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「止まった時間」


シナセン課題⑤「出会い」


人物
・森山 舞(20)(21)(23)社会人
・春木雅也(22)(23)舞の友人
・講武智樹(22)舞の先輩で春木の友人
・田中 梓(20)舞の友人で講武の彼女




○海を見渡せる崖


全てを飲み込んでしまいそうな、壮大な海。
轟々と唸り上げる風の音。


森山舞(23)の長い黒髪が、強い風になびく。

舞は髪の乱れを気にも留めず、崖の上から海を見つめている。



○(回想)高速道路を走る車・中(夕)

T・2年前

春木雅也(23)運転している。
助手席に座る舞(21)が、窓から入る夕日の光に照らされて、外の風景を見る。


舞「私、夕日好きだなぁ」

春木「えー俺は夕日嫌い」
舞「なんで?こんなに綺麗なのに」


春木「その日の終わりが近づいてる感じがするから」


明るく笑う春木。




○(同)家・舞の部屋(夜)

T・同


薄暗い部屋の中。
ベッドで毛布にうずくまる舞。

机に広げられた新聞紙。


記事に書かれた、
「〜町の海岸付近に成人男性の遺体が打ち上げられているのを近くの住民が発見。遺体は腐敗が進んでおり、現在身元を特定中」
の文字。




○(同)居酒屋・個室(夜)

T・3年前


男性1人、女性2人がテーブルを囲んでいる。


舞(20)カシスオレンジを飲む。

講武智樹(22)枝豆を摘みながら、
講武「舞ちゃん、どう仕事は?」

舞「まだなかなか慣れないですねー。先輩はどのくらいで慣れたんですか?」

講武「俺は、未だに慣れてない」


ドヤ顔で言う講武の携帯が鳴る。


講武「あ、もしもし?お疲れ!おぉ、もうやってるよ!奥の部屋な!」


電話を切る講武に寄りかかる田中梓(20)。

梓「誰ー?」




個室の扉が開く。

顔を覗かせた春木(22)が笑顔で言う。



春木「こんばんは。初めまして」 fin


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