。

そのような推測が、当たらずとも遠くないのではないか、
そんなことを思わせる雰囲気がある場所だった。

私はこの素晴らしい異界をあとにして、

次の目的地である高千穂に向かった。

次回に続く

*

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