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vsコスタリカ 伊藤洋輝のプレーが低調に見えた要因を試合内容と共に振り返る

当方は、二十数年来のジュビロ磐田サポーターでして、この試合後の世間の伊藤洋輝に対する風当たりに思うところがありまして…。

何故、ここまで批判に晒されてしまったのか、今一度、伊藤洋輝のプレーや後半の日本の左サイドを中心に振り返ってみたいと思い、 noteを書くことにしました。

↓のブログもミクロな内容でとても面白かったのですが、自分は大きく捉えて書いてみます。

識者の方の概出の内容も多いとは思いますが、お手柔らかに宜しくどうぞ!

後半のメンバー


前半は、森保ジャパンらしい塩分濃度の高い内容。とは言え、相手のパフォーマンスは事前のスカウティング、想定通りの内容でもあったはず。
コスタリカは初戦の4-4-2から5-4-1へ非保持の形を変更。下がりすぎず、ミドルゾーンで構える。対する日本の保持の時間が長い試合になった。

スコアレスで試合が進めば、点を取りに来ざるを得ないのは初戦で勝ち点0のコスタリカであり、コスタリカがバランスを変え、前進体重になったタイミングで日本は切り札(三笘etc)投入か?たと思われたが、ハーフタイムに森保監督は先手を打つ。上田、長友に代えて浅野拓磨、伊藤洋輝を投入。

何か02年のチュニジア、トルコ戦を思い出すような、積極的な采配だ。面白いなと思った。

後半スタート時のメンバー

日本は前半途中からスリーバックに変更。最終ライン3枚でのビルドアップを行っており、この交代で明確にスリーバック採用を印象付ける交代策になった。

後半の試合内容~

後半がキックオフされると、まずは左のハーフスペースに鎌田が顔を出してパスを引き出して前進し、シュートチャンスを作る。

又、吉田と伊藤洋輝の間に守田が斜めに降り、伊藤洋輝を押し出し、さながら4バックの用な立ち位置でビルドアップを行う時間に良い場面が見られる。

11:10~には守田がコスタリカのMFを最終ラインに引き付けてコスタリカの5-4-1の立ち位置を歪ませ、伊藤洋輝がハーフスペースで起点になり、相馬の1on1を作り、相馬が自らカットインからシュートを放つ。

左ハーフスペースを使えた後半立ち上がり

13:04~には伊藤洋輝が自らハーフスペースに侵入しクロスを送る。

コスタリカの5-4-1ブロックの4の右サイドハーフのトーレスの脇と裏で、伊藤洋輝が起点になれた良いシーンが2つ続いた。

ここからトーレスは相馬と伊藤洋輝の関係を断つべく意識して立ち位置を取る。

この時間帯辺りで、交代選手投入による日本のペースと言えた流れが止まった様に見えた。この大会でカミカゼアタックなり、ジャパンタイムと呼ばれた時間帯であったかもしれない。

17分には、数分間、上手く使えなかった左ハーフスペースに遠藤が出張してくることで、バイタルまで侵入しフリーキックを獲得する良いシーン。

後半のここまでで、
左ハースペースへ鎌田覗き込み
守田が降りて伊藤洋輝左SB化
トーレスが伊藤への警戒を強める
→代わりにワイドレーンで相馬が1on1作れる
→トーレスが伊藤と相馬を両警戒
→代わりに遠藤がハーフスペースを取れる。
という様な左サイドの攻防が見て取れたことになる。

この遠藤出張の時間帯以降は日本の左ハーフスペースに立つ選手が留守をする展開が目立った。人が居らず、伊藤洋輝+左WBの2人に対してコスタリカが3人対峙する様なシーンが増えてくる。

このフリーキックのタイミングで森保監督は切り札三笘薫を投入。相馬の1on1や、伊藤洋輝のハーフスペース侵入も有り、左サイドへの保持の手応えも投入を後押ししたのではないかと感じた。

しかし、この交代に合わせてコスタリカも動く。保持シャドー、非保持はサイドハーフをタスクのプレイヤーを2枚代え。トーレスからアギレラにチェンジ。

これはコスタリカのスアレス監督の用意周到な交代策であったと思います。明らかな三笘対策

アギレラは右ウイングバックのフレールと共に三笘の1on1を封じるべくダブルチームで三苫をサンドしながら、伊藤洋輝へのハーフスペース締めケアも怠らないハードワークを見せる。コスタリカはシャドー兼サイドハーフがハードワークすることで、非保持は受動的な5-4-1からアグレッシブな5-2-3を行ったりきたりする。

22:03~、34:13~のシーンは三笘がタブルチームで止められた分かりやすい場面。前述の通り、左ハーフスペースを取る選手が居らず、出しどころが無い伊藤洋輝のバックパスが目立ってくる。

三笘へのダブルチーム

三笘はチェックの動きが少なく、終始足元でボールを貰おうとしていたことも、伊藤の選択が悪く見える要因になった(相馬はチェックの動きの上下動のスプリントを繰り返していた。だからこそ伊藤は相馬に対しては背後へ2度ボールを送っていた)

35:08~コスタリカが先制する。吉田麻也の中途半端な繋ぎから低い位置でボールロスト。フレールに沈められる。この試合コスタリカ唯一の枠内シュート。

吉田麻也の浮き玉処理は単純にミス、守田も上手くコントロール出来なかった。サッカーはミスのスポーツであると思わされる。

又、伊藤洋輝がヘディングする前の背後へのロビングに対して吉田麻也はカバーリングをする立ち位置に戻れておらず一瞬、ボールウォッチャーになっている。伊藤は吉田が後ろ(ボールと味方の位置を基準に立つ場所)に戻り切れていないから、ヘディングでのパスを選択したとも見える。これが吉田のミスに直結する。

この失点場面の伊藤洋輝のプレー選択にも疑問が残る。
相手がバイタルで前向きにプレーするタイミングで、単独でオフサイドトラップを狙ったが、オフサイドを取ることが出来なかった。そもそもこのプレーはトラップ=罠ではない。
守備のセオリーであれば、ボールとマーカーの間へ立つべく、斜めにマーカーへ寄せるべきだったのではないか。
距離としては、シュートのブロックには間に合わなかったかもしれないが、それでも、GK権田のシュートコース限定を助けれたかもしれない。

伊藤洋輝は2020年のJ2のシーズン途中にセンターバックにコンバートされており、センターバックとしての経験値が圧倒的に足りていない。育成年代で習う基本的な原則を怠るのは、この為ではないかと思う。まだまだ身体能力で守る場面がある。これは彼の伸び代。

ビハインドとなった日本。もはや左サイドは、戦術三笘への国民の神頼み状態になってきているが、三笘の1on1をなかなかビルディングすることが出来ない。

41:13~伊藤洋輝が楔のパスを送り、ワンタッチのパス交換から南野の決定機未遂に繋がる。
ビハインドとなったことで、伊藤洋輝が数分間にアグレッシブに3度も前方斜めにパスを送った。序盤以降では久しぶりに攻撃に絡む。

42:40~最終ラインに落ちた遠藤航にコスタリカのプレーヤーが食い付いたことで、後ろの人数が均衡したことで前に人とスペースの余裕が生まれた。ようやく三笘の1on1アイソレーションを作り出し、三笘の抜くドリブルでサイドをえぐり、折り返しに鎌田が合わせる決定機。
起点になったのは伊藤洋輝。結局、チームビルディングとして三笘の1on1アイソレーションを作り出せたのはこの1度、たったの1度だった…。

47:14~伊藤がインナーラップした話題になったシーン。

私的には伊藤が走るコースは三笘とレーンが被っておらず悪い選択ではなかった様に見た。
強いて言えば三笘が一人目を交わした後、伊藤が体一つ分遅れていることか。
三笘は一人交わした後に、伊藤へパスを送っても折り返すことは出来ていたのではないかとも見えたし、伊藤へ出すことで、42:40~のシーンの様に三笘自らエリア内に入っていくことも出来た様に思える。川崎フロンターレ時代でも、ポケットからの折り返しに自ら会わせるシーンは何度も見た。何ならドイツ戦の堂安のゴールがそれに近い。

もちろん、伊藤がスペースを潰したと評価されても妥当には感じるが、彼は「邪魔」をしに行ったのではなく「助け」に行ったのは間違いないわけで。ドイツ戦で南野がやったプレーをしたかったのだと推測する。そこまで、とやかく触れるシーンでもないかなと。

48:27~何故かやたらバズっていたシーン。

前述の通り、ダブル(もはやトリプル)チームにくるコスタリカとハーフスペースに誰も立っていない日本の配置が見て取れる為、バックパスせざるを得ないのではいかと見える場面。
伊藤は三笘の位置も認知している。(前は見てる)
平面での伊藤の視界を想像すると「三笘のところに三人寄ってくる!出せない!」と伊藤が思ったのは想像出来る。

機能不全の日本左サイド

それでも三笘に出せというなら、三笘という選手が右利きのメッシかマラドーナかサビチェビッチの域の選手ということだろうか。僕にはよくわからない。スターの付いたマリオでもあるまいし、テレビゲームじゃない。

また、吉田や板倉も後方に立っており、日本のフィールドプレーヤーが広大に散っている状況の為、一旦後方にバックパスをして、チーム全体をコンパクトにすることで、より確実にクリーンにボールを前進させようとしたプレー選択に思う。一点が確実に欲しい展開だったからだ。実際にこのプレーの直後、右のハーフスペースで前向きのフリーの選手を作り出して、クロスを送れている。

選手がフィールド上に散らばり、間延びした状態でボールを、縦方向に入れていくことは、ボールを失っても、ふたたびボールを取り返すことが難しくなる可能性が高くなること=リスクの高いプレー選択だと思います。

ほどなくてしてタイムアップ。
0-1の敗戦。

ここからはテーマを設けて記載。

伊藤のバックパスが増えた3つの要因

不可解なHTの交代の影響

この森保監督の采配がポジティブにピッチに影響したのは僅かな時間だった。

浅野の良さは、背後へのランニングやカウンタープレスのスピード。
伊藤洋輝の良さは、陣地回復やサイドチェンジのロングキック。

であるとすると、
伊藤洋輝のロングキックで背後やエリア内の浅野へロングボールを送り、さらに最終ラインを下げてセカンドボールを拾う狙いがあってもと感じたが、
基本的には前半途中からのショートパス主体のビルドアップの初期配置を継続していた。

僕は、それでも伊藤が個人で判断して蹴るべきだったと思う。蹴ってなんぼの選手なので。ボールを捨てて結構だと思った。

あまり見られなかった伊藤洋輝のロングキック

コスタリカの1トップに対して最終ライン3人でビルドアップをスタートする日本。日本に2人の余りがある。

 よって、残った日本の7人の選手に対して、コスタリカが9人で対峙するのが基本的な構図となった。7対9で、固く守るコスタリカを崩せない展開。

日本3-2-5とコスタリカ5-4-1の嚙み合わせ

ここでの解決策の一つになるのは、余っている2枚のCBの選手がボールを運んでMFのエリアに近づいていき、コスタリカの5-4-1陣形を歪ませることでったが、
伊藤洋輝は、後ろから運んでいくことは得意とはしていなかった。かと言って蹴るわけでもない。どういう指示で投入されたのか中途半端だった。考えろ!なのだろう。

前半から相手の最終ラインは既に低い場面も有るわけで、そこには広大なスペースはあまりない。
狭いエリアでの動き直しや、横からのボールのヘディングなら浅野拓磨より上田綺世の方が秀でているというのが筆者の印象で、交代が上手く後半45分間の試合内容にはまらなかったのは間違いない。

浅野拓磨の早さを使えたのは10分までかなと。それでも後半立ち上がりに、1度流れを持ってきたのは、積極的な采配が選手にポジティブに左右したことでもあるとはおもうが…。

伊藤洋輝の得意のキックを使えたのは、26:37~の伊東純也へのサイドチェンジの1度だけ。たった一度だった。

伊藤洋輝から相馬への縦方向のミドルレンジのパスは8:59~、13:40~の2度ミスをしている。彼の得意のレンジのパスではない。

選手が持っているプレースタイルや個性と、任されたタスクにズレがあるメンバーチェンジであったと思いました。
むしろ彼の苦手なシチュエーションを任せられたのではないかと。
これを選手個人だけの批判にフォーカスするのは勿体無いことに思います。

保持の局面が長くなる試合で伊藤洋輝を使うなら、この試合だと吉田の位置でのタスクかなと思いました。あの立ち位置からメトロノームの振り子の様にロングキックを使うなら理解は出来たのですが…。

↑シュツットガルトでも彼のキックを活かしたスリーバックの真ん中でのプレー経験があります。

委任戦術のデメリットの影響

森保ジャパンは、選手との話し合い(合議制)のもと、戦い方を決めている。との報道が敗退後、特に続いてる。合議制©️スポーツ報知

監督やスタッフ主導と、選手主導という二つのバランスがあるとすると、後者にも振れていると言うことである。
トレーニングでも、ゲーム中のピッチでも、いつ時もそうなのだろう。磐田も歴史的にそんな節がある。

こうやって試合を振り返ると左のハーフスペースの使い方は、守田が下がったり、鎌田が顔を出したり、急に遠藤が出張したりと、恐らくは選手個人の判断に多くを委ねられていると思われるプレーが続いている。即興性の高いシーン。即興性が高いと言うことは、相手が対策を立てにくいというメリットもある。
実際にそれで良いシーンもたくさん見られたが、鎌田、守田に加えて度々絡んでくる遠藤の3人の立ち方は、ピッチ上では整理されていなかった。これが伊藤がバックパスを多投選択せざるを得なくなった最大の要因だろうと思う。森保ジャパンのボール保持の長い試合は、最も選手が考えて立つことが必要になる役割の中盤センターがピッチ上で解決策を見つられないと、輪郭の選手は委任戦術の被害者になるのかもしれない。

伊藤洋輝と三笘に関してもレーンの受け渡しが練習中かの用な探り合いをしながらタイムアップを迎えた様に見えた。
5レーン的な理論のNGシーンも見られた。
又、伊藤がワイドレーンに張って、三笘がインサイドという、三笘のワイドアイソレーションを作るには逆の関係も多かった。

↑6月シリーズでもワイドレーン伊藤、インサイド三笘での位置取りでゴールが生まれているが、こちらの再現を狙ったのだろうか?この試合の日本は4バックだった。

選手に多くを委任するのが「悪い」と言いたいわけでない。(好きではないけど。)
委任したからこそスムーズにいくこともあるのだ。メリットもデメリットもあるはず。であれば、デメリットの小さい起用にしたかった。

より連携面や阿吽の練度の高く、ピッチ上で監督目線で判断出来るメンバー構成にしたかったたはずだと思う。

伊藤洋輝は22年中にメンバーに絡んできた唯一のプレーヤーだ。そんな彼にほとんど合わせてもいないであろうスリーバックの左を任せるのリスキーだったのではないか。どこに立って、試合展開に合わせて、どういうプレー選択をすべきかの判断力に欠けたのかもしれない。
それは監督がするべき!は勿論そうだが、森保ジャパンはそいいうアプローチが多くを占めていないのだから、もっと選手がやるべきだったとも言えると思う。特に中盤センターは、名波浩、中村俊輔、遠藤保仁の様にチームが潤滑するホットポイントを常に見つけなければならない。

どうやって保持をして前進をするか、ハーフスペースを使うか決め事が少なく。大枠の原則からより細かい仕事が割り振られていなかったのは、
これまでも、特に9月シリーズまでは、敢えてそうしてきたのだから、であれば伊藤ではなかったのでは?とも思っている。

三笘が持ったら「離れる」ということで、ただただ選手が離れていく。それだけではアイソレーションは作れない。

システムが噛み合っていなくても、選手がピッチ上でズレを起こさなければならない。そういうやり方を貫いてきたのだから。

時間が足りなかったというところでもあり、委任されても解決出来る選手が足りなかったんだと思います。

スペイン戦で元チームメイトの谷口と三笘が上手くやっていたのは、こういう側面から見ても妥当に見えた。連携面を除いた谷口個人の運びのスキルも見事ではあったが。

そして、やはり中山雄太の離脱が痛かった。これに尽きるのではないかと思います。中山のウイングのアイソレーション創出の個人能力、積み重ねた連携を伊藤は持っておらず、委任戦術のデメリットが伊藤に一気にのしかかってしまった。

中山が居ればピッチ内で選手が策を見いだせたというのは有るはず。選手へ戦術を委任するなら委任するなりの選手の起用方法にしたかったが、中山不在でメリットが出にくいスカッドになってしまった。

伊藤洋輝自身の個人戦術の影響

この試合の伊藤は内側からのグラウンダーのパスを、身体を内側に向けたままコントロールするシーンが多かった。

すなわちボールが目の前を通り過ぎてから、ボールが来た方向から遠い足でコントロールするというボールコントロールのセオリーとは逆のプレーが多かった。

これはあまり良くない体の向きであると思った。左利きの左サイドのプレーヤーにも関わらず、内切りでやってくるプレッシングに対して、右利きの様な内向きのコントロールになることは磐田時代から気になっていたところである。

これを分かりやすく表してるのが、彼のゴールシーン。磐田でもシュツットガルトでも、実は右足でのゴールが多いのである。あれだけの左足キックを持っているのにも関わらずである。

2021年シーズンの磐田でも、半年で2ゴールを挙げてドイツへ旅立ったが、どちらも左のレーンから右足で放ったものだ。シュツットガルトでの最初のゴールも同様に右足。

ゴール前は、コンマ一秒を争うエリアだけに最短距離でボールに触るというのは、悪い判断ではなく、どのゴールもボールに被せて面で合わせれてる良いゴールだと思う。サッカーはゴールの数で争うスポーツだから尚更だ。しかも、それをブンデスリーガでやっているのだから本当に凄い。もっとリスペクトされて良いと思ってます。

しかしながら、これをビルドアップの場面でとなると話は変わってくるのではないかと思う。せっかく使えるはずの希少な左利きの角度が使えないからだ。

これは彼の育ってきた環境の影響が大きいと思っています。僕が応援している磐田の育成も間違いなく関連している。

ジュビロ磐田というクラブは親会社のある典型的な日本のJリーグクラブ。
日本が歩んできたサッカーが如実に展開されてきたクラブと言えば分かりやすいのかもしれない。むしろそれで栄華を極めアジアの頂点にも立ったクラブだ。

言い換えると、日本的な過去の成功踏襲型のクラブで育ったとも言える。
過去を踏襲することで、ミスを無くしたいという私達日本人らしいメンタリティーがあり、磐田には栄華を決めた2000年代前半のサッカーが今も根底に色濃くある。

磐田の2000年代前半のサッカーは、ボール保持の局面に於いてボールホルダーに寄っていき、グループで包括的に立ち位置を取る。ピッチ上に局所的オーバーロードを作り、強度を活かしたカウンタープレスと移籍形態が後押しした阿吽の連携を武器にポゼッションをしていくという成功のモデルがそこにあった。

これが、この試合の伊藤洋輝の身体の向きにも出ていた様に感じた。
ボールホルダーに寄っていくこと、まずはボールを触らないといけないプレーのモデルがあれば、最短距離でボールコントロールするという癖がついてもおかしくはないなと。世に言うコントロールオリエンタードはそこには無い。

そんな磐田にも1年あまり、身体の向きに関しては世界一うるさいであろうスペインの風が吹いたこともあったが、指導は不完全に終わった。19年途中就任したフベロ監督。

フベロは典型的な日本のクラブであった磐田の、伊藤を含むスカッド全体の未熟な個人戦術レベルを踏まえ、あえて個人戦術に多くを求めないやり方で、まずはチームを作っていった。伊藤のサイドチェンジのキックを存分に活かした。

伊藤洋輝をセンターバックにコンバートしたのはフベロであり、彼がキャリアの中で一番の転機と言える指導者と言えるのではないかと思うが、磐田が短期的な結果を求めすぎたこともあり、そのまま個人戦術を仕込む時間は訪れず解任となってしまった。ここが本当に痛かった。時間があれば…。

その後、ドイツ、ブンデスリーガのシュツットガルトへ渡ったが残留を争うクラブで、ボール保持の個人戦術を求められる環境でなかった。むしろ磐田でも重宝されてきた陣地回復のロングキックを高く評価されている。

ボールを運ぶことよりも、まずは早くボールを前(クロアチア代表ソサ)に付けてインナーラップすることを求められている。
これが話題の47:14~のインナーラップのシーンにもよく現れている。

こういった伊藤洋輝の経歴や環境が、コスタリカ戦では悪く見える様に出てしまった。磐田のサポーターである自分としては複雑な感情を抱く試合になってしまった。

終わりに

伊藤洋輝が消極的だったというのは間違いない。ただ、チームとしてはドローも想定していた試合だったことが、プレー選択に影響を与えたという記事やインタビューも試合後には出てきた。

ビハインドになってからの後半40分過ぎから伊藤が、積極的に前方向にパスを刺していった一連の場面は、ことごとくエリア内でのチャンスに繋がっていただけに、勿体無かった。もっと早くから試みていたら…。

MF遠藤航(シュツットガルト)は、「試合前から0-0で進む分には問題ない感じだった。最後の方も含めて、『最低でも後ろはゼロで』とチームでは話していた」と言う。伊藤は「どうしても勝ち点3が欲しいというゲームということでもなかった。もちろん勝ち点3は欲しいけれど、リスクを背負って取りに行ったわけではない」と話したが、『0-0で問題ない』というチームの認識によって、W杯初出場の23歳は、リスクを排除した消極的なプレーに終始することとなった。

football-zone

日本は決勝トーナメント一回戦で敗退。コスタリカ戦後は、伊藤洋輝にはチャンスは訪れなかった。

是非とも4年後はこの舞台に帰ってきて欲しい。

伊藤はひたむきに自身の現状と向き合い、対戦相手の振る舞いも見ながらその後の学びにつなげていた。刺激を受けたのはスペイン代表のDFパウ・トーレス、クロアチア代表のDFヨシュコ・グバルディオル。ともに攻撃のスキルを持ち合わせる左CBで、伊藤とはタイプの似ている選手だといえる。

ゲキサカ

2022年現在の伊藤洋輝は強み、弱みが分かりやすい選手だと思っている。凸凹がはっきりしていて良い部分が尖がっている。

弱みが強みになることは、ビジネスではあまりないが、現代のサッカーは弱みが隠せないマルチな能力が必要なスポーツになっている。

コスタリカ戦の伊藤洋輝は課題が分かりやすく出たのだから、ゲキサカの記事の様に保持のスキルを高めて、これからのキャリアでの成長を期待したい。

自分を客観視して日々のトレーニングに謙虚に向き合い、キャリア形成出来るかが大事なんじゃないかと思う。

ワールドクラスのキックはどこへ行っても武器になる。(序盤13:04~のクロスは足を振ってシュートを打って欲しかったよ!あんたなら入るぜ!)

サイズ、スピード、利き足、強気なメンタリティーは真似できないもの。
凄まじいポテンシャルを持っていると思っています。Jリーグファーストゴールはセンセーショナルな、らしいゴールだった。

紆余曲折はあれど磐田が伊藤洋輝にとってワールドカップまでたどり着く過程にあったのは事実。誇らしい。

世界最高峰の選手になれるはずと信じているし、なって貰わないと困る!

いつかはメガクラブでの活躍を期待したいものだ。そしたら育成連帯金が磐田に入るし←

絶対にワールドカップで、この借りを返すんだ!

終わり!ありがとうございました。


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