インド世界遺産の一つ、砂漠の町に作られた神聖な井戸がとても美しかった話
さて、たまには真面目にインドの世界遺産を紹介したいと思います。
インドの世界遺産は大きく、文化遺産と呼ばれる”人が作ったもの”と自然遺産と呼ばれる”自然が作ったもの”と二つに分かれます。
自然が作ったものは雄大で圧倒されるのですが、文化遺産はその土地に起こった戦争、人々の思い、願望など、まさに文字面の歴史だけでなく、その裏の人々の思いを感じることができるので、結構感動するのです。(しないものもあります笑)
今回紹介する”ラーニー・キ・ヴァーヴ”は38個の世界遺産を訪れた中でも、比較的綺麗に残っていて、作った人の思いが伝わってくる優良世界遺産だと思ったので紹介します。
ラーニー・キ・ヴァーヴの場所
場所はグジャラート州と呼ばれるインドの北西に位置する場所。パキスタンと接しており、乾燥地域になります。1年間で雨は雨季の数か月しか降りませんので、水をためておく井戸が生命を維持するために最重要なものだったのです。
王妃の階段井戸 ラーニー・キ・ヴァーヴとは?
ラーニーは女王、バブは井戸という意味で、女王の井戸と訳されることが多いです。乾燥地帯である西インド、クジャラート州では特にこのような井戸たくさんあり、このラーニー・キ・バブはその中でも最大級のもので、深さが27mにもなります。
この井戸を作ったのは、王妃ウダヤマティ (Udayamati) という女王で、当時の王様であるビーマデーヴァ1世(在位1022年 – 1064年)の亡き後、彼を偲んで、11世紀中に建造したものとのこと。
本格的に調査が始まったのは20世紀に入ってからで、それまでは13世紀にサラスワティ川の氾濫で泥に埋まってしまい、長い間ひっそりと自然に隠されていたため、とても保存状態が良く、彫刻だけでも見る価値があります。
近くに寄ってみると初めてわかる井戸神殿
<ラーニー・キ・バブ>
入り口は階段になっており、下に5階に相当する階段をゆっくりと降りていくことができます。
彩られた彫刻達
そして圧倒されるのは井戸の柱や壁に彫刻されているヒンズー教の神々です。特にヴィシュヌ神の化身の一つである英雄クリシュナと女神が多く彫刻されており、いまにも踊りだしそうな見事な曲線と笑顔が日本の銅像とは異なり、活き活きとして、楽しそうでした。これはもう井戸というよりは、地下に作られた神殿ですね。
そして1000年前にこの神殿が井戸として使われていた時には、水に浸かっていたのです。
水がなければ生きていけない厳しい環境
力強い男性ではなく女性を王様、神とする文化
大切な水をためる井戸を神殿化する思い
なにかとても感じてしまいますね。おそらく他国と争う戦争よりもこの土地で生き抜くということがよっぽどの戦いだったのではないでしょうか。
また1000年も経過してこれだけ見事に残っている彫刻は他ではあまり見られない例かと思います。
最下層では光が届きにくく、冷たく静寂な空気
最下層にたどり着くと、そこはすでに光が届いていませんでした。たぶん1日に1回、太陽が真上に来るときは日が差すんだろうなと思います。また、ひんやりとした冷たい空気に、神聖な気持ちになりましたね。
もっとしりたい方はこちらに詳しく書いたのでよかったらどうぞ。
海外で出会った動物シリーズ
インドのアパートで仕事していた時にやってきた子猫たちです。かわいらしい!そして人を恐れないのですぐに寄ってきます。が、家の中に入ってくるとか食べ物を食べるとか、いろいろと被害もあるので食べ物はあげないなどのマナーは守りたいですね。
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