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星に願いを②

前回から引き続きの投稿です。
お時間許せばこちらも読んでやってください。
星に願いを①

【2つ目】
仕事やプライベートで予定が立て込んでいて時間がないとわかっていても気になる本があると買ってしまう性格です。

いきなり何の話?って感じだと思うんですけど、そうして買った本は「積読」状態になってどんどん増えていきます。
最近少しずつ切り崩していってるんですけど、その中の1冊が前回に引き続き星に関するものでして…

初野晴さんの「惑星カロン」という本です。
知っている人はもしかしなくても「いや、いつまで積んどくの?!」と思われたかもしれません。
文庫版が出た!と思って買ったのが2017年1月。ほぼ5年間積んでいた本を読み始めたのが今月のはじめ。読み終わったのが今日。ボリュームの割にすっと読めました。

「退出ゲーム」から始まる「ハルチカ」シリーズの5作目。シリーズの中で登場人物たちの時間が流れており、時間が流れれば登場人物たちも成長していく。当たり前のことかもしれないけど、改めて実感できる作品です。

「イントロダクション」を含めると全部で5章から為る本作品。
このシリーズはどの作品も色々なことを考えさせられるのですが、今回は特に表題にもなっている「惑星カロン」について。

「カロン」は冥王星の周りを回っている衛星のことで、冥王星が惑星でなくなるとともに惑星になる機会を失った星だということを知りました。
そうでなくなるまでは太陽系で地球から最も遠い位置にあった惑星。最長75億キロメートルもある距離を人間は観察できるようになり、その結果冥王星は惑星ではなくなりました。そして、この関係は人と星だけでなはく、人と人にも言えることになっています。

これまで自分の目に見える範囲、足で行ける範囲で人と出会い、交流するだけで十分でしたが、今は様々な方法を使って自分の目では見えない、足で行けない距離の人とも簡単に交流ができるようになりました。
ネットワークによって生み出された新しい関係性は自分の世界を広げてくれて、新しい考え方や視点を与えてくれるいいもの。
一方でデメリット、というか気に留めておかないといけないことをこの話から学びました。

それは「キーボードで書かれた文章には感情を切り取る時間的余裕があること」です。

「即レス」という言葉もありますし、スタンプや絵文字などの機能もどんどん更新されているため、即時性のあるコミュニケーションとなっているのは間違いないと思います。
それでも送信の瞬間には「これでいいか?」と自分の言葉を一回ひっこめるチャンスが残っています。
実際の対話でもそれはあると思うんですけど、違いは「互いの顔が見えないこと」。自分の言葉をひっこめたときの表情などから、どういう感情かをある程度推察することができる対話と違い、ネットワーク上では相手がどんな顔をしているのか、絵文字は笑っているけど、本人は本当に笑っているのか、そういうことはわからないのが前提のコミュニケーションです。

自分も相手もどういう過程を経てその言葉が出てきているのかがわかりにくいコミュニケーションの中で、自分の思いを偽ったり隠したりするのが容易だとそのうち「自分ではない誰かが話しているようだ」「本当に相手は自分の想定している相手なのか」と考えてしまうこともあるのではないかと思います。まるで遠い星にいる宇宙人と話をしているような感覚になるかもしれません。

こういったことってこれだけネットワークが発展した今だからこそ考えることができますが、この本が発刊されたのは2015年(単行本発刊)。スマートフォンを持つか持たないかくらいの時期だったような覚えがあります。そんな時期からこのテーマに踏み込めた初野さんの世の中を見る目とそれを表現する力にただただ感動するばかりでした。


とここまで2つ立て続けに文章を打って思ったことは、顔が見えない相手とのコミュニケーションとは言うが、きっと遠くの惑星にいくよりは簡単に実際に会える日が来るのではないかということです。
その時のために、自分の言葉、相手の言葉を大切に、生活していこうと思います。

長文にお付き合いいただいた方、ありがとうございました。

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