あいまいなままあいないな

夕陽が綺麗なのは 僕の泣き顔を知っているから

夕陽が嫌いなのは なみだ光って落ちるから

ぼくひとりこのまちにいる

囚われたまま逃げ出せずに夜をぐるぐると回ってる

五時のチャイムが鳴るのは お家に帰るから

五時のチャイムが嫌いなのは 君が別れを告げるから

あのとき買った駄菓子のガムを

うまく膨らませることが出来ないまま

そうやって足を止めると

だんだん影が伸びて僕を呑み込んでいく

見たくないもの 見られないもの

見ようとした 見たくもなかった

曖昧なまま愛無いな

僕はゆっくり歩く

君は足が早いから

カラスたちいっせいに飛ぶよ

陽が落ちる前に帰るよ

涙が止まらないのは 視界がにじむのは

そんな日を思い出しているから

朽ち果てた思い出の奥で廃屋のうちがまだ胎動しているから

2022/01/10


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