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ドコモ料金官製値下げ、いったい誰の為になるのかを考えるべき

 本日NTTドコモが、2021年春からの格安ブランドによる大容量プランを格安で提供し、主力のドコモブランドでも料金体系を見直し、実質的な値下げに踏み切るという報道がありました。

 明日12月3日午後2時から、記者会見を開き正式な発表があるようですが、この官製値下げは喜ぶべきことなのでしょうか?一体この値下げは誰の為になるのかを考えるべきだと思う。

国民はスマホ料金の値下げを望んでいるのか

 今やスマホは我々の生活において、無くてはならない生活必需品となっていることは言うまでもありません。スマホ決済による日々の買い物や、目的地までのルート検索、Amazon・楽天などのECサイトでの買い物、LINEを使ってのコミュニケーション。挙げだすとキリがありません。

 しかし、スマホ料金は毎月固定費としてかかってくるので、安く済ませるにこしたことはない。スマホの無い時代と比べると、間違いなく家庭あたりの固定費支出は上がっている。MMD研究所の調査によると、大手三大キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)と契約している方のスマホ月額料金平均は、全体で8451円という結果になっているようです。家族割などがあったとしても、家族4人で利用したら大体月額2万円ぐらいはかかっているだろうか。

 一方で数年前から節約術の常識になっている格安SIMですが、こちらは月平均2753円となっているようです。その差6000円/月という驚きの価格差であることがわかります。

 それでは、スマホの月々の費用を安く抑えたい人は、既にある格安SIMを使えばいいのであって、わざわざドコモ値下げしてくれ!と言っているような人はいない。

大手キャリアと格安SIMの違いとは

 言うまでもないかもしれませんが、以下が大手キャリアと格安SIMの違いになります。※あくまで私見です。細かく言うともっとあります。

①料金
②ネットワークの帯域(通信品質)
③サービス

①料金

 前述した通り、料金がご覧の通り全く異なります。その差月額6000円という驚きの価格差です。年間で72000円、10年間で72万円。ハワイに行けるぐらいですね。

②ネットワーク帯域(通信品質)

 格安SIMはMVNOと呼ばれますが、ここでの詳しい説明は割愛いたしますが、ざっくり言うと大手キャリアの携帯通信帯域を借り受けて、ユーザに提供しています。MVNOについては、LINEモバイルのページをご覧ください。

 格安SIM事業者は帯域をキャリアから借り受けているので、ある一定のキャパシティが存在しています。そのため、大手キャリアの方が通信速度は速く安定しています。また、格安SIM事業者によっても借り受けているキャパシティが各社で異なるため、契約先によって早い遅い・安定不安定が存在しています。

 私自身も数年前から楽天モバイルを使っていますが、朝夕の通勤時間帯やお昼休み時間はかなり動きがもっさりしています。最近は在宅勤務でもありますし、時差通勤などもあるので、そのストレスも感じません。

③サービス

 有人店舗の有無、コールセンターの繋がり易さ、付帯する機器保証など、あらゆるサービス差が存在しています。ドコモショップに行ったことがある方は分かるかと思いますが、清潔で明るく広々とした店舗で、ゆったりとした待合スペースにはソファと雑誌も置いており、キッズスペースや給茶機まであるようなところもあります。

 契約手続きだけではなく、機器故障の受付から代替機の貸し出し、スマホの使い方まで何でも受け付けてもらえます。まさに至れり尽くせりですが、私の場合ではありますが楽天モバイルに乗り換えてから、リアル店舗に行かなければならないといった事はありませんでした。

官製値下げによって起こり得る余波とは

 キャリアが望まない値下げに踏み切ると何が起こるのか。

 通信品質を落とすわけにはいかないので、まずサービス品質を落とさざるを得ません。

 有人店舗がどんどん減っていきます。全国でドコモは約2300店、ソフトバンクは約2300店、auは約2200店ぐらいあるようですが、この店舗網を維持できなくなります。ちなみにですが、キャリア店舗のほとんどは直営店ではなく、外部企業への委託となるので、委託契約をバシバシと切っていくことになるでしょう。

 コロナ禍前は、まだまだ店舗に行って各種の手続きを行っているお客さんが多くいたと記憶しています。待ち時間もすさまじく、整理券を配布したり、来店予約をしたりと行列レストランの様相でした。

 次にコールセンターは今以上に繋がりにくくなり、待ち受けのメロディを延々と聞き続けることになるでしょう。結局繋がり易さは、コールセンターの席数次第となるので、店舗を構える程コストはかかりませんが、店舗削減分をさばききれるほど席数を準備するとも思えませんし、一人当たりの対応時間も長くなるので、より混雑することが予想されます。

誰の為の値下げなのか

 改めて、この官製値下げはいったい誰の為の値下げなのだろうか。

 スマホ料金を節約したい人は、格安SIMで安かろう悪かろうでいいのではないか。格安SIM事業者も契約数が伸びているので、以前よりも格段に通信品質は良くなってきているし、外で動画を見ることもないし、そこまで安定した通信速度が必要なのだろうか?

 一方で有人店舗に赴いて、機種変更したり、故障したら代替機を貸してもらいたい人もいるわけで、そういった人たちは手厚いサービスを受けたい人はキャリアスマホを使い続ければ良いのではないか。官製値下げにより、サービス品質が落とされてしまうと、自宅近くのドコモショップが無くなってしまったら、わざわざ隣町のドコモショップまで出向かないとならなくなってしまう。

 つまり極論すると、スマホの携帯に関してユーザは二極化しており、自分でSIMも差し替えてオンラインで全ての手続きが出来る人は格安スマホユーザだし、それが出来ないケータイ弱者の人はキャリアユーザとで住みわけができているので、わざわざ国が主導してキャリアに対して値下げを迫る必要はないと考えています。(もちろん全ての人に当てはまるわけではないが)

 この官製値下げによって、街で彷徨うケータイ弱者があふれかえるかもしれない。

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